帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラ6兄弟最後の日!」

「ウルトラ6兄弟最後の日! ー宿敵! テンペラー星人 ウルトラ5兄弟登場ー
ウルトラマンT』制作第34話
1973年11月23日放送(第34話)
脚本 佐々木守
監督 真船禎
特殊技術 山本正孝

 

ウルトラ兄弟
自分一人の力でテンペラー星人を倒したタロウを褒め称えるが、タロウが増長している事に危機感を覚え、再びZATの隊員に乗り移ってタロウを見守る。
タロウがテンペラー星人に捕らえられたのでウルトラビームで救出するが、テンペラー星人に発見されて集中攻撃を受けてしまう。その為、今度はバレーボール選手に乗り移るが特殊スペクトル光線で再び発見され、最後はウルトラマンボールに入ってテンペラー星人に近付く事に成功する。
力を合わせてテンペラー星人を撃破し、さらにテンペラー星人の宇宙船もそれぞれの必殺光線で撃破する。
戦いが終わるとタロウにチームワークの大切さを説いてウルトラの国に帰っていった。

 

極悪宇宙人テンペラー星人
身長 2m~52m
体重 120kg~3万5千t
前回の戦いでタロウに倒されたのはウルトラ兄弟が本当に地球にいるかどうかを確かめる為の囮だった。
さおりさんの体を乗っ取ってタロウを拉致すると人質にしてウルトラ兄弟を誘き出そうとした。
地球人に乗り移ったウルトラ兄弟を発見する特殊スペクトル光線、対ウルトラ兄弟戦最大の切り札であるウルトラ兄弟必殺光線等を持つ。
しかし、ウルトラ兄弟の連続攻撃を受けて最後にタロウのネオストリウム光線で倒されると残った宇宙船もウルトラ兄弟の必殺光線一斉発射を受けて破壊された。善戦はしたものの、やはり無謀な戦いであったか……。

 

物語
テンペラー星人を倒した事でタロウは増長し、ウルトラ兄弟の忠告を聞き入れず勝手な行動を取り始める。
そんなタロウに危機感を覚えるウルトラ兄弟。一方、テンペラー星人の挑戦はまだこれからであった。

 

感想
ウルトラの国大爆発5秒前!」の続き。

 

今回の前後編は歴代の主人公が勢揃いしている。
冷静に状況を判断できるハヤタ隊員、「口で言っても駄目だ。体で分からなければ」と『レオ』でのおおとりゲンに対する指導姿勢が垣間見えるモロボシ・ダン、「自分の力を過信していると今に大きな怪我をするぞ」と自身の経験を語る郷秀樹、熱血漢な北斗星司とそれぞれのキャラクターがキチンと描かれている。

 

自分一人の力でテンペラー星人を倒したと言うタロウに向かってウルトラ兄弟は自信が付いた事とそれを自慢する事は違うとしてチームワークの大切さを説く。『帰マン』の「ウルトラ5つの誓い」に「他人の力を頼りにしない事」とあるが、それは必要以上に他人に依存してはいけないと言う意味でチームワークを否定しているわけではない。人間は一人で生きているわけではない。自分一人で生きているようでも必ずどこかで誰かの力があるのだ。

 

増長したタロウが勝手な行動を取り始めた事でZATの規律が乱れる恐れが生じる。このテーマは次作『レオ』へと繋がっていく。どんなに優れた能力を持っていても他人との関係を考えられない者は組織にとってマイナスでしかない。

 

これ以上タロウが勝手な行動を取り続ければタロウはもはやウルトラ兄弟ではないと言うウルトラ兄弟ウルトラ兄弟に必要なのは単なる強さだけではないのだ。

 

『T』時点でのウルトラファミリーには実際の血の繋がりは無く、血が繋がっているのはタロウとウルトラの父と母の親子関係のみとなっている。
裏設定ではウルトラの母とセブンの母が姉妹でタロウとセブンが従兄弟と言う他、エースは孤児でウルトラの父に拾われてタロウとは実の兄弟のように育ったと言うのがある。そのせいか、今回のエースは他のウルトラ兄弟に比べて兄として諭すと言うよりタロウと近いレベルで接しているように見える。
この他にもウルトラファミリーには色々な裏設定があり、調べてみると意外な人間関係が判明して驚かされる事がある。(特に新マン)

 

ウルトラ兄弟とは一体何なのか?
宇宙警備隊のエリートで実の兄弟のように仲が良いと言う説明の他、『ウルトラ六兄弟』と言う『T』の挿入歌には「ウルトラの父の教え子」と言う歌詞がある。
おそらくウルトラの父は戦士の養成教室のようなものを開いていて、ウルトラ兄弟はその中でも抜きん出た成績を修めていたのだろう。やがて別々の道を歩むようになり、ゾフィ、初代マン、新マンは宇宙警備隊に、セブンは宇宙情報局に入り、エースとタロウはまだ訓練中の身となった。
その後、セブンが宇宙情報局から宇宙警備隊に配属が変わり、バット星人がウルトラの国を攻撃した時に久し振りにウルトラ兄弟が集結。続いてエースの訓練が終了してヤプールとの戦いが始まり、この頃、ウルトラの父は宇宙警備隊の隊長から退いて大隊長となり、ゾフィが2代目の隊長となった。そしてタロウの訓練が終了して『T』に至ると言ったところかな。

 

さおりさんを乗っ取ったテンペラー星人はタロウを捕らえる直前まで不審な素振りを見せなかったのが凄い。(どちらかと言うとこの場面は光太郎の方が偽者っぽい雰囲気になっている)
さおりさんの声で「嫌いになれて良かった……」は結構インパクトがあった。

 

テンペラー星人はタロウを捕らえると何故か踊り出したりと、どことなく愉快犯的なところがある。強者の余裕かな?
怪獣軍団関係者は勝つ為に手段を選ばないメフィラス星人、復讐の鬼ヤプール、愉快犯的に戦いを楽しむテンペラー星人となかなか面白いキャラクターが揃っている。
昭和ウルトラシリーズでは仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズのような敵キャラクター同士のやりとりは無かったが『メビウス』からは取り入られるようになっている。

 

タロウを救出する時にウルトラ兄弟が放ったウルトラビーム。テンペラー星人はこれでウルトラ兄弟ZATに乗り移っている事に気付くのだが、ZATの武器にウルトラ兄弟のエネルギーをプラスしたものとかだったのだろうか?

 

ウルトラマンだ!」、
ウルトラセブンだ!」、
「ゾフィだ!」、
「エースだ!」、
「新マンも!」、
「タロウもいるぞ!」。
ウルトラ6兄弟が全員揃って戦うのは非常に珍しい。やはり、この6人が全員一緒で戦うのは戦力的に反則に近いかな?

 

一応、ウルトラ兄弟必殺光線と言う脅威があったのだが、それでもテンペラー星人との戦いはウルトラ兄弟6人がかりでなければならなかったのかと言う疑問がある。テンペラー星人に『ウルトラマン物語』のグランドキング並みの強敵感が欲しかったところ。
又、テンペラー星人の宇宙船もわざわざウルトラ兄弟がそれぞれの必殺光線を撃つほどのものだったのかなと感じる。宇宙船がもっと大きければなぁ……。

 

テンペラー星人の攻撃を受けたバレーボールの選手達はウルトラ兄弟テンペラー星人の戦いが終わった時には既に練習を再開していた。タフだな。

 

脚本の佐々木さんが『T』に参加したのは今回の前後編のみとなっている。

 

今回の前後編は2023年12月に『円谷映画祭2023』Part2で『庵野秀明セレクション 『ウルトラマンタロウ』』として劇場公開されている。

 

 

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