帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「不死鳥の砦」

「不死鳥の砦 ー宇宙礫岩怪獣グロマイト登場ー
ウルトラマンメビウス』第15話
2006年7月15日放送(第15話)
脚本 谷崎あきら
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

ゾフィー
身長 45m
体重 4万5千t
宇宙警備隊の隊長でウルトラ兄弟の長兄。
非戦闘員でありながら戦いを続けた事で疲労が蓄積されていっているヒカリに光の国への帰還を促す。「地球を放っておけない」と訴えるヒカリの姿に弟達を重ね、しばらくの猶予を与える。

 

宇宙礫岩怪獣グロマイト
身長 55m
体重 5万t
宇宙より地球に接近した宇宙怪獣。
GUYSスペーシーによって撃破されるが中枢器官は地上に辿り着いた。
瓦礫や岩石を凝縮した強靭な鎧で中枢器官を守っているが、食事をする時だけ首の付け根から中枢器官が露わになり、ガンブースターのガトリング・デトネイターを中枢器官に受け、最後はメビウスのライトニングカウンター・ゼロで完全に粉砕された。
『ネクサス』の「要撃戦 ークロスフェーズ・トラップー」「追撃 ークロムチェスターδー」「受難 ーサクリファイスー」のゴルゴレムの着ぐるみを改造している。

 

物語
アライソ整備長の意見を無視してリュウは整備中のガンフェニックスで出撃するがメテオールが作動せず危機に陥る。
サコミズ隊長からセリザワとアライソ整備長の努力によって現在のメテオールがある事を教えられたリュウは自分達の力だけで戦える事を証明しようとするが……。

 

感想
ウルトラシリーズでは珍しい整備班を扱った話で「どうしてメテオールは1分間しか使えないのか?」と言う疑問に答えている。
危険なら1分間と言わずに禁止した方が良い。だが、危険でもそれで隊員の命を救えると考えた人がいた。それが今回登場するアライソ整備長。
リュウが指摘したように歴代特別チームの戦闘機は出撃しては落とされて隊員が脱出していた。しかし、皆、生きて帰って来た。帰って来させた。整備班が額に汗して整備するのは隊員を生きて帰って来させる為。アライソ整備長自身はメテオールを「得体の知れないもの」と捉えているが、それでも隊員の命を救う為に搭載を主張したのだった。
今回の話を見ると、「脱出」が多かった『A』や『T』の見方が少し変わるかもしれない。

 

マニューバモードをリュウ達は「敵の弱点を突く攻撃の為のシステム」と捉えているが、アライソ整備長は「敵の攻撃を受けない防御の為のシステム」と捉えているように思える。

 

アライソ整備長はリュウの事を「機体を大事にし過ぎる」「脱出するくらいなら機体と心中しようとする大たわけ」と評する。
リュウにとってガンフェニックスは単なる戦闘機ではなく、自分がセリザワ隊長の意思を継ぐ為になくてはならない象徴なのだが、アライソ整備長にとっては機体より命ある隊員が生きて帰って来る方が大事。
アライソ整備長のこの考えは、セリザワがディノゾールとの戦いで脱出せずにガンクルセイダーに乗ったまま特攻した事でより強固なものとなった。
セリザワと言う人間からリュウとアライソ整備長と言う全く異なる考えが生まれるのが興味深い。

 

セリザワはかつてメテオール試験機のテストパイロットを務めていた。20年以上に亘って怪獣が出ていないのに、どうしてメテオールの実験を続けるのかGUYS総本部の人間も疑問に思ったらしい。後の「旧友の来訪」や「心からの言葉」を見ると、冥王星の軌道上でゾフィーと出会った時に地球の現状を知ったサコミズがいずれ来ると思われる戦いに向けてメテオールの実験を進めたと推測される。
そう考えると、ガンクルセイダーにメテオールが搭載されず、「運命の出逢い」でセリザワが撃墜され、その犠牲がきっかけになってガンフェニックスにメテオールが搭載されたと言うのはサコミズにとって非常に辛い出来事だったと思われる。

 

アライソ整備長は科特隊のジェットビートルを始まりに、ウルトラ警備隊、MAT、TAC、ZAT、UGMと歴代特別チームで整備を担当していた。
この中には何故かMACが入っていない。MACでは戦闘機が撃墜されて死亡者も出ているので、アライソ整備長の「皆、帰って来させた」と言う台詞が成立しなくなってしまうので外したと思われるが、MACだけ担当していなかったと言うのはちょっと都合が良すぎる。
(逆にアライソ整備長が担当していなかった時期なのでMACでは死亡者が出たとも考えられるが)

 

セリザワとアライソ整備長の長年の努力の成果が現在のメテオール技術であった。今まで自分達はアライソ整備長におんぶでだっこだったのかと考えたリュウは自分達の力だけで戦える事を証明する為にガンフェニックスを自分達の手で整備する。
が、素人整備だったのでメテオールは使えず、さらにこの時のダメージでガンフェニックスは次の「宇宙の剣豪」でも出撃できない状態に。
リュウさん、アンタ、バカか!?
スポーツ漫画なら先輩の手を借りずに自分達の力だけでどこまでやれるか試してみるのも良いが、何度も言うが、これは人類を守る戦いなのだ。それを素人整備で機能の大半が使えず苦戦をし、さらに次の戦いでも出撃できなくしてしまうのは愚の骨頂。それで人が死んだらどうする気なんだ?
CREW GUYSはスポーツ漫画をモデルにしたとの事だが、その結果、隊員が人類を守ると言う使命の重さを理解できていないような展開になってしまった。

 

冒頭のグロマイトとの戦いで、体を回転させる事で受け止めたグロマイトの火球をその勢いのまま相手に投げ返すヒカリがカッコ良い。
ウルトラマンが敵の飛び道具を弾くのは何度もあったが、このパターンは初めてだ。

 

グロマイトとの戦いを終え、疲労から膝をついてしまうヒカリの前にゾフィーが現れる。
光の国への帰還を促すゾフィーに対し、ヒカリはボガール亡き後も怪獣が出現し続けている地球を放っておく事は出来ないと言って断る。
それを聞いたゾフィーはヒカリの姿に自分の弟達を重ね、長くは待てないぞとしばらくの猶予を与えて姿を消す。
異空間でのウルトラマン同士の会話は第2期ウルトラシリーズを思わせる演出で懐かしい感じに仕上がっていた。

 

今回の話でゾフィーの声を当てているのは田中秀幸さんで『メビウス』以降のゾフィーは田中さんの担当となっている。
自分が子供の頃に見ていたアニメには田中さんが声を当てているキャラクターが多かったので、田中さんがゾフィーを担当する事になって嬉しかった。

 

最新鋭の高速追跡戦闘機ガンブースター登場。
ここでガンウインガー、ガンローダー、ガンブースター3機によるガンスピーダー乗り換えが行われる。
「気流が不安定だ」と言うジョージの注意を「分かってるって、任せとけって」と軽く答えるリュウに対し、サコミズ隊長は「のぼせるな!」と一喝。これまで声を荒げる事が無かっただけに印象深い場面となった。サコミズ隊長はテストパイロット時代のセリザワが何度も命を落としかけているところを見ているので、軽く答えたリュウに喝を入れたと思われる。
そのリュウだが、ガンスピーダー乗り換え時に示されたバイタルの値で、実は不安や恐れを抱えていて、それを隠す為に無茶をしたり暴走したり軽口を叩いたりしている事が分かる。

 

ガンブースターのスパイラルウォールでグロマイトの火球を撥ね返したのには驚いた。いくらなんでも怪獣の火球を撥ね返した戦闘機は他に無い。

 

拳からプラズマ光線を放つライトニングカウンターを相手に接触した状態で放つ事で直接相手の中枢器官を攻撃する事が出来るライトニングカウンター・ゼロ。
ウルトラマンには珍しい打撃系の大技で、派手なエフェクトが格好良かった。

 

グロマイトとの再戦ではセリザワも現場に来て変身しようとしていたのだが、変身する前にCREW GUYSとメビウスがグロマイトを倒した。
ゾフィーに「長くは待てないぞ」と光の国への帰還を促され、アライソ整備長やサコミズ隊長の話でセリザワが死んだ事が強調され、自分が戦わなくてもCREW GUYSとメビウスが怪獣を倒す事が出来たとセリザワ=ヒカリが地球を去る時が近付いて来た。