帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「パーフェクト・ワールド」

EPISODE:2 パーフェクト・ワールド
ウルトラセブン誕生35周年“EVOLUTION”5部作』第2話
2002年7月24日発売
脚本 吉田伸
監督 小原直樹
特技監督 高野敏幸

 

反重力宇宙人ゴドラ星人(2代目)
身長 2m
体重 120kg
オメガファイルに記録されている星人でペガッサ星人の侵略派と手を組んで地球防衛軍を蝕んでいった。
変身能力を使ってサイジョウ参謀とイナガキ参謀とウルトラ警備隊を除いた地球防衛軍の全員を入れ替えた。
ウルトラ警備隊が地球防衛軍本部を爆破する事を知り精神波で攻撃するが最後はシラガネ隊長に倒された。
既に地球各地に仲間が深く侵入していると思われる。
今回は巨大化や飛行能力は持っていなかったっぽい。個人差であろうか?
今回もペラペラペラペラよく喋る。

 

円盤竜
身長 不明
体重 不明
地球防衛軍本部の爆破が迫る時にサトミ隊員の前に現れた。
カザモリによると今のところ敵意は無いらしいが……。

 

物語
ペガッサ星人事件から約一ヶ月後、ウルトラ警備隊は本部の破壊を目指して地球防衛軍と死闘を繰り広げていた。
地球防衛軍最後の日が訪れる……。

 

感想
霧の中でカザモリはセブンと対面するが、カザモリの問いかけにセブンは何も答えず額のビームランプが光るだけであった。
一方、馬の首暗黒星雲に幽閉されていたセブンの目には光が戻っていて、それを観測したタシロ職員は「目覚めたのか」と呟く。
今回もセブンの登場は少ないが違和感は無かった。

 

地球防衛軍の各部隊から上司の命令と行動に不審な点があると言う相談を受けていたシラガネ隊長。調査の結果、サイジョウ参謀とイナガキ参謀とウルトラ警備隊を除いた全員が星人と入れ替わっていると言う衝撃の事実が判明する。
ウルトラ警備隊に手を出さなかったのは誰かが面倒だと噂を流していたかららしい。劇中で明かされていないが誰なのだろう? 気になる。
星人と入れ替わっていないのがウルトラ警備隊の他にはサイジョウ参謀とイナガキ参謀しかいなかったのは勿体なかった。出来れば星人派と反星人派とに分かれて大規模に対立する展開も欲しかった。
前回の「ダーク・サイド」でカザモリとの会話から地球防衛軍に疑念を抱いたサイジョウ参謀がウルトラ警備隊の反乱に全く関わらなかったのは不自然。一体何をしていたのだろうか?

 

ペガッサ星人の生き残りと新たに地球に降り立った勢力が手を組み地球防衛軍を蝕んでいた。
メビウス』以降は色々な宇宙人が手を組んで組織を作っているが当時はかなり珍しい設定であった。

 

不可侵条約によって地球の危機は去ったとして存在理由を失ったウルトラ警備隊は解散する事になる。
その後、シマ隊員とミズノ隊員は公園でぶらつく事に。「いい年した男が恋人も無く真昼間からぶらぶらしているなんて」とシマ隊員が愚痴をこぼしている目の前で子供のカップルがじゃれあっているのが笑える。
それにしても一応は公的組織なのだから朝来たらいきなり解散で失業と言うのはさすがにあり得ない。まずは別部署に移動だと思うのだが……。

 

ウルトラ警備隊の解散後、面白い仕事があるとして皆を集めたシラガネ隊長は地球防衛軍を蝕んでいる星人の存在を明かし、ウルトラガンのみと言う絶望的な状況での地球防衛軍との戦いを告げる。
そんなシラガネ隊長の動きをサトミ隊員は昼行灯を演じていたと分析するが、あまり昼行灯には見えなかったかな。むしろ、シマ隊員とミズノ隊員を自分の隠れ家に連れて行く時には悪徳業者みたいなヤバい雰囲気を発していた。
シマ隊員達はシラガネ隊長の指示に迷う事無く従い、ユキ隊員も指示に逆らっても命は取らないと言う返答を聞く事でシラガネ隊長を信じられると確信する。自分を信じて付いてきてくれた隊員達を前にシラガネ隊長は「新たなウルトラ警備隊の誕生だ。我らの手で未来を書き換える」と宣言する。
こうして地球防衛軍の精鋭であったウルトラ警備隊は地球防衛軍を離れ、地球の平和の為に独自に動く事となった。特別チームが一時的にではなく完全に上部組織の指揮系統から離れて行動するのは『EVOLUTION5部作』のみ。又、特別チームが上部組織に逆らう話は他にもあるが、特別チームの反乱によって上部組織が壊滅する事になるのもこの話だけである。

 

シラガネ隊長の的確な指示によって突き進むウルトラ警備隊。やはり陣頭指揮を取れる存在は必要不可欠。いつの間にかシラガネ隊長がセブンのいない地球にとって数少ない希望になっている気がする。

 

今回の突入場面ではかなり動けるミズノ隊員が一つの見所となっている。
演じている古賀亘さんはアクションが出来る人物だが分析担当のミズノ隊員でここまで凄いアクションが見られるとは驚きだ。

 

地球防衛軍本部が爆破される話で『セブン』の「マックス号応答せよ」で地球防衛軍本部の爆破を企んだゴドラ星人が再登場。
いつの間にか地球防衛軍の大半を自分達の仲間と入れ替えていたと言う用意周到さを見せていながら今回も自分達の情報をペラペラペラペラよく喋ってしまうのがオリジナルのキャラクターを再現していて面白い。
普通の侵略者であったゴドラ星人までオメガファイルに記録されていたのは意外だったが、「太陽エネルギー作戦」でピット星人は地球防衛軍が持っていた過去のデータの為に苦戦を強いられたので、ゴドラ星人は自分達のデータを通常は閲覧不可能なオメガファイルに移動させたのかもしれない。

 

ゴドラ星人の精神波攻撃に翻弄されるウルトラ警備隊。
心の迷宮でユキ隊員の前にもう一人のユキ隊員、シマ隊員、ミズノ隊員、ルミ隊員、イナガキ参謀が現れる。
ユキ「これは私の心の中なのか?」、
もう一人のユキ「殻に閉じこもったあなたには自分の心も客観的に見えるのね。あなたは一生私と一つになる事なんて出来ない。あなたは永遠に篭り、誰も信じられず、フワフワと人の間を彷徨う。何故星人に育てられたあなたが人間に拘る? 足下が浮ついているくせに何故正義を振りかざす?」、
ユキ「私にも信じている人間が……」。
そこに現れるサトミ隊員。
サトミ「ユキ、私はあなたを信じているわ」。
しかしユキ隊員はウルトラガンを撃って叫ぶ。
ユキ「偽善者!」。
倒れるサトミ隊員。
もう一人のユキ「もうお前には救いは無いよ」。
絶叫するユキ隊員。
シマ隊員やミズノ隊員と違ってユキ隊員の心の迷宮は自分をもう一人の自分が見ると言う状況になっていた。『新世紀エヴァンゲリオン』で碇シンジ綾波レイが精神世界でもう一人の自分と対話していたのを思い出す。

 

サトミ隊員の前にいきなり現れたカザモリ。
遠くの事を感じ、敵の攻撃をバリアーで弾いて逆に念動波で攻撃する等、どう見ても普通の人間には無い戦闘能力を身に付けている。
さらにサトミ隊員は振り返ったカザモリにセブンの姿を感じ取る。
基本的にヒーロー作品では変身前はテレパシーや透視以外の戦闘用の特殊能力は使われないものなので覚醒したカザモリがバリアーを使ったのには驚いた。
サトミ隊員と一緒に地球防衛軍本部に入る展開が「地球より永遠に」を思わせてちょっと懐かしい。今のカザモリはあの時のカザモリ=ダンに近い存在となったのだろうか。
ただカザモリの凄さを見せる為とは言え、敵に襲われたサトミ隊員が何もしなくてカザモリにしがみつくのはちょっと違和感があった。

 

ゴドラ星人の精神波攻撃を受けたシラガネ隊長は自分にとって人生最悪な日を再び体験する事になる。どんなに変えようとしてもどうにもならないのが「運命」と言うもの。しかし、たとえ出来事は変わらなくても人々の想いは変えられると言う展開が見事。
シラガネ隊長と妻の4分48秒に及ぶ長回し場面は何度見ても泣いてしまう『平成セブン』屈指の名場面。南条弘二さんの熱演が素晴らしい。

 

ウルトラ警備隊を助け出すカザモリとサトミ隊員。
サトミ隊員に助けられたユキ隊員の「サトミ……、生きていたのか」は次の話を考えると重い。

 

オメガファイルを奪って逃走するゴドラ星人を一人追いかけるシラガネ隊長。銃撃をかわして見事にゴドラ星人を倒したシラガネ隊長がカッコ良すぎ!
かつて地球防衛軍本部に仕掛けられた爆弾を一人で持ち出して爆発させた崖で今度はゴドラ星人を追い詰め、かつて体を張って爆破の危機から救った地球防衛軍本部を今度は自分が仕掛けた爆弾で爆破する。今回は妻との話が中心になっていたが、人生を捧げてきた地球防衛軍を自分の手で葬り去ったシラガネ隊長の心中はいかなるものだったのだろうか気になる……。

 

カザモリは自分でも自分の事をまだよく分かっていないと言ってサトミ隊員の前から姿を消すが、その時に「困った時には俺を呼んでくれ。俺はどんな時でも駆けつける」と言い残す。

 

戦いが終わり、妻の写真を手に思うシラガネ隊長。
「人が未来を書き換える事が出来るのなら、あの時、私達は確かに未来を書き換えた。ならば、彼女と子供がどこか違う未来で生きている事を……誰が否定できる」。
その時、写真に一枚の赤いバラが舞い降りる。
この世に完璧な世界(パーフェクト・ワールド)など無いのかもしれないが、人々は後悔の無いよう今を必死に生き続けるのであった。
因みにゼロシリーズ以降のウルトラシリーズマルチバースを導入していて、『平成セブン』自体も『メビウス』以降はパラレルワールドの一つとして扱われるようになったので、シラガネ隊長が考えたようにシラガネ隊長の妻と子が生きている未来がウルトラ世界のどこかに存在している可能性は十分にある。

 

今回のエンディング曲はテンポのいい『ULTRA SEVEN』よりしっとりした『ウルトラセブンのバラード』の方が合っていたかなと思う。

 

今回の話は吉田さんの現時点でのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。