帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「悪夢との決着」

「悪夢との決着 -邪悪生命体ゴーデス(第2形態)登場-
ウルトラマンG』第6話
1991年1月24日発売(第3巻)
脚本 テリー・ラーセン(原案 会川昇
監督 アンドリュー・プラウ
特殊技術 ポール・ニコラ

 

邪悪生命体ゴーデス(第2形態)
身長 107m
体重 34万6千t
なんと『初代マン』の「空の贈り物」のスカイドンや『ウルトラマン物語』のグランドキングを上回る巨体と重量を誇る。
火星でグレートに倒されたが、いくらバラバラにされても再び一つにまとまる習性を持っていて、地球各地に自分の細胞を撒き散らして様々な生命に取り憑く事でより強力な存在として復活した。元々は熱の中から生まれたらしく、火山の熱とARMYの攻撃をエネルギーにして活動を再開した。
目的は全宇宙の生命を一つにする事。一方で全宇宙の破滅も願っているらしい。
遂にはグレート自身も取り込んで「自分が人間を滅ぼす事で地球は美しさを取り戻す事が出来る」「自分と一体化すれば素晴らしい世界が待っている」と告げるが、ジャックの「哀れな奴だな」の言葉に心乱され、その隙を突いたグレートにバラバラにされた。
しかし、ゴーデスの第3、第4形態がまた現れないとは誰にも言い切れない……。

 

物語
ジャックはゴーデス細胞に感染したジーンを救おうとするが、ARMYがUMA基地を指揮下に置いてしまう。
人間同士が争う中、遂にゴーデスが復活する!

 

感想
原題は「the showdown」。
「最終決着」と言う意味の他に「真相の公開」と言う意味もある。

 

ゴーデス細胞に感染してしまったジーン。
そこでジャックとグレートの会話が交わされる。
ジャック「どうすれば彼女は目覚めるんだ?」、
グレート「私は以前にも言ったはずだ。UMAに入ってゴーデスと戦う事はとても難しいと……」、
ジャック「僕にお説教をするつもりか? 僕はどうしたらいいんだ?」、
グレート「ゴーデスの本体を倒す事が出来るか?」、
ジャック「どうすれば倒せる?」、
グレート「自分の命に誇りを持て!」。
この時点ではグレートの発言の意味がよく分からないが、全てが終わった後に見返すと、なるほどとなる。
ここでちょっと面白いのはジャックがゴーデス細胞に感染したジーンを救う方法を尋ねた時にグレートは自分の意思を無視してUMAに入隊したからこうなったとジャックを責めるところから始めている。『サーガ』のゼロとタイガのように最近は人間と喧嘩をするウルトラマンも珍しくなくなったが、当時は意見がぶつかる事が多い関係と言うのは珍しく、この事によってグレートとジャックと言う二つの人格が存在している事が明確となった。

 

砂漠で火山の噴火かと思われたが実は地面そのものが燃えて沸騰して大量の溶岩が流れ出ていた。このままでは大気圏に熱風が吹き荒れ、オゾン層が破壊され、酸素は消滅し、地球は燃え尽きてしまう。ゴーデスは火星の時より強力な存在となっていたのだった。
ゴーデスの「最初は熱から生まれた」と言う設定は伏線が無くて唐突だったのが残念。

 

インパクト抜群! ARMYのブリューワー将軍登場!
ブリューワー将軍はゴーデスに感染している恐れがあるとしてUMA基地を指揮下に置いてしまう。まぁ、直前にゴーデス細胞に感染していたスタンレーが歩き回っていて、今もジーンがゴーデス細胞に感染しているのでこれは当然の処置と言える。
しかし、アーサー隊長はUMAは平和な科学的チームで軍人に利用される事は承服できないとして、UMA憲章にある「もしUMAの装備が一部の国家や軍人によって勝手に使用される危険がある場合、自動システムによって発電システムを破壊し、基地の武装を不可能にすべし」を使い、基地の装備を使うには全世界にある各UMA支部の命令が必要で12人の支部長を説得するしか方法が無いとする。
『セブン』のウルトラ警備隊以降のウルトラシリーズの特別チームは軍と密接な関係になっていたが、『G』のUMAは珍しく軍とは距離を置いた組織となっていた。この流れは『ティガ』へと引き継がれ、軍人ではなくて科学的チームが主導して設立された組織TPCが登場する事となる。

 

ブリューワー将軍は自分の命令に従わなかったら軍法会議にかけられて処刑されるぞと脅しをかけるが、それでもアーサー隊長は「私は全員に代わって返答する事は出来ん!」と言い、ロイド副隊長とジャックはブリューワー将軍の命令には従わないと答える。
ただチャールズだけはブリューワー将軍の命令に従ってハマーで発進。「僕は銃殺されるのはまっぴらごめんだな。僕も少し大人になったんですよ、隊長」と言うチャールズの言葉を聞いてブリューワー将軍は「ものの分かる男だな」とご満悦。

 

ジャックとロイド副隊長は連行されるがARMYを倒して逃亡する。
ロイド副隊長はジャックを逃がす為に1人残るが、これで「悪夢からの使い」での借りは返した事になるのかな。

 

ジャックは処刑されようとしていたジーンを連れてUMA基地を脱出するが、ブリューワー将軍はジーンがゴーデス細胞を撒き散らす前に破壊しろと命令。
キムが戸惑う中、チャールズは命令に逆らうつもりは無いと答える。「チャールズこそ有能な隊員だ!」と喜ぶブリューワー将軍を見てアーサー隊長は「今、必要なのは有能な指揮官だ」と呟く。ところがチャールズはわざと攻撃を外して、最初からジーンもジャックも殺すつもりが無かった事が明らかになる。
キムとチャールズが乗っているので他にハマーは無く、ブリューワー将軍はジーンとジャックに手出し出来無くなってしまった。チャールズが先に言った「銃殺されるのはまっぴらごめんだな」と言うのは自分だけでなく仲間の事も思っての台詞だったのだ。ブリューワー将軍が言ったように一番ものが分かって行動していたのは実はチャールズであった。
このチャールズの行動に「彼らは非常に優秀です。優秀な隊員は無謀な命令に従う義務はありません」とアーサー隊長もご満悦。

 

意識を取り戻したジーンは「ゴーデスが私を利用できないように殺して」とジャックに頼み、友達として絶対に救うと言うジャックの言葉にも「スタンレーもあなたの友達だったわ……」と漏らす。それでもジャックは「ゴーデスは全ての破滅を願っている。生き抜く事が奴への抵抗なんだ」と励ます。
デストルドー、死の本能エネルギー、自己破壊的衝動エネルギー。それがゴーデスの正体なのかもしれない。

 

UMAの装備を使えなくなったブリューワー将軍はARMYの空軍を使ってゴーデスを攻撃するが逆にエネルギーを与える結果になってしまう。
アイクは「ブリューワー将軍の命令は絶対だ」とアーサー隊長とロイド副隊長に告げ、ロイド副隊長の「神様じゃあるまいし」と言う皮肉にも「ARMYにとっては神だ」と返し、アーサー隊長に「少しは自分の頭で事態を判断したらどうだ?」と言われてしまう。
そしてブリューワー将軍がB1爆撃機に核爆弾を搭載して500ギガトンの爆発でオーストラリア大陸も太平洋もゴーデスもろとも吹き飛ばそうとしている事が分かった時、遂にアイクはブリューワー将軍の命令に逆らって自分の意思で行動した。
アイクは情報部所属だが入手した情報を有効に活用できない事が多い。ひょっとしたら、それは今回のようにただ上司の命令を聞いているだけで自分の頭で事態を判断していないからなのかもしれない。

 

ここでゴーデスとブリューワー将軍について。
ゴーデスは全宇宙の生命を一つにまとめようとしていて、ジャックはそれを全宇宙の破滅に繋がると言っている。
自分の命令には逆らわせないブリューワー将軍も全員の意思を無理矢理一つにまとめようとするところはゴーデスと同じである。そしてブリューワー将軍のゴーデス打倒の行動はやがて彼自身を含めた全ての人間の破滅へと繋がってしまった。
「彼らは死んで本望」、「私の部下は少なくとも死ぬ勇気がある」、「男なら戦場で死んでみせろ!」と言ったブリューワー将軍の言葉はデストルドー、死の本能エネルギー、自己破壊的衝動エネルギーの表れなのかもしれない。
因みにゴーデスやブリューワー将軍とは逆にグレートはジャックの意思を、アーサー隊長はUMA各隊員の意思を尊重していて、結果、ゴーデスやブリューワー将軍による破滅を回避する事が出来た。

 

『G』では「神」や「運命」と言った言葉がよく出て、神や運命の名の下に死や破滅へ進もうと言う展開が多い。神だから運命だからと無批判にそれに従うのではなく、自分の頭で考えて生きよと言うのが『G』のテーマの一つなのであろう。

 

遂に復活したゴーデス!
どうやらジーンも取り込んだようだが、その場面が無いので分かり辛い。
ジャックはグレートに変身するが、グレートもゴーデスに取り込まれてしまう。

 

ブリューワー将軍からUMA基地の指揮系統を取り戻したアーサー隊長は周辺の発電所を止めたりとゴーデスのエネルギーを絶つ作戦に出る。冷静で的確な判断であったが、いつの間にかグレートに依存する気持ちが芽生えていて、グレートがゴーデスに敗れたのを見ると茫然自失し、「彼なら倒せると思ったのだが……」と落胆し、遂には「どんな攻撃も通用しない」と諦めてしまう。
その点、ブリューワー将軍は「信じられん馬鹿だな、君は。あんな宇宙人に頼るなんて……」と言うと「男ならまず実行したまえ!」と核爆弾使用を迫る。問題ある人物ではあるがブリューワー将軍の言動は保身ではなくあくまで地球を守ると言う使命感からきているので、「なーに、いざとなったらウルトラマンが来てくれるさ」と言った『帰マン』の岸田長官や自分は安全な所にいて部下に特攻を命じた『A』の高倉司令官よりははるかにマシ。でなければ自分も死ぬ核攻撃なんて決断できない。

 

ゴーデスの体内に取り込まれたグレートは精神世界でかつて戦ったゴーデス怪獣の幻影に苦しめられる。
苦しむグレートの上で、ジャックとゴーデスの会話が繰り広げられる。
ジャック「これで勝ったつもりか?」、
ゴーデス「私に全てを任せろ! 私が人間を滅ぼす事で、この星はまた美しさを取り戻す事が出来るのだ。見るがいい! 人間が大気を汚した為にウルトラマンは肉体を保つ事さえ出来ず苦しんでいるではないか!」、
ジャック「哀れな奴だな、ゴーデスよ……。全宇宙を吸収した時、お前はどうするつもりだ? 友達すらいない世界で、たった独りで生きていけるのか?」。
ジャックのこの言葉にゴーデスは心乱され、その隙を突いてグレートはゴーデスから脱出する事に成功。ゴーデスは再びバラバラになったのだった……。
このジャックとゴーデスの会話はゴーデスが「環境を取り戻す為に生命を滅ぼす」と言う「理由」つまり「スタート」の話をしているのに対し、ジャックは「全ての生命がいなくなった後はどうするんだ?」と言う「結果」つまり「ゴール」の話をしている。なので実はジャックはゴーデスが提示した「環境破壊」と言う問題に答えを出していない。この時点のジャックは「環境」よりも「友達」の方が大事だったのだが、ここで答えを出さなかった「環境問題」は後にもっと直接的な形を取ってジャックとグレートの前に出てくる事になる。

 

ゴーデスが倒されたのを見てブリューワー将軍は「君は運が良かったな、アーサー」と握手を求めるが、アーサー隊長の「奴はまた現れるかもしれない」と言う言葉を聞いて「そうだな……。それはまだ誰にも分からん……」と握手しようとした手を引いた。
そう。今回のゴーデスはあくまで「第2形態」。と言う事はこの後に「第3形態」や「第4形態」が現れる可能性は十分にある。

 

戦いが終わり、ロイド副隊長は「かけがいのない友を失ってしまいました……」と嘆くが、アーサー隊長は「彼らはきっと生きているさ」と答える。そして、その言葉の通りにジャックとジーンは生きて帰ってきた。
それを見たキムの「彼らどうやって助かったと思う?」と言う問いにチャールズが答える。「決まってるよ、愛の力さ」。
デストルドーたるゴーデスに打ち克ったのは、リビドー、生の本能エネルギーであった。

 

 

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