帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラマン物語』

ウルトラマン物語』
1984年7月14日公開
脚本 平野靖士
監督 高野宏一

 

ウルトラの父
身長 45m
体重 5万t
タロウを超一流のウルトラ戦士にする為に様々な試練を課していく。
5万年前にジュダと戦っている。現在は年老いたのでタロウにジュダ打倒の願いを託して最後の特訓を課した。
ヒッポリト星人に倒されたエース達にエネルギーを分け与えて絶対安静の状態に陥ってしまうが後に復活した。

 

ウルトラの母
身長 40m
体重 3万2千t
タロウを優しく見守る。
ウルトラの父から引き継いで、タロウの最後の特訓を完成させる。

 

ウルトラ兄弟
ゾフィー
身長 45m
体重 4万5千t
ウルトラ兄弟の長男で、統率力があり常に先頭に立って活躍するウルトラ戦士達の心優しきリーダー。
グランドキング戦でもウルトラ兄弟を指揮して戦った。
クレジットは「ゾフィー」ではなくて「ゾフィ」となっている。

 

初代マン
身長 40m
体重 3万5千t
ウルトラ兄弟の中で一番最初に地球にやって来た。
判断力と忍耐力に優れた一級のウルトラ戦士。

 

セブン
身長 40m
体重 3万5千t
冷静で強い意思を持つウルトラ戦士。
今回、アイスラッガーの活躍が無かったのが残念。

 

ジャック
身長 40m
体重 3万5千t
勇敢でどんな時にも怯まない若きウルトラ戦士。
今回はウルトラブレスレットの活躍が無かったのがやはり残念。

 

エース
身長 40m
体重 4万5千t
熱血漢溢れる若きウルトラ戦士。
ウルトラの父にも勝ったヒッポリト星人を倒したのが印象に残った。

 

小型怪獣ドックン
身長 27m
体重 1万t
ウルトラの国に住む怪獣。
大人しくて平和を愛する存在で、少年時代のタロウと喧嘩になったが、すぐに仲直りして友達になった。
名前の由来は「ドッグ」かな。
そう言えば『T』の「これがウルトラの国だ!」「燃えろ! ウルトラ6兄弟」に登場したラビドッグは今はどうしているんだろう?

 

超合体怪獣グランドキング
身長 78m
体重 21万5千t
ジュダがウルトラの国を襲撃する為に宇宙に散らばる悪魔の魂を集めて生み出した。
ジュダの力を与えられてウルトラ6兄弟を凌ぐ強さを誇ったが超ウルトラ戦士(スーパーウルトラマン)となったタロウのコスモミラクル光線で倒された。
ドックンと共にウルトラ映画では初めて新しく作られた怪獣である。

 

宇宙の帝王ジュダ
身長 60m
体重 3万2千t
宇宙の歪みが生み出した宇宙最大の悪魔で、5万年前に宇宙全体の空間を捻じ曲げ、宇宙の破壊を目論んだ。宇宙の歪みそのものが命で、ウルトラホーンに莫大なエネルギーを溜めたウルトラの父が宇宙の歪みを元に戻した事で倒された。しかし、実体の無い宇宙の悪そのものである為、一度倒されても何万年かの時間をかけて復活する事が出来る。
グランドキングを生み出して自分の力を与えるが、超ウルトラ戦士(スーパーウルトラマン)になったタロウがグランドキングを倒すと、苦しみながら消滅していった。

 

物語
兄達に憧れ、ウルトラの国で修行を続ける少年タロウ。
やがて青年になって実戦でも活躍するようになったタロウの前に宇宙の帝王ジュダが立ち塞がる。
ジュダが送り込んだ最強怪獣グランドキングにウルトラ6兄弟が立ち向かう!

 

感想
再編集映画の一本であるが、これまでは繋ぎの部分であった新規撮影分が大幅に増えている。

 

タロウが地球で初めて戦った相手がエレキングになっていたり、レオや80がタロウより先に地球で戦っていたりとTV版とは違う展開がいくつか見られるので、TV版とはパラレルワールドになっていると考えられる。
昭和ウルトラシリーズの映画は最初の『長篇怪獣映画 ウルトラマン』の時から既にTV版とは違う展開を見せていたので、この頃のTVと映画は切り離して考えた方が良いと思う。

 

ウルトラの国で修行に明け暮れる少年タロウ。
そのタロウの憧れの存在であるゾフィータイラントと戦っていた。
その頃、地球にアントラーが出現し、ゾフィーの指令で初代マンが地球へ向かう。『初代マン』の「バラージの青い石」ではアントラーはバラージの青い石で倒されているが、本作では初代マンのスペシウム光線で倒されている。
一方、地球侵略を企むボーグ星人がセブンに挑戦。『セブン』の「サイボーグ作戦」ではセブンはボーグ星人に付けられていたプレート弾を投げつけて形勢逆転するが、本作では念力ショットと言う技で形勢逆転している。

 

修行が上手くいかない事を笑われたタロウはドックンを怪獣退治の練習台にしようとするが、怒ったドックンに逆に追い詰められてしまう。
そこにウルトラの母が現れて、ドックンは元々大人しい怪獣で笑われたぐらいで怪獣退治の練習台にしてはいけないと諭し、反省したタロウはドックンに謝って仲直りする。
この展開は悪意の無い怪獣は倒さなかったTV版を踏まえた展開とも言える。

 

「怪獣は皆悪い奴だから、大きくなったら怪獣を皆やっつけてやる」と豪語するタロウにウルトラの父エレキングと戦うミクラスの映像を見せて「ミクラスも我々と同じく邪悪な怪獣と戦う平和の戦士だ」と説明して、怪獣の中にも良い怪獣がいる事をタロウに教える。

 

タロウはまだまだ多くの事を知らなければならないとして、ウルトラの父と母はタロウを初めて宇宙へと連れて行く。
そこでウルトラの父は「ウルトラ戦士の真の目的はこの宇宙の平和を維持する事だ」と語り、ウルトラの母は「この宇宙には平和を愛する者がたくさんいるが、逆に平和を乱そうとする者も少なくない」と語る。
ウルトラの父は「それら宇宙の平和を乱そうとする者は宇宙の歪みが生み出した邪悪な存在で、ウルトラ戦士は宇宙の平和の為に宇宙の歪みを正さなければならない」、「一人前のウルトラ戦士になるには、まだまだ多くの事を知り厳しい訓練を経なければならない」と語り、それを聞いたタロウは決意を新たにするのであった。

 

「我々ウルトラ戦士の真の目的はこの大宇宙の平和を維持する事だ。その為には知恵、勇気、愛を知り、肉体を鍛えなければならない」。
ウルトラの父の言葉だが、「ウルトラマン」と言う存在を説明するとこうなるのかな。

 

青年となったタロウはウルトラの父がいつまで経っても自分を一人前のウルトラ戦士として認めてくれない事に不満を抱いていた。
この時、地球で活躍するジャックがグドンツインテールと、エースがゼミストラーと戦っていた。(因みに本作ではゼミストラーの肩書きが「超獣」ではなく「怪獣」になっている)
ジャックやエースが実戦を許されているのに自分はまだ実戦を許されていない事にタロウは不満だったが、ウルトラの父は自分の力を過信し、訓練を簡単に考え、他の事に気を取られすぐにミスを犯すようでは一人前のウルトラ戦士として認める事は出来ないと指摘する。
そのやりとりを見ていたウルトラの母は「少しきつく言い過ぎたのでは」と心配するが、ウルトラの父は「あれくらいで駄目になる子ではない」と答える。そして、父の言葉通り、タロウは己の未熟さに気付いて訓練に励むのであった。

 

セブンとイカルス星人の戦いの映像を見てタロウはウルトラ念力の訓練をするが上手くいかない。そこでウルトラの父はセブンとガンダーの戦いの映像を見せて「ウルトラ念力には集中力が必要」とアドバイスし、タロウはウルトラ念力を会得する事に成功する。
その後もタロウはジャックとキングザウルス三世の戦いから流星キックを、ジャックとタッコングの戦いから炎の中での戦い方を学んでいく。

 

訓練に励むタロウは遂に実戦を許される事に。
ウルトラの父はセブンとエレキングの戦いと初代マンとメフィラス星人の戦いの映像を見せ、メフィラス星人エレキングを月光怪獣に改造して復活させた事を告げる。
TV版では『初代マン』の「禁じられた言葉」と『T』の「出た! メフィラス星人だ!」に登場したメフィラス星人は別人となっているが本作では同一人物となっている。又、エレキングも『T』の「怪獣エレキング満月に吼える!」では月の光を浴びて再生したとなっているが本作ではメフィラス星人に改造されたとなっている。
先の特訓で炎をものともしなくなったタロウはエレキングに勝利し、続いてメフィラス星人も撃破する。

 

これで自分も一人前のウルトラ戦士として認められたとタロウは考えるが、ウルトラの父はウルトラ戦士の訓練に終わりは無いと語り、エースとヤプールの戦いの映像で異次元での戦い方を会得させると、今度はウルトラ兄弟以外のウルトラ戦士の戦いも参考にするようにと告げる。
ここでレオとシルバーブルーメの戦いと80とレッドキングの戦いがモニターに映し出され、本作ではタロウの前にレオや80が地球に来ていたと言う設定になっている事が分かる。
不満を(抱いているかもしれないが)漏らさず黙々と訓練に励むタロウを見て、ウルトラの父はタロウも大人になったと語る。
それにしても、この頃の映画ではレオとアストラはウルトラ兄弟から外される事が多い。(80はウルトラ兄弟になったかどうか、この頃はまだ正式には決められていなかった)
まぁ、『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』は制作時期の関係で、『ウルトラマンZOFFY』はレオとアストラを含むウルトラ8兄弟が全員揃って戦う場面が無かったのでウルトラ6兄弟が全員揃って戦うテンペラー星人戦がクライマックスになるように構成された、本作はウルトラ兄弟の末っ子であるタロウが主人公なのでレオとアストラを出すと話がややこしくなってしまう、とそれぞれ理由は考えられるのだが……。
 

訓練を終えたタロウは光のシャワーでエネルギーを回復させると、やがて深い眠りに就いた。夢の中で少年時代の思い出が蘇るが、そこに謎の影が現れ、恐ろしさのあまり目が覚めてしまった。
翌日、タロウから夢の話を告げられたウルトラの父はそれは正夢かもしれないとして、自分には以前から怖れていた事があったと語る。
そして遂にタロウ最後の特訓が始まる。それはウルトラの父が発するエネルギーをタロウのウルトラホーンで吸収する事。それが出来たらタロウは超ウルトラ戦士になれるらしい。

 

タロウが最後の特訓を続けていた頃、地球に出現したバルタン星人を80が倒すが、バルタン星人が断末魔に叫んだ「ジュダ様」と言う謎の言葉が気になった80はウルトラサインでその事をウルトラの国に知らせ、それを受け取ったウルトラの父は以前から怖れていた事、ジュダの復活を確信する。
ジュダは元々は『メロス』のキャラクターだったが、本作では宇宙の歪みが生み出した宇宙最大の悪魔で、5万年程前に宇宙全体の空間を捻じ曲げ、宇宙の破壊を目論んだと言う設定になっている。
ジュダは宇宙の歪みそのものが命で、ウルトラの父ウルトラの父の父の特訓を受けて、ウルトラホーンに莫大なエネルギーを溜めて宇宙の歪みを元に戻す事でジュダを倒した。しかし、ジュダは一度倒されても何万年かの時間をかけて復活する実体の無い宇宙の悪そのものだった。
タロウが受けている最後の特訓はジュダを倒す為のものであった。ウルトラの父はもう年老いてしまい、若いタロウの力が必要だったのだ。
タロウとウルトラの父はどちらも角を持っているが、これまでは二人は親子なので外見が似ていると言う程度の扱いだったのが、本作では宇宙最大の悪魔であるジュダを倒す事が出来るのはウルトラの父と同じくウルトラホーンを持つ息子タロウのみであると言う宿命的な要素が加えられている。「ある家系の宿命」と言うのはあまりウルトラシリーズっぽくない感じを受けるが、少年漫画っぽさがあって自分は好きな設定である。

 

ジュダからウルトラ戦士抹殺の指令を与えられたヒッポリト星人はエースをブロンズ像にして倒すと、エースが発した「S・O・S」のウルトラサインを受けてやって来たゾフィー、初代マン、セブン、ジャックもエースと同じようにブロンズ像にして倒してしまう。ゾフィー達を倒した時の「見たか、ウルトラ戦士達よ。お前達の最期だ」と言うヒッポリト星人の台詞が格好良い。
最後の特訓をもうすぐ終えようとしているタロウとウルトラの父の所にウルトラの母ゾフィー達の敗北を告げにやって来る。話を聞いたウルトラの父はタロウとウルトラの母に最後の特訓を続けるよう告げると自ら地球へ向かう。
ウルトラの父はヒッポリト星人との戦いを優勢に進めるが、タロウの特訓でエネルギーを放射し続けていて、これ以上戦うエネルギーが殆ど残っていなかった。そこでウルトラの父は残されたエネルギーをエースに与え、エネルギーを受けて復活したエースはヒッポリト星人を撃破。ヒッポリト星人が倒された事でブロンズ像になっていた他のウルトラ兄弟も元に戻った。
一方、タロウはウルトラの母の協力で最後の特訓を完成させる。そこにウルトラ戦士の悲しい知らせを告げる鐘が鳴り響く。残されたエネルギーをエースに与えたウルトラの父は一命は取り留めたが絶対安静の状態に陥ってしまった。
この展開は地球への長旅でエネルギーが尽きてしまったと言う『A』の「奇跡! ウルトラの父」より納得がいくものであった。

 

タロウが最後の特訓を完成させた事を知ったジュダは続いて地獄の底からエンマーゴを呼び出してタロウを地球に誘き寄せると、宇宙に散らばる悪魔の魂を集めて生み出したグランドキングに自分の力を与えてウルトラの国に向かわせる。
ゾフィー達はグランドキングがウルトラの国に着く前に宇宙空間で迎撃するが苦戦を強いられる。そこで、かつては高度な文明を誇った美しい星だったが5万年前にジュダの悪意によって滅亡し今は死の星となった赤い惑星フェラントに戦いの舞台を移す。
そこでも苦戦が続き、ゾフィーが「皆、諦めるな! この宇宙に正義の炎を灯し続ける為にも我々は戦わなければならないんだ!」と檄を飛ばして、それぞれの必殺光線を一斉に発射するが、それを受けたグランドキングは数秒動きを止めただけで致命傷には至らなかった!
グランドキングは重厚なデザイン、宇宙の悪魔ジュダの力を与えられたと言う設定、一体でウルトラ兄弟相手に一歩も引かないと言う劇中での見せ方と強さの表現が見事であった。昭和ウルトラシリーズ最後にして最強の怪獣と言える。

 

意識を取り戻したウルトラの父から、この危機を救えるのはタロウしかいないと告げられたウルトラの母はその事をタロウに知らせる。ウルトラの国が危機に陥った事を知ったタロウはウルトラ念力でエンマーゴの首を切断して勝利すると、急いで赤い惑星フェラントへと向かう。
エンマーゴとの戦いもお地蔵様の力を借りた『T』の「タロウの首がすっ飛んだ!」とは変えられている。ウルトラ念力が決着の技となっているが、これはタロウがモニターでセブンのウルトラ念力を見て練習したおかげでエンマーゴを倒す程の強力なウルトラ念力を使う事が出来たと言う解釈なのかな。
地球での戦いを終えたタロウもグランドキングとの戦いに加わるがそれでも形勢は変わらない。そこにウルトラの母からウルトラサインが送られ、それを見たタロウは他のウルトラ兄弟のエネルギーを吸収して超ウルトラ戦士(スーパーウルトラマン)となり、最大最強のコスモミラクル光線でグランドキングと、グランドキングに(おそらく力を与えた時に)シンクロしていたジュダを倒すのであった。
この時のタロウが強い!
ウルトラ兄弟があれほど苦戦したグランドキングを全く寄せ付けなかった!
超ウルトラ戦士(スーパーウルトラマン)の展開は数あるウルトラマンのパワーアップ展開でもトップクラスの盛り上がりがあった。

 

戦いを終えてウルトラの国に帰ったウルトラ6兄弟を元気になったウルトラの父と母が迎える。
「宇宙の歪みはこれからも邪悪な怪獣を生み出していくに違いない。お前達は協力し合って大宇宙の正義と平和を守っていかなければならん! いいな! ゾフィー! セブン! ジャック! ウルトラマン! エース! そしてタロウ! 皆頼んだぞ!」。
ウルトラの父の言葉を受けてウルトラ兄弟は再び旅立つ。大宇宙の正義と平和を守っていく為に……。

 

本作は特訓による主人公の成長と強敵との戦いが話の軸となっている。
展開的には『ドラゴンボール』に近いので『ドラゴンボール』(特にサイヤ人編以降)が好きな人は見て楽しめると思う。

 

少年タロウの声は『ドラゴンボール』で孫悟空を演じている野沢雅子さんが担当しているが、公開当時は『ドラゴンボール』のアニメがまだ始まっていないので、ここはウルトラの母役の池田昌子さんと合わせて『銀河鉄道999』の星野鉄郎と言った方が良いかもしれない。

 

『アニメちゃん』が同時上映された。

 

本作以降、ウルトラ兄弟の設定を前面に押し出した作品は『メビウス』まで無く、本作は『Q』から約20年続いたウルトラシリーズの一つの節目となった作品と言える。