帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「さようならレオ! 太陽への出発」

恐怖の円盤生物シリーズ! さようならレオ! 太陽への出発 ー円盤生物ブラックエンド ウルトラセブン登場ー
ウルトラマンレオ』制作第51話
1975年3月28日放送(第51話)
脚本 田口成光
監督 山際永三
特撮監督 矢島信男

 

ウルトラセブン
身長 40m
体重 3万5千t
ゲン=レオの夢に現れ、レオに最も大切な時、愛する人間達の中で生きていけるかどうかを決める時が来たと告げる。そして「今、沈んでいく夕日は私だ。レオ、明日昇る朝日は、お前だ!」と語って空の彼方に飛び去る。
ゲンの見た夢、幻だったのか? それとも……。

 

円盤生物ブラックエンド
身長 55m
体重 2万9千t
ブラックスターから地球にやって来た最大にして最強最後の円盤生物。
円盤形態で地球に侵入し地底に潜って地震や陥没を起こしていた。姿を現してレオの名前を呼び続けるが、なかなか現れないので一時退却し、その後、ゲンとトオルが2人きりの時を狙って再び出現して2人を追い詰める。
角や火炎を武器とするも、迷いの無いレオに歯が立たなかった。ブラック指令がトオルを人質に取った事で一時は形勢逆転するが、トオル達がブラック指令を倒して奪った水晶球をレオに投げると、レオは水晶球をブラックエンドに投げつけて勝利した。

 

ブラックスター
地球から1千万kmの彼方、ガラスのような壁を割った先に存在する悪魔の星。
表面は岩塊に覆われていて文明の痕跡は見えない。
ブラック指令の水晶球からの指令を受けて計12体の円盤生物を地球に送り込んだ。
最後の円盤生物ブラックエンドとブラック指令が倒されるとレオ目掛けて急接近するが、シューティングビームで破壊された。

 

物語
レオの名を呼びながら街を破壊するブラックエンド。
いずみはブラックスターの目的は地球ではなくてレオなのではと考え、トオルはレオに依存してしまっていた。
ゲンは悩む。「レオがいない方が地球にとって良いのでは?」と……。

 

感想
第2期ウルトラシリーズ最終回。
この年はゴジラシリーズが『メカゴジラの逆襲』で、仮面ライダーシリーズが『仮面ライダーストロンガー』で一旦終了して、まさしく一つの時代が終わりを告げたと言える。

 

久し振りに城南スポーツクラブでのゲンの生活が映し出される。
城南スポーツクラブは最後まで無事だったが大村さんは元気かな?

 

父親の墓参りに行く美山家。
咲子さんは30歳に見られた事があるらしい。因みに咲子さんを演じた春川ますみさんは当時39歳でした。

 

机に飾られる百子さんとカオルちゃんの写真。……猛は?
トオルが言うには、百子さんは休みの日に伊豆半島の海によく連れて行ってくれたらしい。伊豆半島からは黒潮島は遠くて見れないが、黒潮島が故郷の百子さんには見えていたとの事。
トオルは百子さんに故郷の黒潮島を見せてあげようと、写真を持って伊豆半島の海に行こうと提案する。
細かい設定を忘れていなかったのが嬉しい。

 

故郷がある人は良いなぁと言うトオルに対し、ゲンは東京で生まれたのならトオルの故郷は東京だと答える。言われてみればその通りだが、東京が故郷と言われるのは珍しい。
トオルは現在の東京には山も海も無いと言い、公害で汚染されていく東京の絵が映し出される。故郷を失ったゲンと違って人間は自分達が今住んでいる所を故郷と感じられないので平気で故郷の地球を汚してしまうのだろうか?

 

ブラックエンドが現れ、ゲンはトオルに1人で逃げろと言うが、トオルはゲンと一緒じゃなきゃ嫌だと訴える。「レオの命よ! キングの奇跡!」でゲンがブニョに連れ去られたばかりなので離れたくなかったのだろう。

 

トオルがレオに依存してしまっている事に気付いたゲンは「お父さんがやられた時、カオルちゃん、百子さん、猛が死んだ時、自分で仇をとると言ったじゃないか?」と言うが、トオルの返事は「人間の力ではやはり怪獣には敵わない」「待っていれば今にレオが来て助けてくれる」と言うものだった。
たった1人でも自分を必要としている人がいる間は、その人の為に戦い続けるウルトラマン。しかし、それが人間に自ら戦う事を放棄させ、ウルトラマンに依存する心を生み出させてしまった。

 

とうとうゲンはレオに変身できなかった。トオルはそんなレオをズルくて意地悪だと罵る。トオルはレオが人間の都合だけで戦ってくれる存在だと思ってしまっている。これではレオは、ウルトラマンはただの便利屋、人間にとって都合の良い地球防衛用の道具でしかない。

 

ゲンとトオルはレオと円盤生物の戦いに巻き込まれてしまったのだと言ういずみ。怪我をしたゲンを思っての言葉なのだが、それが余計にゲンを傷付けてしまう。
一方、レオの正体がゲンだと感じ始めていた咲子さんはレオを弁護している。
しかし、最終目標が地球侵略とは言え、今、ブラックスターがレオを狙ってきている事は事実。これ以上、レオ=ゲンが美山家にいれば周りの人に危険が及んでしまう。
特別チームは隊員の中にウルトラマンがいようがいまいが宇宙人や怪獣と戦うが、特定の民間人が宇宙人や怪獣から集中攻撃を受けるのは普通は無い状況。これはゲンがMAC隊員から民間人になった為に起こってしまった問題。

 

その夜、ゲンの夢にセブンが現れて固い握手を交わす。レオとセブンの2ショットは意外と少ない。
これはゲンが見た夢、幻なのか? それとも生きていたセブンからのテレパシーなのか?
個人的にはセブンは生きていたと思う。ウルトラアイがウルトラの国に持って帰られて修理されているし、仮に死んでしまったとしても、たった1人でもセブンを必要としている人がいる間はセブンはまだ死ねないから……。

 

セブンはレオに「今、沈んでいく夕日が私だ。レオ、明日昇る朝日は、お前だ!」と初めて会った時を思わせる台詞を述べる。そしてセブンは地球人ダン隊長の姿にならず、宇宙人セブンの姿のまま空の彼方に飛び去る。
おそらく地球人ダン隊長はMAC隊員と共に死んだのだ。
しかし、宇宙人セブンはまだ死ねない。宇宙にはまだセブンを必要としている人がいるのだから。
セブンは最後に愛弟子レオに勇気を授けた後、地球を離れ、宇宙へと去って行った。

 

翌日、トオルはゲンから父親が自分を城南スポーツクラブに入れた理由を聞かされ、昔持っていた頑張りを取り戻す。
ここで交わされた海に行く約束はラストシーンで果たされる事となる。

 

前回の「レオの命よ! キングの奇跡!」でレオの正体がゲンだと知ったブラック指令は今回初めて自らゲンを狙う。
気のせいか、今回のブラック指令はアクションがかなり大きい。

 

再び現れるブラックエンド。トオルは自分の力で必死に逃げる。逃げる事だって自分の命を守る為の戦いだ。自分の力で立ち、走り、逃げたトオル。結局はブラックエンドに追い詰められてしまうが、ゲンはトオルの頑張りを認めて遂に正体を明かす。
トオル。よく聞け……。俺は、本当は、ウルトラマンレオなんだ……!」。
この告白場面は『T』の最終回「さらばタロウよ! ウルトラの母よ!」と似ているが実は大きく違う。光太郎が健一君のタロウへの依存心を無くす為に正体を明かしたのに対して、今回のゲンはトオルはレオや自分を頼りにしなくても大丈夫だと判断して正体を明かしている。

 

そしてゲンはトオルの目の前で変身する。
この場面は「大怪鳥円盤 日本列島を襲う!」でゲンが親友だった宏の前で変身した時と同じ。ゲンはあえてトオルの前で変身して自分の生き様を見せる事で、トオルに今の頑張りを永遠に失わないようにと告げたかったのだろう。これはゲンがトオルをかつての宏と同じく自分の親友、自分と同格の存在だと認めたと考えられる。もうゲンとトオルは保護する者と保護される者と言う関係ではないのだ。

 

最大にして最強最後の円盤生物ブラックエンドだが今のレオの敵ではない。もはやレオは未熟なヒーローなどではないのだ。
しかし、ブラック指令がトオルを人質に取った事で形勢が逆転。苦戦するレオの脳裏に雄々しくも戦った在りし日の思い出が蘇る。

 

その時、セブンの声が聞こえた。「レオ! 今こそお前の力を発揮する時だ!」。レオの力とは何か?
この時、トオルは自力でブラック指令から逃げ出し、あゆみ達は力を合わせてブラック指令を倒す。このトオル達の頑張りはレオの今までの頑張りが生んだもの、これこそレオの力だった。
そしてトオル達の援護を受けたレオはブラックエンドを倒し、ブラックスターを破壊するのであった。

 

ここでブラック指令について。
『心にウルトラマンレオ』(辰巳出版)によると、ブラックスターの名前の由来は魔女が黒魔力を使う時に体に現れる「逆星」の呼び名らしい。
自分はあまり黒魔術に詳しくないが、この事から推理するに、ブラック指令は元々は普通の人間(地球人)で、水晶球を通じて自分の命と引き換えに悪魔の星ブラックスターと契約を結び、地球に円盤生物を召喚していたのかもしれない。その目的だが当時は終末ブームだったらしいので単に地球の破滅を願っていたのかもしれない。
これならブラック指令がトオル達に簡単に倒されてしまったのも説明付けられるし、地球に絶望した大人を希望を抱いた子供達が倒す事で暗澹たる現在を切り拓いて輝ける未来を生み出すと言うテーマも読み取る事が出来る。最後の敵は人間自身だったのだ。

 

続いてブラックスターについて。
レオ目掛けて接近し、シューティングビームで倒されたところを見ると、星と言っても、それ程大きな星ではないようだ。
もしかしたら円盤生物を生み出す卵みたいなもので、一度に1体ずつしか生み出す事が出来ず、12体全てを倒されてしまったので最後は自らやって来たのかもしれない。
ひょっとしたら、水晶球を通して得られるブラック指令の地球やレオへの怨み等が円盤生物を生み出すのに必要なエネルギーだったのかもしれない。

 

戦い終わったレオは、トオルトオルの友達がこんなに勇気があり、こんなに素晴らしい力を持っていた事を喜び、これで心置きなくレオの任務から離れる事が出来ると考える。
これまで何回か触れられた、ブラックスターがレオを狙ってくる事について。
何故レオが狙われるのか? それはMACも無い今、地球を守っているのはレオだけだったからだ。だからレオを倒せば地球は手に入れたも同然として、レオに集中攻撃を仕掛けてきた。
しかし、最後のトオル達のように地球人全てが自分達の故郷である地球を守る為に立ち上がったら? 敵はレオだけでなく地球人全てを倒さなければ地球を手に入れられなくなる。そうなったらもう敵はレオだけを狙うと言う事は無くなる。
もうレオがいなくても、トオル達は、地球人は自分達の故郷を自分の手で守っていける。そう考えたからこそ、レオは安心して前線から身を引く決心が出来たのだ。

 

桜が美しく舞うある日。
咲子さんは「私達はね。もしも、もしもよ。あなたが他の星の人でも、ちっとも気にしていないのよ」と言い、いずみは「私の知っているおおとりさんは宇宙人なんかじゃないわ。私達と同じ血の流れている人間よ」と言う。
それを受けてゲンは「ありがとう。僕にとってその言葉は一生忘れる事が出来ません。やっと今、この地球が僕の故郷になったんです」と答える。
『セブン』の最終回「史上最大の侵略 後編」で正体を明かしたセブンは同じ人間だと受け入れられながらもウルトラ警備隊から去らねばならなかった。それと同じくレオも正体を明かして美山家を去っていった。
しかし、セブンと違い、レオは地球を去らない。レオは地球にいる。何故なら地球がレオの故郷なのだから……。
「やっと今、この地球が僕の故郷になったんです。だから、青い空と青い海のある故郷をこの目で見て、この手で確かめたいんです」。
この台詞をもって、故郷を求める『レオ』の物語は終わりを迎えた。

 

ゲンはレオリングを外す。もう地球にレオは必要ではない。地球にはたくさんの地球人がいる。レオだけが地球防衛と言う重荷を背負う必要は無くなった。
L77星が滅亡してからレオは戦い続けた。正体を隠し、様々な苦難を背負って。しかし、もう正体を隠す必要も、苦難を背負う必要も無い。
今、ゲンは1人の人間として故郷である地球の美しい自然をこの目で見て、この手で確かめる旅に出る。
これから先、ゲンは美しい自然に囲まれ、平凡で静かで、平和で幸せな日々を送るだろう。我々が誰か1人に重荷を押し付けず、自分の手で自分達の故郷を守ろうとする限り……。

 

かつてマグマ星人と双子怪獣への復讐の為にレオは荒れ狂う海にその姿を現した。
そして今、トオルに見送られながらゲンは静かで優しい海に希望を抱いて旅立ち、夕日の中に消えていった。
こうして、一つの時代が終わりを告げた……。そして明日昇る朝日に照らされる者は……。

 

今回の話は山際監督と矢島監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。
山際監督は現在は冤罪支援運動や死刑制度廃止運動等を行っている。
矢島監督はこの後もスーパー戦隊シリーズメタルヒーローシリーズと言った多くの東映作品に関わっていく。