「攻撃指令 目標はピグ!! ー電子怪獣コンビューゴン登場ー」
『ザ☆ウルトラマン』制作第10話
1979年5月16日放送(第7話)
脚本 若槻文三
演出 石田昌久
電子怪獣コンビューゴン
身長 80m
体重 6万3千t
5年前に宇宙ステーションを襲ってコンピューターを捕食した宇宙怪獣は宇宙戦闘機の攻撃で地球に落下して深い地底で眠り続けていたが、銀河宇宙の彼方から太陽系に侵入した惑星ジオラが爆発して地球各地に降り注いだ異常電波をキャッチしてエネルギーを吸収した事でコンピューターを頭脳とした怪獣として活動を再開した。
地下から現れ、触手から発する光線で街を破壊する。頭の中にあるコンピューターで早くて確実な動きが出来る。
ピグとジョーニアスの攻撃でコンピューターを取り出されて元の宇宙怪獣に戻った後、宇宙へと連れて行かれた。
名前の由来は「コンピューター」かな。
ロボット101号
身長 185cm
体重 190kg
最新型のテストロボットで科学警備隊で研修する事になった。自らを最新型の天才ロボットと称し、やたらと難しい言い回しを好む。スーパーマードックの操縦も可能。
最初はピグを不要と断じるも、コンビューゴンとの戦いでの活躍を見て評価を改める。
研修のテストは98点の合格で極東ゾーン日本アルプス監視所に勤務する事になった。
物語
惑星ジオラ爆発による異常電波の拡散後、ピグは体の内部から響く謎の感覚に苦しめられていた。
そんな中、科学警備隊に最新型のテストロボット101号がやって来る。
感想
機械も心を持てば人間と同じ悩みを抱えるようになる。今回は自信を失ったピグの苦悩を軸にしたお話。
異常電波による謎の感覚の影響か、冒頭から自信無さげなピグ。
危険を感じて警告も発するも、アキヤマキャップの「万一と言う事もある」と言う言葉を聞いて「万一と言う事は自分を信用していないと言う事」と捉え、その後も101号がピグは栄えあるロボットの第1号と褒めても、第1号と言う事はそれだけ古くなったと言う事と悪い方へと思考を展開させてしまう。
謎の感覚に苦しむピグは壁に頭をぶつけて無理矢理に鎮めるが、仮にも精密機器なのだから、そんな方法で良くなるとは思えない……。
科学警備隊にやって来た101号は「人間間における世代間の断絶がロボット間にも存在するか」をピグとの対話を通じて探求し、来るべきロボットの老齢化社会に備えたいと訴えるが、自信喪失状態のピグでは話し相手にならず、廃棄処分場をバックに「価値ある物体が価値を喪失した瞬間、社会はそれを悲劇的に抹殺する」と語り、話を理解できないピグに向かって「あ~あ、いらない物は捨てろって事さ」と吐き捨てる。
裏表ありそうなキャラクターではあったが、この台詞を吐いた時に垣間見せた一面はかなり冷酷で恐ろしかった。
その後、しゃっくりをしながら何か危険があると曖昧な説明をするピグに対して、「不確実な情報を出してはいけない。不確実性の時代だからこそ、ロボットには確実性が要求されるのだ」と断じ、タワシがおなかの裏を擦ったような感覚を叩けば治ると無理矢理に鎮めようとするピグを「うわぁ~、低いなぁ……」と見下す。
遂にロボット工場に入院する事になったピグ。
検査員の報告によると、ピグはロボットとしては優秀だが自信を失っていて、自分から廃棄処分にしてほしいと訴えているとの事。
話を聞いたヒカリとムツミ隊員がお見舞いに行くもピグの気持ちは晴れず、再び危険信号を察知したピグは廃棄処分の戦闘機を無断発進させて、その危険信号の発信源へと向かう。
廃棄処分の戦闘機を危険視した桜田長官は市街地上空に入る前にピグが説得に応じなければ撃墜せよと指示。
アキヤマキャップが苦渋の末に撃墜命令を出すも、照準を合わせるヒカリには最後の決断が出来ない。話を聞いたピグは何も無いのに危険信号を感じる自分を撃墜してほしいと頼むが、ヒカリが逡巡している間に遂にピグの操縦する戦闘機が市街地上空に入ってしまう。
さすがにここで撃墜するのは危険なのでは?と思っていると地下からコンビューゴンが出現して、ピグは誰も察知できなかった怪獣の存在をいち早く見付けていた事が分かる。
コンビューゴンの正確無比な攻撃に科学警備隊は苦戦を強いられるがピグの分析で勝機を見出し、最後はジョーニアスによって無事に事態が収拾される。
101号のテスト結果は98点。本人は満点を取れるつもりだったらしく、マイナス2点の理由が分からなかった。
個人的な見解だが、ピグがいなくなって寂しがるモンキを捕まえて「自分に懐け」と無理強いして逆に逃げられた場面があったように、101号は他人の気持ちを無視するところが見られるので、そこが問題視されたのではないだろうか。
自信を取り戻したピグ。皆が褒めていい気になるが、でも最高なのはやはりジョーニアスだったと最後に言われてズッコケ。
でも今回は最初からピグの危険信号を信じていれば市街地の被害はかなり減らされたと思うし、コンビューゴンとの戦いでも勝利のきっかけを作り出しているので、最高の称号をジョーニアスでなくピグに与えても良いと思う。
「ピグは正常だった。いや、正常と言うより、誰よりも優秀な奴だったんだ」。
危険信号を発するも何も異変が見付けられなかったとしてピグの能力に疑問符が付けられてしまうが、本当は誰も察知できなかった脅威をいち早く見付けていたと言う今回のお話。
皆が発見できるものを発見するだけではわざわざ科学警備隊に配備されている意味が無い。しかし、誰も発見できないものを発見したとしても、それを信じる者がいなければ、その発見は意味を成さなくなってしまう。
正常と異常の違い、異常と優秀の紙一重さを感じる話であった。