帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「青春の光と影」

「青春の光と影 ーゾンボーグ クローンダイゲルン登場ー
ウルトラマンダイナ』第39話
1998年6月6日放送(第39話)
脚本 吉田伸
監督 児玉高志
特技監督 佐川和夫

 

超異形進化怪獣ゾンボーグ
身長 61m
体重 7万4千t
アスカとケンジに追い詰められたヤマザキが改良エボリュウ細胞を使ってモンスター化した姿。アスカとケンジを殺してエボリュウ細胞を積んだロケットを地球にばら撒こうとした。
触手や発する電気でダイナを苦しめるが最後はダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線で倒された。
名前の由来は「ゾンビ」と「サイボーグ」かな。

 

肉食地底怪獣クローンダイゲルン
身長 62m
体重 8万3千t
ヤマザキが復活させたクローン怪獣で口から炎を吐いて街を破壊する。
ガッツシャドーに倒されるが実はスーパーGUTSを惹き付ける為の罠だった。
手の形が変わって体が一回り大きくなっている。

 

異形進化兵士ゾンボーグ兵
身長 190cm
体重 110kg
ヤマザキが作った生体人造人間で銃を装備してロックランドを警備している。
倒されると泡を出して溶ける。アスカとケンジに全滅させられた。

 

物語
アスカの目の前に突然現れた謎のガッツウイング。その名はガッツシャドー。
操縦者はアスカとスーパーGUTS入隊を争ったフドウの弟ケンジであった。

 

感想
第3クールのラストと言う事で『ダイナ』の中でもシリーズ全体に関わる重要な話。
多くの要素があるがそれらをキッチリとまとめている。ただゾンボーグとの決着はちょっとあっさりしていた感じ。『ダイナ』の怪獣の中でもトップクラスに執念と言うか情念がある相手だったので、あんなにあっさり倒されるのは意外だった。

 

ブラックバスター専用機ガッツシャドーが登場。
型は旧式でも性能は最新でなんとネオマキシマまで搭載している。
視聴者の知らない戦闘機がいきなり現れて怪獣を倒したのには驚いた。

 

ヤマザキがゴンドウ参謀に変装して遺伝子研究室の危険遺伝子保管室から盗み出したのはエボリュウ細胞であった。まだ残していたのか。人間って本当に懲りないなぁ……。

 

ヤマザキはルパンのようにゴンドウ参謀の顔マスクを付けて体型まで変える。
さらに銃を隠し持ち閃光弾で相手の目を眩ませる。アンタは忍者かスパイかと言いたくなる。
その後、宇宙に逃亡してアステロイドベルトにある閉鎖された宇宙防衛施設ロックランドに陣取る。と言う事はヤマザキは宇宙船を持っているのか。
ロックランドに配備された大量のゾンボーグ兵は人造人間と言うさり気に凄い設定。
ヤマザキ一人でこれら全てをやったのだろうか? さすがに協力者がいないと難しいような気がするが……。

 

激闘! 怪獣島」で目標であるオオトモ博士を失ったヤマザキ
ヤマザキも最初は自分の研究を人類の役に立てようと考えていたが、同じく自分の研究を人類の役に立てようと考えていたオオトモ博士がTPCに反対されて死んでしまった事からオオトモ博士を死なせたTPCへの復讐へと目的が変わってしまう。

 

ヤマザキは怪獣の遺伝子を組み込んだエボリュウ細胞を積んだロケットを地球にばら撒く事で人類を最強の肉体を持った新たなる神の姿に生まれ変わらせようとする。
ヤマザキの目的は人類全てを怪獣化させる事。とんでもない考えだが、現在の人類がスフィア合成獣や怪獣に怯え、結果として光の巨人に媚びた形になっているのは事実。人類全てが怪獣化すれば他の怪獣とも戦えるだろうし光の巨人に媚びる必要も無くなるだろう。光の巨人になるか怪獣になるかの違いはあるが、ヤマザキの考えは『ティガ』のマサキ・ケイゴに通じるものがある。
だが、今のヤマザキの根っこには「自分が新たな人類の創造主となる」と宣告してアスカに「他人を見下したいだけじゃないか」と指摘されたように自分やオオトモ博士を認めなかった世界を自分の支配下に置きたいと言う歪んだ気持ちがあった。

 

新たなる光(前編)」「新たなる光(後編)」に登場したフドウの弟であるケンジ。
ケンジは目標だった兄が夢だったスーパーGUTSに入れず新型機の実験中に事故で死んでしまった事で目標を失ってしまった。(因みに『空想科学のすばらしき世界』(朝日ソノラマ)によると、フドウが実験中に死亡した新型機はアルファSだったらしい)
目標を失ったケンジは兄の代わりにスーパーGUTSに入隊して兄が実験中に死亡した新型機アルファSに乗っているアスカを見返そうと考えるようになる。

 

兄のライバルであったアスカに実際に会ったケンジだが、アスカは仲間を気にして怪獣を攻撃できず、ヤマザキを撃てずに逃げられてしまう腑抜けであった。アスカが兄を超えるような存在だったらケンジもまだ納得がいったのかもしれないが、ケンジが実際に会ったアスカはとてもそうは思えない人物であった。
しかし、アスカの「あいつはもういない」の言葉を聞いたケンジは兄を中心にしていた自分の考えを改めていき、かつての自分と同じ境遇のヤマザキを見て「他人を逆恨みして当り散らしても絶望の淵から這い上がれない」と語るようになる。

 

アスカの「もう一度フドウと一緒に戦いたかった」と言う言葉にケンジは「お前は運が良かっただけだ」と答える。
最初にスフィアに襲われた時、アスカもフドウも撃墜されたがアスカだけ光を手に入れた。もしアスカが光を手に入れていなかったら、アスカがフドウの辿った道を通って、フドウがアスカの辿った道を通った可能性は十分にある。
その事に気付いたアスカはリーフラッシャーをフドウの弟ケンジに預け、ウルトラマンと言う光に頼らずに自分の全力を尽くそうとする。結果として今までウルトラマンの力に頼ってきていたアスカの成長が見えた展開だった。

 

ロックランドに潜入するアスカとケンジだが、突っ走りがちなケンジに対しアスカは抑えに回っている。この二人の関係はいつものアスカとコウダ副隊長に似ていて、「目覚めよアスカ」辺りと比べるのも面白い。アスカも成長したんだなと感慨深くなるが途中からアスカもケンジと同じように熱くなってしまう。まだまだコウダ副隊長への道のりは長いようだ。
あと、今回の話に限るとアスカはケンジの兄であるフドウの位置にも当たるのだろう。

 

追い詰められたヤマザキは改良エボリュウ細胞でモンスター化してしまう。最後まで希望を信じる事が出来なかった男は破滅へと向かってしまった。
一方のケンジは「本当は希望を信じたかった」と漏らし、それを聞いたアスカは「光は必ず見える」と語りかけ、リーフラッシャーから解き放たれた光に包まれるとアスカとケンジはウルトラマンになるのであった。

 

事件解決後、ケンジはスーパーGUTS入隊が今の自分の夢だとして訓練施設ZEROに戻る事に。今度の目標はアスカだ。
兄の墓参りをするケンジの上空をアスカが飛ぶ。アスカが乗っているのはアルファSだった。

 

ケンジからアスカへの手紙を「ラブレター」とからかうマイ。ケンジにそんな気は無かっただろうが「アスカ隊員の手が触れた時、確かに光が見えた気がします」は確かに取りようによっては、ね……。

 

目標だった兄を新型機実験中の事故で失ったケンジの境遇は実は目標だった父カズマをゼロドライブ計画で失ったアスカとほぼ同じだったりする。
しかし、アスカは他人を逆恨みしたり当り散らしたりする事はせず、あくまで自分の目標を夢を追い続けた。これこそがアスカが光を掴めた理由なのかもしれない。

 

有名になりすぎたスーパーGUTSに代わって機密保持を必要とする事件を担当するブラックバスター隊を結成したゴンドウ参謀。だが、これは表向きの理由で真の理由は自分の唱える地球防衛構想に耳を貸さずウルトラマンに頼り切っているTPCへの対抗であろう。事実、最終章でゴンドウ参謀とブラックバスター隊はTPCに対してクーデターを企てる。
ところで、ブラックバスター隊と力を合わせてヤマザキを阻止してもらいたいと言うゴンドウ参謀に指示にあからさまにやる気の無い返事をするスーパーGUTSもどうなのかなぁと思う。