帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「くるる ~眩る~」

episode7 くるる ~眩る~」
ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』第7話
2017年2月6日配信(第7話)
脚本 小林弘利
監督 小中和哉

 

ウルトラマンダイナ
身長 55m
体重 4万5千t
惑星カノンでの戦いを終えた後、姿を消したサイキの宇宙船の行方を捜し、再び姿を現したサイキの宇宙船がワープしたのを目撃する。

 

ウルトラマンコスモス
身長 47m
体重 4万2千t
戦いで大きなダメージを負った戦神を回復させる。

 

クグツベロクロン
身長 55m
体重 4万4440t
惑星カノンでの戦いを終えた後、サイキの宇宙船に回収された。

 

クグツバキシム
身長 65m
体重 7万8千t
惑星カノンでの戦いを終えた後、サイキの宇宙船に回収された。

 

宇宙悪魔ベゼルブ
身長 2m~50m
体重 400kg~4万t
ジャグラーによって切り倒された命の木から果実を回収しようとするが戦神の光線で倒される。
残った個体は惑星カノンでの戦いを終えた後、サイキの宇宙船に回収された。

 

宇宙悪魔クイーンベゼルブ
身長 60m
体重 4万4千t
惑星カノンでの戦いを終えた後、サイキの宇宙船に回収された。
その後、失われた惑星カノンの命の木の代わりに地球に命の木が育った事を感じる。

 

物語
目の前でミコットを殺されたジャグラーは魔人態へと変身する。
力を手に入れたジャグラーは戦いを終わらせる為に全ての元凶である命の木を消す事を決断する。

 

感想
ミコットの死を目の当たりにしたジャグラーは怒りと憎しみのまま戦い続け、力を求めた結果、魔人態へと姿を変えてしまう。
ジャグラーが魔人態に変身した理由は不明。元からあった能力ではなさそうなので外的要因によるものなのだろう。考えられるとしたら、クグツと命の木の種を体内に取り入れた事だが、『R/B』のグルジオボーンの事を考えると戦士の頂が与えた力だった可能性もある。

 

シンラから命の木が惑星カノンの要で人々の心の支えである事を聞いたジャグラーは「俺にはあの木が悪魔に見える。あんたらの神話は全部あの木についての話だ。あの木が全ての元凶だ。違うか? あの木が無くなれば戦いは終わる。もう犠牲は出ない。この戦いを終わらせてあんたらの女王様を守ってやる」と言って命の木を切り倒してしまう。
ジャグラーの選択は戦いをすぐに終わらせると言う点では正しい。しかし、圧倒的な力で戦神をも倒して命の木を切り倒したジャグラーの姿は惑星カノンの人々の目に守護者として映ったのだろうか。おそらくだが破壊者に見えたと思う。

 

命の木が倒れて惑星カノンの人々を押し潰しそうになるのを見た戦神は光線を放って命の木を完全に消し去る。
やはり戦神の戦闘力は凄まじい。アマテは戦いを嫌って交渉による解決を望んだが、この戦闘力をもっと上手く使えば交渉も上手くいったような気がする。

 

「この星を守った」と語るジャグラーであったが、ムサシは「今のが君の正義か……?」と尋ね、アスカは「力があれば何したって良いってわけじゃないぞ」と注意する。
この場面はムサシとアスカの違いがよく出ている。『コスモス』の「禁断の兵器」での「汚した手で自分の首を絞める事にはなりませんか?」もだったがムサシは相手に尋ねる形を取って相手に考えてもらうように話をする事が多い。一方のアスカは『ダイナ』の「青春の光と影」で兄の存在を強く意識していたケンジに「あいつはもういない」と言ったように結構ハッキリと指摘する事がある。

 

光に選ばれようとしてきたジャグラーであったが、光に選ばれず、光に選ばれたガイと力の差が生まれ、無力さによってミコットを目の前で失ってしまった。
そこでジャグラーが得たのが闇の力で、その力でミコットを殺したベゼルブ達を倒し、命の木を切り倒してウルトラマンですら成し遂げられなかった終戦をもたらす事が出来た。
しかし、ジャグラーが得た闇の力と戦い方はアスカに「光の戦士の戦い方じゃない」と否定されてしまう。
今のジャグラーには闇の力を捨てて再びウルトラマン達と一緒になる道と闇の力を持ち続ける道の二つがあるが、ジャグラーが選択した道は後者であった。前者を選択した場合、ウルトラマンではない自分はウルトラマンであるガイのサポート役、下の地位にしかなれない。ウルトラマンであるガイに命令される立場になってしまう。今のジャグラーにはその生き方は選ぶ事が出来なかった。

 

ライゴウはアマテが変身した戦神を攻撃したジャグラーを見逃すわけにはいかないとして捕らえようとする。
いや、そういうアンタだってシンラの偽者を仕立ててアマテを襲わせようとしたような……。

 

惑星カノン編は今回で終了。今回の話ではガイもアマテもサイキも挫折を味わっている。
三人とも平和を望んでいるのは同じなのだが、ガイはウルトラマンと言う力を使って、アマテは武力を否定する事で、サイキは世界そのものの仕組みを変える事で平和を成し遂げようとしている。
三人のやり方はそれぞれ違うのだが、三人とも考えが地に足が着いていないと言う点は共通している。
ガイの場合は自分より優秀なジャグラーがいたので自分がウルトラマンになる事を想定していなかった、アマテの場合は女王なので周りに多くの人がいた事で自分が実戦に出る事が無かった、サイキの場合はサポートAIのパーテルや自分とシンクロしているクイーンベゼルブだけを周りに置いていた為に自分とは考えが違う他人と関わる事が殆ど無かった、と言った理由が考えられる。
そしてこの後、ガイはジャグラーのサポート無しで戦う事になり、アマテは惑星カノンを離れて地球に行く事になり、サイキはクイーンベゼルブの真意を知る事になり、とそれぞれ変化を求められるようになる。

 

惑星カノンの命の木は消えたが地球で新たな宇宙の木が育つ事になる。
不気味に芽を伸ばす命の木の種を見るとジャグラーが「元凶」と言ったのも分かる気がする。この命の木を狙ってサイキとクイーンベゼルブが来る事になるし……。

 

ULTRAMAN』の作者である清水栄一さんと下口智宏さんがアマテに会おうとするガイを制止する番人役として特別出演している。