「その名は“滅亡”ー伝説2大怪獣登場ー ー伝説宇宙怪獣シラリー 伝説深海怪獣コダラー登場ー」
『新ウルトラマンG 必殺! 怪獣大決戦』第5話
1991年6月27日発売(第3巻)
脚本 テリー・ラーセン(原案 会川昇)
監督 アンドリュー・プラウズ
特殊技術 ポール・ニコラ
伝説宇宙怪獣シラリー
全長 120m
体重 8万2千t
コダラーと共に金属プレートにその存在が書かれていた。
何かに呼ばれ、宇宙の闇を裂いて地球に向かってくる。
名前の由来は「新羅」で当初の名前は「シイラギ」となっていた。
伝説深海怪獣コダラー
身長 62m
体重 9万4千t
地震が起きた海底の裂け目から赤い藻が現れて海中の酸素を無くして海を死の世界に変えていった。UMAがその海底で金属プレートを発見すると、それを奪い返そうとコダラーが出現した。
目や手から光弾を発射する。あらゆる攻撃を吸収する事が出来、光線のはね返し合いの末にグレートを倒した。
名前の由来は「百済」で当初の名前は「クダラー」となっていた。
物語
オゾン層修復計画の実験衛星が打ち上げられるが、それと同調して海で異常が観測される。
海底で発見された金属プレートには古代文明を滅ぼしたモンスターについて書かれていた。
感想
「人類滅亡編」の前編。ようやくタイトルと内容が合った気がする。
原題は「the age of plagues」。
「災難の時代」となるが、災難なのは人類にとってか、それとも地球にとってか……。
アーサー隊長が長く提案していたオゾン層修復計画の実験衛星が遂に打ち上げられるが、キムは神の領分を越えているとし、ジャックも惑星のシステムそのものに手を加える事は驕りだと反対する。アーサー隊長はオゾン層の破壊が続けば地球に生命はいなくなると譲らないが、ジーンは地球は自力で傷を癒せるとし、キムも余計な治療は地球を傷付けると再び反論。しかし、アーサー隊長は地球の為にやっているんだと譲らなかった。
ウルトラシリーズの特別チームの隊員は「エースパイロット」や「銃の名手」や「発明家」と言った能力でキャラクターを見せていく事があるが、このような考え方の違いでキャラクターを見せていく事もある。考え方の違いから起きる議論は難しい場面になる事があるが、それぞれの人間としての生き方考え方が見えて自分は好き。
UMAの実験衛星が軌道に乗ったのと同調して謎の海底地震が起き、地震があった海底の裂け目から赤い藻が出現。赤い藻は海流とは関係無しに広がっていき、酸素が無くなって魚は死んでいき海は真っ赤に染まった。
「滅亡」と言う名の封印が解かれたのだった……。
地震があった海底で何者かが残した光る金属プレートが発見され、その金属プレートを奪い返そうとコダラーが出現する。
金属プレートを見たジャックはグレートの能力で解読を行う。
「コダラーの封印解けし時、天よりシラリー舞い降りる。やがて第三のもの目覚める。全ては再び闇に還らん」。
ジャックは思い出した詩を朗読しただけと弁明するが、さすがに皆にお前は何者なんだ?と思われる。と言うより疑わない方がおかしい。
人間にはその時点で出来るレベルと言うものがあり、皆はそのレベルの中で頑張ったり、そのレベルを上げようと頑張ったりしているのだが、ウルトラマンと一体化した人間はそのレベルを超えた事をあっさりと成し遂げてしまう事がある。その結果、人々がウルトラマンがいれば自分達は頑張らなくても良いのではと思ったり、自分達を超える存在であるウルトラマンを恐れたりする事が起きてしまう。
ジャックはグレートと会話する事が多かったが、それは人間を超えた存在の知恵を借りているとも言え、現在の人間のレベルを乱してしまう恐れがあった。
金属プレートが宇宙探査船に積まれたメッセージディスクに似ていると言う博物館の館長に対し、アーサー隊長はこの金属プレートは少なくとも200万年前の物だと答え、その言葉に館長は「神々の時代だ」と驚く。
「200万年前」と言えば人類が地球に現れた頃とも言われている。因みに特撮作品だと『ゴジラ』でゴジラの正体は200万年前の生物だとする説明があった。
金属プレートの解読を続けるアーサー隊長の所にブリューワー将軍がやって来る。
「愚かな人類に発せられた警告を伝えてくれている物なのです」と言うアーサー隊長に対し、ブリューワー将軍は「その愚かな人類は今、街でミネラルウォーターの奪い合いをやっておる! いいか! 彼らを救えるのは君達だけだ!」と告げる。
ブリューワー将軍もあくまで人々を守る事を目的としている。ただ、その手段がアーサー隊長達とは相容れないのだ。
こうして金属プレートを解読して怪獣の謎を解く方が先だと言うアーサー隊長と今すぐ武器を取って怪獣を倒す方が先だと言うブリューワー将軍が対立する事になる。
ブリューワー「どちらが正しいかすぐに分かる」、
アーサー「それは……同感です」。
アイクは食料と交換して手に入れた高級そうな腕時計をキムに自慢する。
キムは時計と命とどっちが大事だと尋ねるが、アイクはこの混乱は数日で収まるとノンキな答えを返し、それを聞いたキムは諦めのような哀れみのような感じでアイクに食料を渡した。
今回に限らず、アイクは情報部所属なのに現状を理解できていない事が多い。情報を持っていてもそれを正しく分析して活用出来なければ意味が無いと言う事だろうか。「悪夢からの使い」でアーサー隊長が情報部を無能扱いした理由もここにあるのなのかもしれない。
その頃、宇宙の暗黒の闇を裂いて一つの命が地球に向かっていた。まるで何かに呼ばれているように……。
ブリューワー将軍に金属プレートの件を報告しなかった為にアイクは倉庫街の警備員に降格されてしまう。
ブリューワー将軍は「悪夢との決着」でアイクが自分に逆らっても処分を下さなかったが職務怠慢は許せなかったようだ。
左遷された先でアイクは食料を盗もうとした少年と出会い、倉庫街で暮らす人々と知り合う。そこはアイクが今まで知らなかった世界であった。
TVでは博物館の館長が演説していた。
「人間は海を捨て、これを海の住人に返すのだ! 我々は裁かれねばならないのだ! 裁きの日はもう間近い!」。
「地球は……生きている」。
衛星の修理の為に宇宙に上がったチャールズが地球を見て思わず漏らした言葉。
後の「ガイア理論」への伏線となる言葉なのだが、個人的にはガガーリンの「地球は青かった」に匹敵する名言だったと思う。
ブリューワー将軍は原子炉を持つ衛星の使用許可を取り付けると、全てを連結してUMAの実験衛星のレーザーシステムと繋げた世界最大のレーザー砲を作り出そうとする。
相変わらず、やる事がデカイ人だ。因みに今度はちゃんとUMA本部に話をつけていた。
遂に上陸したコダラーにUMAの攻撃は全て吸収されてしまう。
それにしてもコダラーは海の場面で使われたマペットと陸の場面で使われた着ぐるみの違いが凄いなぁ。
今回のジャックは海に飛び込んで変身している。デルタ・プラズマーを使わなかった変身は今回のみ。
コダラーの前にグレートは手も足も出ず、鉄塔を武器にすると言う珍しい戦法を取るも形勢は変えれなかった。光線技を使うもコダラーにはね返されてしまい、マグナム・シュートでさらにはね返すもコダラーにさらにはね返されてしまい、遂に敗れてしまう。
コダラーに倒されて消滅したグレート。さらに宇宙からはシラリーが迫っていた。そして金属プレートに書かれていた第三のものとは一体……?
と言う事で次回「永遠なる勇者ー伝説2大怪獣登場ー」に続きます。