帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「謎のモンスター島」

「謎のモンスター島 ー岩礁怪獣アイランダ登場ー
『ザ☆ウルトラマン』制作第22話
1979年8月1日放送(第18話)
脚本 吉川惣司
絵コンテ 奥田誠治
演出 古川順康

 

岩礁怪獣アイランダ
身長 816m
体重 14万5千t
日本の南端に浮かぶ南浮子島に現れた怪獣。
青白い光線を吐く。
最初に海ヘビみたいな怪獣と認識されていたのは実は足だった。金色の頭の皮を本物の金と勘違いされて鉱山開発社の工事を受ける事になる。
スーパーマードックの麻酔弾を撃ち込まれて逃げようとしたところを、ユリコの応援を受けたジョーニアスのプラニウム光線で倒された。
島の地下洞窟に棲みついていたが、数十万年(!)かけて巨大化したらしい。さり気ないが、ひょっとしてウルトラシリーズでもかなり長寿の部類に入るのでは?
名前の由来は「アイランド(島)」かな。

 

物語
故郷の南浮子島に怪獣が出現した事を知ってユリコの顔色が変わる。
実はユリコは自分は科学警備隊で活躍していると父親に嘘の手紙を送っていたのだった。

 

感想
ユリコ主役回。
夢を目指し、親に無理を言って旅立つが挫折し、それを繕う為に嘘の報告をしてしまうと言う王道展開。
ユリコのような戦闘や開発に関わっていない一般隊員の話はウルトラシリーズでは少ない。組織の描写の幅を広げられると思うので、もっとやってほしい。

 

ユリコが父に送った手紙だが、その中の「大好きなヒカリ隊員」と言う一文をムツミ隊員に読ませてしまう場面は見ているこちらがドキドキしてしまった。
以前にもユリコはヒカリに気がある雰囲気を見せていたので、ムツミ隊員とは違った感じのヒロインとして活躍させてほしかった。真面目だがお茶目な部分を見せる時があるムツミ隊員、天真爛漫なお姫様のアミア、トラブルメーカーのユリコとそれぞれキャラクターが分かれているので面白くなると思う。

 

怪獣に夢中で科学警備隊を目指していたユリコ。
部屋にはステゴン、テロチルス、キングマイマイ等、『帰マン』を中心にした怪獣の資料がある。
本作はM78星雲シリーズとは違う世界なので、これらの怪獣は『ザ☆ウル』の世界では実際には出現していない架空のものなのか、それともバルタン星人やレッドキングのように『ザ☆ウル』版のステゴン等が過去に出現していたのか気になるところ。
ユリコは怪獣好きだったと言う設定は意外性があって面白く、それを生かしたエピソードを見たかった。専門家である科学警備隊とは違った目線から怪獣の特性を見破る話とか作れたと思う。

 

ユリコの科学警備隊入隊に反対していたと言う父親。話を聞いて頑固おやじを想像したが、登場したのは口数が少ない物腰柔らかい父親だった。
ユリコに科学警備隊は優秀な人が集まってくるが大丈夫なのかと尋ねているので反対と言うより心配していたと言う方が正しいかも。
ユリコが送っていたパイプを使ったりと意外と良好な親子関係であった。

 

父親の医者の仕事を手伝うのは嫌だと島を飛び出したユリコだったが、父が心配した通り、勉強に追い付けず、飛行機の操縦が出来ず、結局は喫茶店で働く事になる。
ユリコの出身地である南浮子島に怪獣が出現し、科学警備隊であるユリコが調査に行かなければ父親に嘘がバレてしまうとしてユリコとムツミ隊員が入れ替わる事になる。
島に着いたユリコはヒカリ達のフォローでしばらくは隊員として振舞えていたが、ヒカリ達がいない時に海から怪獣が出現した為、ベータミーを操縦する事になってパニックに陥ってしまう。ヒカリが通信で指示を送るが、操縦に失敗したユリコは不時着して父親を負傷させてしまう。
自分を責めるユリコをヒカリが叱咤激励する。
「しっかりするんだ。島を守りたいなら今は隊員のつもりで最後まで頑張るんだ。いいね」。
それを聞いたユリコは寝ている父親に向かってお詫びと決意を述べる。
「お父さん、私、わがままばかりやって来たけれど、これで最後よ」。
そしてヒカリ達の忠告を無視して怪獣の正体を探ろうと一人で海に潜り、怪獣を見付けるも逆に襲われて危機に陥ってしまうが、そこを父親が助けに来る。

 

怪獣が出現する前から地震や魚が獲れなくなる異常が起きていて、島の人間は本土から来た鉱山開発が原因ではと考えるが、開発社は科学警備隊の質問にも金を掘っている事を明かさなかった。
しかし、金だと思っていたのは実は金色をした怪獣の頭の皮で、開発社がダイナマイトで怪獣の頭に穴を開ける事になって遂にアイランダが出現してしまう。
怪獣出現に開発者は土地を返すから助けてほしいと訴えるが、ヒカリは「あぁ、島が残ったらね」とチクリ。酷い扱いを受けたせいか明らかに怒っている。
アイランダによってユリコの父親の診療所等が破壊されているので開発社は損害賠償が大変そうだ。怪獣出現は予測不可能だったと思うが科学警備隊の警告を無視して工事を強行したのは問題だ。

 

アイランダ出現にトベ隊員はアキヤマキャップに指示を乞うが「ユリコを勝手に連れ出した罰だ! 自分達で考えろ!」と怒られてしまう。
常に冷静沈着なイメージのあるアキヤマキャップだが意外とすぐキレる。(最後は助けに来てくれるが)

 

事件解決後、アキヤマキャップは最後まで嘘を吐き通す事を良しとせず真実を告げようとするが、その前にユリコが自ら嘘を告白する。しかし、実は嘘に気付いていた父親は科学警備隊への入隊を諦めて島に帰ると言うユリコを優しく諭す。
「それはいかん。いいかい、ユリコ。人にはそれぞれの役割と言うものがある。お前のしている事だって何も恥じる事の無い立派な仕事じゃないか。怪獣との戦いに疲れた隊員の皆さんを慰める大事な仕事だ。諦めてはいかん。自分の役割をしっかりと果たすよう頑張る。精一杯背伸びをするんだ」。
それを受けてヒカリが「帰るよ」と言い、アキヤマキャップが「戦いが終わった後、君の美味いコーヒーが飲めなくては困るからね」と告げる。
そして父親はあの日と同じように再びユリコを島から見送るのだった。

 

準レギュラーとして紹介される事の多いユリコだがまともな出番があるのはこの話だけで実はゲストと言った方が良い。
今回の話を踏まえてのユリコの物語を見たかったので、この後の登場が無いのは残念。