帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!」

「セブンが死ぬ時! 東京は沈没する! ーウルトラセブン マグマ星人 ブラックギラス レッドギラス登場ー
ウルトラマンレオ』制作第1話
1974年4月12日放送(第1話)
脚本 田口成光
監督 真船禎
特撮監督 高野宏一

 

ウルトラセブン
身長 40m
体重 3万5千t
地球を守る任務を受けて再び地球にやって来た。今度はMACの隊長になっている。
マグマ星人と双子怪獣との1対3の戦いを強いられ、アイスラッガーをギラススピンで跳ね返されると、ブラックギラスに右足を折られてしまう。
戦いを終えるとウルトラアイも溶けてしまい、セブンとしての戦闘能力を失ってしまった。

 

サーベル暴君マグマ星人
身長 57m
体重 2万2千t
双子怪獣を使ってセブンを追い詰めるが、レオの突然の出現に一時退却する。
雷と共に暗雲の中から現れ、退却する時は黄色い煙幕を使う。右手にサーベル、左手に鉤爪、背中にマントを羽織って戦闘能力を上昇させる。サーベルから光線を発する。
双子怪獣を使ってレオの故郷であるL77星を滅ぼしたらしい。

 

双子怪獣ブラックギラス
身長 56m
体重 4万t
レッドギラスの双子の兄。レッドギラスとの絶妙なコンビネーションでセブンの右足を折る。
レッドギラスとの合体技ギラススピンの他、頭部の角から様々な光線を発し、津波を起こす事も出来る。
マグマ星人から指示を受け、かつてレオの故郷であるL77星を滅ぼした。

 

双子怪獣レッドギラス
身長 55m
体重 3万9千t
ブラックギラスの双子の弟。ブラックギラスと共にセブンを追い詰めた。
レオの突然の出現に一時退却するが、再戦時にはギラススピンでレオを追い詰める。

 

物語
マグマ星人と双子怪獣を相手に苦戦を強いられるセブン。そこに謎の宇宙人が現れてセブンは九死に一生を得る。
謎の宇宙人の正体はマグマ星人に故郷のL77星を滅ぼされて地球を第二の故郷としていたウルトラマンレオ=おおとりゲンであった。

 

感想
何もかもかこれまでの作品とは違う『レオ』。ウルトラシリーズも本作で7作目になるので、この辺りで異色作が生まれるのは当然であったのかもしれない。

 

タロウがいなくなって、セブンが再び地球に留まる事になる。
なんとダンは今回はMACの隊長になっている。国籍も何も無いはずなのに、どうやって隊長になれたのだろう?

 

マグマ星人の目的は一体何なのだろうか?
レオの話によるとL77星は爆発して消滅したらしい。と言う事は支配が目的ではなさそうだ。ただ単に破壊を楽しんでいるのか、それとも破壊する事で支配欲を満たしているのだろうか?
マグマ星人のデザインはウルトラシリーズに登場する宇宙人の中でもトップクラスに格好良い。

 

レオはマグマ星人にL77星を滅ぼされた時に父も母も兄弟も犠牲になったと説明している。後に兄弟のアストラが登場するようになるが、両親も何らかの形で出てほしかった。

 

レオはL77星が滅ぼされたのは一ヶ月前だと説明しているが、と言う事はゲンは地球に来てからまだ一ヶ月しか経っていないのだろうか。それにしては地球に馴染んでいるように見える。
ひょっとしたら、過去に観光か何かで地球に来た事があったのかもしれない。それともL77星から離れて地球で暮らしていて、L77星がマグマ星人に襲われた事を知って大急ぎで帰るが間に合わなくて地球に戻って来たのかもしれない。
他には死んでいた地球人ゲンにL77星人レオが乗り移った可能性がある。この場合、地球人ゲンの家族の問題が出てくるが、地球人ゲンは天涯孤独の身だったとすれば大丈夫かな。

 

ダンがウルトラアイを装着しようとすると溶けてしまう。
この場面は単に変身できなくてウルトラアイが溶けてしまったのか、ダン自身がウルトラ念力でウルトラアイを溶かしてしまったのか意見が分かれるところ。
ダンだったらセブンとして戦える可能性が少しでもあれば、そこに賭けたと思う。いくら強いとは言え本来は民間人であるレオに地球の平和を託すのはセブンとしては避けたいところであろう。なので、自分はダンは変身したかったが出来ずウルトラアイが溶けてしまったと考える。

 

今まではセブンを始めとするウルトラマン達が地球を守っていたのでレオは戦う必要が無かった。しかし、ダンの「セブンはもういない」と言う言葉と目の前で溶けたウルトラアイを見てレオは戦う決意をする。
ウルトラアイが溶けた直後の「セブン! ……モロボシさん!」と言う台詞は信じがたいが受け入れなければいけない現実をレオが受け入れた瞬間であった。

 

「僕はウルトラマンレオです」と言うレオの自己紹介だが、出来れば最初は「僕はレオと言います」として、その後にダンがレオに向かって「あそこに沈む夕日が私なら、明日の朝日はウルトラマンレオ、お前だ!」と言う場面で初めて「ウルトラマンレオ」と言う言葉を使ってほしかった。

 

各隊員の特徴があまり無いと言われるMACだけれど、何とか頑張ってそれぞれの特徴を見付けていきたい。
怪獣に島を沈められるほどの能力は無いとゲンの訴えを否定する黒田隊員はマッキー1号で指揮を執っていて副隊長格である事を示していた。
青島隊員も怪獣に関しては我々の方が先輩なんだとゲンに突っかかっていた。
一方でゲンと同い年の赤石隊員は意外とゲンの言う事を聞いてくれていた。
因みにMACの初期メンバーの名前には色が入れられている。

 

ゲンのMACでの番号は「7」。「セブンを継ぐ」と言う意味が込められているのかもしれない。

 

MACの本部は宇宙ステーションになっている。
ダン隊長とゲンが宇宙ステーションの窓から地球を見る場面は二人の守るべきものが表現された名シーン。

 

レオの能力で怪獣を発見できてもMACのレーダーには反応が無かった。
ダン隊長の「人間の世界では人間のやり方でやらなければならない」は人間がウルトラマン達に依存しかけている現状を知る者の言葉で、ゲンの「宇宙人だの人間だのと言っている場合ではありません」は実際に故郷を滅ぼされた者の言葉。
ダン隊長の言葉は先々の事を考えてなのだろうが、危機が今そこにある以上、ゲンの言い分の方が正しいと思う。今は早めに対策を立てておかないと人々を守れない状況なので。
このテーマは意外と『レオ』では触れられず、『80』のユリアン編で決着が付けられる事になる。
ところで今回は潜水艦マックシャークを使えば怪獣を発見できたのでは?

 

津波の場面は過去作品の流用映像もあるが合成やミニチュアをふんだんに使ってかなりの迫力。1973年に公開された『日本沈没』の影響も大きいらしい。
合間に挟まれる大村さんの「魚だ! イカもいるぞ!」が意外と面白かった。この人がいなかったら『レオ』はもっと重苦しい作品になっていただろう。

 

第1話では百子さんよりカオルちゃんの方がヒロインっぽい扱いになっている。

 

『レオ』はBGMが格好良い。
挿入歌の『星空のバラード』も作品に合っていて良かった。

 

レオの活動時間はわずか2分40秒となっている。戦士としての訓練を受けていないからだろうか?
レオの体にはカラータイマーがあってウルトラ文字のようなマークもあるとM78星雲のウルトラマン達との共通部分がいくつか見られる。確かL77星とM78星雲は同一の祖先を持つと言う裏設定があった気がする。

 

今回登場したマグマ星人、ブラックギラス、レッドギラスは大沢哲三(大澤哲三)さんがデザインしたウルトラ怪獣第1号となっている。

 

一人でも勝ってみせると飛び出したレオだが双子怪獣の前に苦戦を強いられる。
「駄目だ! ウルトラマンレオが負ける……。日本は沈没する!」。
と言う事で次回「大沈没! 日本列島最後の日」に続きます。

 

 

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