「恐怖の円盤生物シリーズ! まぼろしの少女 ー円盤生物ブリザード ハングラー登場ー」
『ウルトラマンレオ』制作第45話
1975年2月14日放送(第45話)
脚本 阿井文瓶
監督 外山徹
特撮監督 矢島信男
円盤生物ブリザード
身長 48cm~50m
体重 13kg~1万7千t
ブラックスターの調査を進めている科学者達を抹殺し、レオを倒す為にやって来た第6の暗殺者。
円盤形態で地球に侵入して湖の中に身を潜める。その後、眉子と言う少女とフランス人形を使ってブラックスターの調査を進めている科学者を次々に抹殺していった。
ゲンに気付かれた後は眉子とフランス人形を回収し、円盤形態から戦闘形態に変形して、零下100度の凍結ガスでレオを氷漬けにしてしまう。レオが寒さに慣れ、氷柱で凍結ガスの発射口を塞がれると、今度は背面から1000度以上の炎を発する。そのまま円盤形態に変形して湖の中に逃げ込み、炎で湖上を炎上させてレオを近付けないようにするがウルトラマントで炎を消され、ハンドビームで倒された。
名前の由来は「ブリザード(吹雪)」かな。
「ま……ゆ……こ……」。
物語
ある夜、ゲンとトオルは謎の少女眉子と出会う。
ゲンは眉子を怪しむが、トオルは眉子に死んだカオルの面影を感じる。
感想
MACが全滅した後、宇宙生物研究所の科学者達によって円盤生物の研究が行われていた。ここでようやくブラックスターの存在が科学者達に認められた。シルバーブルーメ以降の宇宙怪獣が全て同一の組織に属している事が判明したのだ。
しかし、ブラックスターの存在が分かっても円盤生物の地球侵入を未然に防ぐ手立てが無い。おそらく防衛軍には宇宙装備が無いのだろう。
役立たずだの影が薄いだのと言われるMACだが、全滅してその存在の重要さがよく分かった。もしMACが全滅していなかったら、ブラックスターの存在をもっと早くに知る事が出来ただろうし、地球に侵入する前に宇宙で迎撃する事も出来ただろう。
円盤生物の襲来を感じて出かけようとするゲンとトオルを咲子さんといずみは止めようとするが、ゲンは「今は一刻を争う時なんです。奴らが何かを始めてからでは遅いんです」と答える。ゲンの決意を聞いた咲子さんは止めても無駄だと分かったのか、決して無茶をしないようにと注意して2人を送り出す。
ゲンの今の台詞や、その後の眉子に対する考え方は、かつてのダン隊長を思わせるものとなっている。まぁ、ダン隊長よりはかなりソフトであるが。
謎の少女眉子。一般的にはブリザードの分身体だと言われているが、子供達に虐められて泣いていたり、仲良くしてくれたトオルを攻撃するのを躊躇ったり、ブリザードに帰還する前にトオルの方を振り向いたりと、ブリザードとは別に意思があるように見える。
ブリザードは人間が子供を警戒しない事を知り、眉子と言う少女を利用したのかもしれない。ひょっとしたら、眉子は元は人間、既に死亡していてブリザードからかりそめの命を与えられて、ブリザードの代わりに科学者達の抹殺を担わされていたのではないだろうか。
そしてブリザードと眉子を繋ぐものがあのフランス人形だったと考えられる。
警備員にも顔が知られているゲン。おかげで顔パスで狙われている科学者の家にも入れる。一方の眉子も人間は子供を警戒しないと言う盲点を突いて家の中へ。
眉子を見たトオルはカオルぐらいの女の子だと言う。眉子に今は亡き妹の面影を感じたのだろう。夕焼けをバックにしたトオルと眉子のシーンがもの哀しい。
その眉子がブリザードへと帰還し、その後レオに倒される。そしてトオルの足元に落ちてきたフランス人形。それを手に取って「私は言葉分からない……」と歌い出すトオルは精神破綻の一歩手前。
そこを咲子さんが受け止めるが、この展開は「死を呼ぶ赤い暗殺者!」の前フリとなる。
「レオの弱点も刻々とブラックスターに送られていた」。
「円盤生物シリーズ」のレオは強い! 少し苦戦する事はあっても最終的にはかなりの差で勝利している。今のレオを倒すのは容易ではない。しかし、そんなレオにも弱点がある。いや、その弱点はレオだけが持っているものではなく人間誰もが持っているものだった。それは精神、心……。
今回登場したブリザードは人間の心の盲点を突いてきた。普通の攻撃ではレオを倒せないと気付いたのか、円盤生物は段々と搦め手を使ってくるようになってきた。
今回の話は外山監督の『レオ』監督最終作となっている。
「ええい! だらしがない! ブラックスターよ、今度こそレオを倒せるものを地球に送れ!」。