「第47格納庫 ー円盤生物UF-0登場ー」
『新ウルトラマンG 必殺! 怪獣大決戦』第4話
1991年5月23日発売(第2巻)
脚本 テリー・ラーセン(原案 小中千昭)
監督 アンドリュー・プラウズ
特殊技術 ポール・ニコラ
円盤生物UF-0
身長 15m~180m
体重 1万2千tから18万4千t
ARMYの空軍基地第47格納庫に収容されていた謎の円盤。
ノルバーグが自身の革命に利用する為に乗り込んでUMA基地を攻撃するが、実は意思を持った生命体でノルバーグを取り込んで円盤形態から戦闘形態に変形すると、そのままUMA基地を攻撃してグレートと光線技の応酬で戦う。
リング状の光線でグレートの動きを止めて追い詰めるが、UMAの援護を受けたグレートに反撃されて宇宙へ逃げ去った。
『レオ』の円盤生物とは無関係だと思われる。
物語
ARMYの空軍基地第47格納庫に収容されている謎の円盤を使って革命を起こそうとする危険人物ノルバーグ。
円盤に乗り込んだノルバーグはUMA基地を攻撃する。
感想
「宇宙侵略編」の2本目だが、劇中を見る限り、UF-0に地球侵略の意思があったとは思えない。
原題は「the survivalists」。
「生存主義者」と言う意味で、調べてみると「核戦争等に備えてシェルター等を作って自分達だけが生き残ろうとする人達」と言うのが出てきた。どちらにせよノルバーグの思想の事を言っているのだろう。
UF-0のテクノロジーを見て狂喜乱舞するジーン。エンジニアの血が騒ぐ?
しかし、その為にノルバーグ一味に拉致されてしまう。
格納庫に侵入した人間は脳が死滅して考える機能を完全に失った動く死体状態であった。
「洗脳された」と言う事なのだろうけれど「脳が死滅した」と言う言い方が怖いなぁ。
ノルバーグは狂信的な自然保護主義者で、自然破壊する人間は殺すべきだと自分の患者を洗脳して殺しをさせた疑いがある。
どこかの危ない宗教団体を思い出す……。
ノルバークは裁判にかけられる事になったが交通事故で死んでしまった事になっていた。ノルバーグは左手が義手の車椅子姿で登場しているが、その時の傷だろうか? それとも元々?
自らの思想を意気揚々と語るノルバーグとそれに反論するジーン。
ノルバーグ「あのテクノロジーを持ってすれば愚かしい自然破壊などと言う行為も止められる。人類の未来はバラ色だ!」、
ジーン「あなた方少数派の未来に過ぎないわ!」、
ノルバーグ「優れた少数派が生き残り、やがて多数となるだろう。人類は誤った道を進んでいる。これ以上、自然破壊を許せば人類は死滅してしまう! 立ち上がる時だ! 私は革命を起こす用意を整えている! 大混乱の世界の上を円盤の群れが整然と飛行していく!」、
ジーン「あなたは間違っているわ……。力だけの革命など……間違っている!」。
ノルバーグの話を聞くと自然保護を目的に掲げていながらところどころに選民思想が見え隠れしている。結局のところ、ノルバーグは世界を自分を中心にした理想の形に作り変えたいだけなのだ。
ところでノルバーグは「円盤の群れ」と言っているが、UF-0のテクノロジーを解析して量産するつもりだったのかな。(まぁ、一機だけで世界中に革命は起こせないしね)
ジーンを助ける為にジャックはあえてノルバーグが支配する病院に行って洗脳されるが、グレートのおかげで洗脳されずに済む。この辺り、やはりウルトラマンと地球人とではレベルが違うのかなと思う。
ジャックからの返事が無い事を心配したアーサー隊長は「シンドーを死なせてしまったら私はノルバーグと同じだ」と嘆き、自分には指揮官の資格が無いとして、ロイド副隊長に指揮権を譲ってしまう。
部下達に向かってノルバーグは革命決行を宣言する。
「このまま無能な政府にこの地球を任せていてはいけない! 正しい者が君臨し導くのを人々は待ち望んでいるのだ! 政府の役人は皆、この地球を汚す癌細胞だ! やがて国と国、人と人が憎しみ殺し合う時代がやってくるだろう! その中で我ら革命の志を持った者のみ生き残るのだ! 我らが正義だ!」。
やはり危ない宗教団体みたいだ……。
いつの間にか自然保護の話が無くなって自分達が人々を導くと言う話になっている事からやはりノルバーグは自然保護より選民思想の方が強い事が分かる。自然保護と言うのは現在の世界の在り方を否定する為の方便で、本当の目的は自分中心の世界を作る事なのであろう。
ノルバーグが乗り込んだ事でUF-0が動き出したのを見たジーンは「ウルトラマンの出番ね」と言ってジャックに「そういつも都合良く現れちゃくれないさ」とツッコまれる。
ジーンは分かって言っているのかな?
ノルバーグのUF-0でUMA基地の砲台は破壊され、自動発進したハマーも撃墜される。(てか、無人で発進できたんだ) さらにノルバーグの部下が密かに潜入していてUMA基地は絶体絶命の危機に陥るが、アーサー隊長はゲームに興じていて無関心。代わりにロイド副隊長がテキパキと指示を出す。「バイオス計画」での経験が成長に繋がったか?
ゲームに興じていたアーサー隊長だったが遂にやる気を取り戻してノルバーグと対峙する。
アーサー「よーし、ノルバーグめ。ゲームの相手をしてやろう!」、
ノルバーグ「グラント! アーサー・グラント!」、
アーサー「聞こえている」、
ノルバーグ「私は心優しい男だ。5分の猶予を与えるから基地を放棄したまえ! 抵抗するつもりなら、残念ながら基地を破壊する!」、
アーサー「そうなれば君はここを利用できなくなるぞ!」、
ノルバーグ「この円盤に比べたらUMAなど時代遅れの代物だ!」、
アーサー「では、なぜ基地を欲しがる?」、
ノルバーグ「君を跪かせたい。私はそれだけを願って生きてきたのだ。分かるか? グラント!」。
あれ? 自然保護とか関係無くて実はアーサー隊長に勝つ事がノルバーグの本当の目的だったのか? アーサー隊長も「彼を放っておいた報いか?」と言っていたので二人の因縁は結構深いのかもしれない。それにしても色々と大層な目的を掲げていながら結局は因縁の相手への復讐を望んでいただけとは……。
ノルバーグは「我らが正義!」と言っていたが、その行動はどう考えても正義ではなかった。アーサー隊長が言ったとおりにノルバーグは正義と一番遠いところにいた。その報いか、UMA基地を襲撃したノルバーグの部下は倒され、ノルバーグ自身もUF-0に飲み込まれてしまうと言う悲惨な末路を辿る事となった。
グレートとUF-0の戦いはUF-0が宇宙へ逃げ去って終わり。なぜ倒さなかったのだろう?
隊員達は戦いを終えて基地に戻ると、自分達が戦っている間、アーサー隊長は何をしていたのか?と尋ねる。その質問にアーサー隊長は気まずそうに「私は……色々と……」。後ろにはやりかけのゲームがあった……。