「タッコングは謎だ」
『ウルトラマンタイガ』第22話
2019年11月30日放送(第22話)
脚本 柳井祥緒
監督 辻本貴則
オイル怪獣タッコング
身長 45m
体重 2万3千t
海の化身でギーストロンを止める為に地上に現れた。
口からオイルを吐く。保護色を使って姿を消す。吸盤で相手をくっつけてしまう。口から吐いた炎を全身に纏って相手に突進する。
昔からギーストロンを封じ込める為に戦っていたが年を取った為に昔のように戦えなくなった。タイガと協力してギーストロンを倒すとシンジと一緒に海に帰っていった。
凶猛怪獣ギーストロン
身長 60m
体重 2万5千t
大地の怒りの塊で人間が大地を汚し壊している事に怒り、大地の汚れを祓い清める為に人類に報復しようとした。
電磁波でマグマを活性化させて地震を起こす。頭部の角からギーストロン雷電波を、両腕の爪からギーストロン超雷電波を放つ。
タッコングのタッコングファイヤーで大ダメージを受け、最後はトライストリウムのタイガブラストアタックで倒された。
物語
海から怪獣タッコングが現れたが積極的に破壊活動をしないタッコングにヒロユキ達は戸惑う。
そんなヒロユキ達の前にシンジと名乗る謎の少年が現れる。
感想
宇宙人の話がメインである『タイガ』では珍しい地球怪獣のタッコングが登場。
知名度がある怪獣なのに実際に映像作品に登場したのが『帰マン』の第1話と第2話のみだったと言うのは意外だった。やはり特徴のあるデザインだと登場が少なくても記憶に残るんだなぁ。
少しずつ宇宙人の存在が地球人にも知られるようになったのだがその印象はすこぶる悪い。E.G.I.S.が自分達とは違う存在に敵意を向ける地球人を非難しているが、『タイガ』の地球でその存在が広く知られた宇宙人の多くが破壊者や侵略者だったので地球人が宇宙人に悪いイメージを抱くのも仕方が無いと思う。ひょっとしてだが、善良な宇宙人で多くの地球人に知られているのはタイガ達しかいないのではないだろうか。
因みにこの会話の直後にタッコングが現れるのだが、「宇宙人は倒すべし」と言う世論に反論していたE.G.I.S.がタッコングを見るなり「怪獣が現れたのにどうして攻撃しないんだ?」と言っちゃっている。
E.G.I.S.が「宇宙人は悪い奴ばかりではない」と言えるのはそう言う宇宙人と出会っているから。しかし、良い怪獣とはあまり出会っていないとE.G.I.S.ですら怪獣を見るなり「怪獣が現れたのにどうして攻撃しないんだ?」と言ってしまう。さらっと描かれているが、ここに『タイガ』の地球で起きている問題の本質があると思う。
今回のE.G.I.S.の「怪獣が出現したが皆はTVを見ているだけ」と言うのは地球防衛軍関係ではあり得ない描写であった。
地球防衛軍関係の特別チームだと事件が起きても動き出さないのは不自然だが、E.G.I.S.だと依頼が無い時は傍観者になっても不自然にならない。話によって事件に関わったり傍観者に留まったりと主人公達のスタンスを変えられると言うのは話を作る時の決まり事が少なくなってよりバリエーションに溢れる作品が作れるようになるのかもしれない。
『帰マン』に登場したタッコングは実は特殊能力をあまり使っていないのだが今回登場したタッコングは吸盤で張り付いたり保護色を使ったりとタコ怪獣ならではの能力が色々追加されていた。
このように能力が追加されるのは再登場した怪獣を見る時の楽しみの一つである。
今回登場したタッコングは海の化身で、ギーストロンは大地の怒りの化身となっている。
ギーストロンはアーストロンの亜種なので今回は『帰マン』の「怪獣総進撃」に登場した怪獣達の再登場と言える。残念ながらザザーンは今回登場していないが、ギーストロンの設定にザザーンと同じ環境破壊問題が付けられている。
今回はタッコングがメインなのでギーストロンの出番は少なくて出てきてやられただけなのだが暴れっぷりが凄かったので登場時間が短くても気にならなかった。能力も口から炎を吐くと言う定番のものではなくて『シン・ゴジラ』のようにレーザービームを撃つと言うのが新しくて印象に残った。
シンジがヒロユキに言った「人類が好き放題しないようにウルトラマンはちゃんと監視してよ」はウルトラシリーズ史に残る問題発言。
ウルトラマンに地球人を監視するつもりは無いし地球人もウルトラマンに監視されるつもりは無いのだが、ウルトラマンや地球人以外の存在は「人類はウルトラマンに監視された方が良い」と見ているのだ。
今回の話は「地球の意思を代弁する怪獣」や「宇宙人が地球人を監視する」と言った辺りのテーマが『タイガ』と言うより次作『Z』に近かった。
純朴そうな子供であるシンジだがタイガ達に大地の怒りの化身であるギーストロンを倒させた後に「自分達は人類に守る価値は無いと思っているがウルトラマン達がいたから今回は人類を守った」「人類に天罰を与えるギーストロンがいなくなったので、代わりにウルトラマン達が人類が好き放題しないように監視して」と真意を明かすのはズルいなぁと思う。
今回登場したシンジは『セブン』の「ノンマルトの使者」に登場した信一のようなメッセンジャーだったのかな? ガイロスとタッコングでタコ怪獣繋がりでもあるし。
でも、物の怪に近い感じだったので、信一より『T』の「木枯し怪獣! 風の又三郎」に登場したドンちゃんの方が近いのかも。
フーマが使った「ストライクスマッシュ」もウルトラマンフェスティバル2019の「かくとうわざコンテスト」の最優秀賞に選ばれたもの。
又、今回登場したギーストロンもウルフェス2019に登場したものである。
ゲスラやナックル星人やゴース星人に泣ける話が用意されたりタッコングがウルトラマンと一緒に戦ったりと同じ種族でも様々な人や怪獣がいるとなっているのが今の時代らしい。
昔の自分は第2期ウルトラシリーズに登場したメトロン星人Jrやメフィラス星人2代目等に不満があったのだが、最近のウルトラシリーズの「同じ種族でも色々な奴がいる」と言う話を見て、昔の再登場怪獣や宇宙人も「同じ種族でも中にはこう言う奴もいるんだな」と受け入れられるようになってきた。
因みにニュージェネレーションシリーズではかつて悪だったり敵だったりした怪獣や宇宙人が良い奴になるパターンが多いが逆にかつて善だったり味方だったりした怪獣や宇宙人が悪い奴になるパターンが無いと言う意見を目にする事があるが、おそらくそれは「正義のヒーロー・ウルトラマンを悪にして人類の敵にしたウルトラマントレギア」でやっているのだと思う。
今回の話でホマレが食べていた謎の物体は「オイルドリンカーのオイル焼き」との事。
ちょっと待って! ホマレ先輩は超獣を食べる事が出来るの!?
タコ嫌いのホマレからしたらタコを美味しく食べる日本人は理解に苦しむ存在かもしれないが、地球人からしたら超獣を美味しく食べるホマレに驚かされる。
因みにホマレ役の諒太郎さんがタコアレルギーなのでホマレもタコが嫌いと言う設定になったらしい。
今回の話は柳井さんの現時点でのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。
民間警備組織 E.G.I.S.
— ウルトラマンブレーザー/THE MOVIE 大怪獣首都激突 公式 (@ultraman_series) 2019年12月2日
工藤ヒロユキの業務報告書#ウルトラマンタイガ#イージス業務日誌https://t.co/hOGrSA9DAn pic.twitter.com/Os2NXnt3QX
【監督コメント付】『ウルトラマンタイガ』次回予告 第22話「タッコングは謎だ」"ULTRAMAN TAIGA" episode22 Preview + Director interview !!
「風と花」後編
『トライスクワッド ボイスドラマ』第22回
挿絵 後藤正行
文芸 池田遼
演出 足木淳一郎
イリアが死ななくて良かった……。
『タイガ』はいつどこで誰が命を落とすのか分からないのでハッキリ言って怖い……。(「表紙の文字はかすれている」「古びた絵本」で絵本が書かれてからかなりの年月が経過している事が分かるので、そうなるとイリアは……と考える事も出来ちゃうが)
前回の話でミゲロン星人やムゲラと言った『コスモス』に登場した怪獣が取り上げられていたが今回の話でフーマとイリアが遊びに行った星はなんと遊星ジュランであった。又、今回の話は『コスモス』に合わせてか物語のメインが戦闘ではない珍しいパターンとなっていた。
遊星ジュランが舞台ならコスモスにエクリプスに変身してイリアの体質を変えてほしいところだがそれは『コスモス』の作風ならOKだけれど『タイガ』の作風ではNGなんだろうなぁ。
ウルトラシリーズはバトル作品の要素があって自分もバトル部分を楽しみにしている人間なのだが、バトルが無くてもウルトラシリーズのテーマは描けると言う事が分かる話であった。
【ウルトラマンタイガ】『トライスクワッド ボイスドラマ』第22回「風と花 後編」-公式配信- "Tri-Squad Voice Drama" episode 22