帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「太陽エネルギー作戦」

「太陽エネルギー作戦」
1994年3月21日放送
脚本 右田昌万
監督・特撮監督 神澤信一

 

変身怪人ピット星人(2代目)
身長 155cm~2m
体重 60kg
2人組で地球人の少女に変身する。
瞬間移動が可能。手から電流を発する。セブンと同じく太陽がエネルギー。何故か一人はダン少年に興味を抱いた。
地球温暖化作戦の障害になるであろうクスハラ博士のハイパー・ソーラー・システムをスパイカメラやエレキングを使って妨害する。
大気圏外の太陽光線を利用した巨大レーザーで一度はセブンを倒したが二度目は失敗してしまった。
エレキングが倒されるとダン少年を人質にしてウルトラ警備隊に降伏を迫ったがセブンにダン少年を助け出されて最後はワイドショットで倒された。

 

宇宙怪獣エレキング(3代目)
身長 20cm~53m
体重 500g~2万5千t
ピット星人の円盤の水槽で育てられていて、ピット星人の指令を受けて出撃する。
手から炭酸ガスを出し、全身から高熱を発して地球温暖化を促進させる。尻尾を相手に巻き付けて放電する。角が弱点。太陽がエネルギー。
ハイパー・ソーラー・システムによってエネルギーを吸収され、アイスラッガーで尻尾を切られてエメリウム光線で爆破された。
「3代目」となっているが『T』の「怪獣エレキング満月に吼える!」に登場したエレキングは初代が再生したものなので正しくは「2代目」のはず。そう言えば『メビウス』の「戦慄の捕食者」でも『セブン』のエレキングと『T』のエレキングは別個体と説明されているなぁ……。

 

物語
環境問題が深刻となった地球では新たに太陽エネルギーの研究が進められていた。
しかし、それを狙ってピット星人が暗躍を始める。
そんな中、フルハシ隊長はあの男と再会する。

 

感想
通産省による太陽エネルギーのPR番組として「太陽の日」に放送された。
その為、地球温暖化や太陽エネルギーの紹介部分が完全にPR番組になっているが後の展開に繋がっているので気にはなるが物語上の不自然さはあまり感じない。
ウルトラシリーズはTBS系列やテレビ東京系列で放送される事が殆どだが本作は珍しく日本テレビ系列で放送されている。

 

本作から『平成セブン』が始まるのだが世界観が少し複雑で、TVスペシャルの時点ではエレキングメトロン星人が3代目とカウントされている事や「MONSTER AND ALIENS」の内容から昭和ウルトラシリーズ全体と繋がっている事が分かるのだが、オリジナルビデオシリーズになると『セブン』とだけ繋がっている事に変更されている。

 

オープニング映像は懐かしいシルエットを使ったもの。ただしシルエットの内容は『セブン』のものとは変更されている。

 

地球防衛軍極東基地は現在も富士山麓にあってウルトラホーク1号も昔のデザインのままとなっている。懐かしい。
しかし、ポインターは変更されて普通の車になってしまった。残念。

 

地球環境の保護を続ける政府の諮問機関である地球環境保全委員会
クロベ・ススム、ニヘイ・マサヤ、サクライ・ヒロコ、サハラ・ケンジ、サイジョウ・ヤスヒコ、ヨシダ・テルミ、ツブラヤ・ノボルと構成員が超豪華。
個人的には『セブン』の続編なので佐原さんはタケナカ参謀役で出てほしかった。

 

過去に現れた怪獣や宇宙人のデータ集である「MONSTER AND ALIENS」。『メビウス』の「アーカイブドキュメント」の先駆けみたいなものかな。
バルタン星人のナンバーはS41-7-24、ゲスラはS41-8-21、オイルドリンカーはS48-4-6となっているが、これはそれぞれの怪獣が現れた話の放送日である。
オイルドリンカーが日本のオイルショックの原因の一つにされていたのには驚いた。アストロモンスの引き立て役の印象が強いが実は凄かったんだなぁ。
このデータ集には他にエレキング、キングジョー、アイロス星人、ガヴァドン、リッガー、レッドキングツインテール、モグネズン、ウインダム、ワイルド星人、デットン、キングザウルス三世、ガイロス、ダンガー等が収められている。やはり『セブン』関係が多いが、なかなかマニアックなチョイスもある。

 

エレキングのデータが出てこないと嘆くカジ隊員に向かってフルハシ隊長はまだ200回はやっていないだろうと「ガッツを出せ」と檄を飛ばす。それを聞いてガッツ星人のデータを出すカジ隊員がお約束ながら笑える。
カジ隊員役の影丸茂樹さんの事を考えると『ティガ』のGUTSの事も思い出してしまうが当時はまだ『ティガ』の企画は立てられていない。
後にエレキングが現れた時、カジ隊員はデータが無いので作戦を立てられなかったがフルハシ隊長は角が弱点である事を思い出してエレキングを撃退する。やはり実体験は大事だ。

 

クスハラ博士はハイパー・ソーラー・システムが壊れても事故なんかじゃないと言って残るなど強情な部分があって一歩間違うと悪役になりかねない雰囲気があった。
クスハラ博士の娘のトシコはウルトラシリーズでは珍しい(実写では唯一?)のお風呂シーンがある。
クスハラ博士の奥さんは登場しなかったがいないのかな?

 

現在のアンヌ隊員は太陽エネルギーを使ったハイパー・ソーラー・システムを研究しているクスハラ博士の弟と結婚してダンと言う子供をもうけていた。
アンヌの夫は火星探索に行っているので劇中での登場は無かった。やはり地球防衛軍の関係者なのだろうか?

 

アンヌの子供の名前はダン。名前の由来はやはりモロボシ・ダンからかな?
森の中でピット星人とエレキングと出会ったダン少年はウルトラ警備隊に報告するが既にピット星人もエレキングもいなくなっていた。
するとダン少年は「さっきの怪獣はきっと森の妖精が作った新しい生き物なんだ。さっきの子がそうだったのかもしれない」と、どこからツッコんで良いのか分からなくなる凄い考えを語り出す。

 

ピット星人の一人はエレキングがいる森に入ったダン少年に怪獣がいるから危ないと警告したり、もう一人のピット星人にダン少年を始末するように言われても躊躇したりしていた。気に入ったのだろうか?
しかし、最後は不気味な笑みを浮かべて電撃でダン少年を捕らえている。
ひょっとしたら、自分と対等の存在としてではなく、ペットとして気に入っていたのかもしれない。今回のピット星人は初代より年上になっているが、これも「ダン少年を上から見下ろす」と言う構図だったのかな。

 

防犯カメラに超高速で移動している姿が写されていたピット星人。
『セブン』の「湖のひみつ」で湖から宇宙船まですぐに戻って来ていた展開を設定に組み込んでいる。

 

ウルトラ警備隊に迎撃されたエレキングを見てピット星人は「可哀相に。本当に地球人は野蛮なんだから」と自分達の事を棚に上げて凄い事を言う。

 

第2期ウルトラ警備隊ではなんとフルハシ隊員は隊長になっていた。
カジ隊員は若さに溢れているがそれ故の未熟さもあって、フルハシ隊長とのコンビが刑事もので定番の新人刑事とベテラン刑事の絡みを思わせて面白かった。
ピット星人の襲来に傷付いたままのセブンを置いて逃げられないと二人が残る場面は後の『最終章6部作』の事を思うと色々と感慨深いものがある。
因みにカジ隊員を演じた影丸茂樹さんはこの後も『ティガ』と『ダイナ』のシンジョウ、『ネオス』のウエマツ副隊長、『コスモス』のカワヤ医師、『Qdf』の玉木刑事、『メビウス』のカドクラ、『大怪獣バトル』のハルナ・ヒロキと数多くの役を演じて平成ウルトラシリーズの顔となっていく。
トーゴー隊員は冷静に周りを分析して考えるなど落ち着いている人物であった。ダン少年が妙に懐いていたが父親を思い出したのかな。
ダン少年にウルトラ警備隊のバッジをあげる場面は『初代マン』の「怪獣殿下 後篇」にもあったヒーロー作品らしい場面であった。

 

第17支部格納庫に急行したフルハシ隊長とカジ隊員はそこで傷付き横たわっているセブンの姿を見る。
「あれからいくつの戦いに挑んできたであろうか。セブンの体は傷だらけであった」と言うナレーションが辛い。
ここでイカルス星人、ナース、キングジョー、ギエロン星獣パンドンとの戦いが回想され、最後に『セブン』の最終回「史上最大の侵略 後編」にあったフルハシ隊員の台詞が語られる。
「ダンが死んでたまるか。ダンは生きてる。きっと生きているんだ。遠い宇宙から俺達の地球を見守ってくれるさ。そしてまた元気な姿で帰って来る」。
思えば、あの時に「ダンは帰って来る」とはっきり言っていたのはフルハシ隊員だった。
セブン=ダンは『レオ』にも登場しているが、こちらも最後は生死不明になっていた。そんなセブンが傷付いた状態であっても生きている姿を再び見せてくれたのは嬉しい。

 

どんなに太陽光線を当ててもピクリともしない仮死状態のセブンを涙目で見つめるフルハシ隊長。
いきなりだが、ここが『平成セブン』最高の名場面。
「……ダン……。疲れ果てて……、ボロボロになって……、休む暇なんか無くて……。それでも、地球の事が好きだから……。宇宙の、果てから果てまで飛び回って……、地球の平和を守り続けてくれてたんだよ……。こいつは……地球人より……地球の事が好きな……大バカ野郎だ!」。
見ていて思わず涙が溢れた名場面。
やはり昔の作品を取り上げる時はその作品に関係していた人物を出すと出さないとでは感情の部分でかなり違う。

 

高熱と二酸化炭素で地球環境を悪化させるエレキング
バリアーの中の世界は温暖化問題を解決しなかった地球の20年後の未来の姿と言う設定は良かったが、炭酸ガスを発している場面はもう少し勢い良くやった方が良かったかなと思う。周りにバリアーを展開していたらしいがちょっと分かり難かった。

 

ハイパー・ソーラー・システムを使ってセブンを復活させられないかと言うフルハシ隊長の問いにクスハラ博士は宇宙人であるセブンは大気圏外の太陽エネルギーを使っていると思われるので大気圏外の太陽エネルギーを注入すれば復活するかもしれないと答える。しかし、それは現在の地球の科学では不可能であった。
セブン暗殺計画 後編」に登場したマグネリウムエネルギーは今は無いのかな?

 

ピット星人の最終兵器である大気圏外の太陽光線を円盤に伝達させて撃つ巨大レーザーは一度はセブンを倒しているが地球でセブンに止めを刺そうとした時は何故かセブンを復活させてしまった。
う~ん。ここはクスハラ博士がピット星人のコンピューターを操作して巨大レーザーのエネルギーの量や性質等を変更したくらいの展開が欲しかった。それならピット星人がクスハラ博士のコンピューターを操作して「MONSTER AND ALIENS」のデータを消去した展開と対になっただろうし。(それともダン少年が動かしたあの手動のレバーがそうだったのかな?)

 

瓦礫の中から立ち上がったセブンは太陽エネルギーを吸収して完全復活するとハイパー・ソーラー・システムの援護を受けてエレキングを倒す。
ピット星人に捕まっていたダン少年も助けられ、アンヌはセブンに向かって「セブン、ありがとう!」とお礼を述べる。
自分の子供のダン少年がいるからかアンヌはセブンの事を「ダン」と呼んでいない。自分の子供に「ダン」と名付けるなどモロボシ・ダンの事を忘れていない事は分かるが、それでもちょっと寂しい。
セブンはダン少年を助ける時に「ダン、大丈夫か?」と聞いている。森次晃嗣さんの声でこの台詞を喋ると言うシチュエーションが面白い。

 

ハイパー・ソーラー・システムもダン少年も無事でピット星人の地球侵略計画も阻止された。
笑顔溢れる人々を見つめてセブンは宇宙へと帰っていく。
カジ「ウルトラセブンはきっと宇宙パトロールに行くんでしょうね」、
リサ「ありがとう、ウルトラセブン」、
トーゴー「いや、安心するのはまだ早い」、
フルハシ「そうだ。地球には環境破壊と言う厄介な怪獣がまだたくさん残っているんだから」、
カジ「あああ、その怪獣もセブンがやっつけてくれないかな」、
ダン少年「駄目だよ。環境破壊は人間が作ったんだから人間の手で何とかしなくちゃ」、
クスハラ「そうだな。人間もウルトラセブンのように太陽をエネルギーにすれば、もっと地球はきれいになるな」、
アンヌ「ええ。太陽があれば、皆、ウルトラセブンになって地球が守れるってわけね」、
フルハシ「あぁ、今度あいつが来た時、地球は少しきれいになったなって言ってくれるかな」。
本作は「地球温暖化」と言うテーマがあるが後の話のような重苦しい展開は無く、太陽エネルギーを正しく使って地球温暖化を解決しよう!と言う明るい内容になっている。
思えば『平成セブン』で唯一の完全ハッピーエンドでもあるのかな?
出来れば後の『平成セブン』も1シリーズに1話くらいは本作みたいな娯楽作を入れても良かったかなと思う。

 

今回はモロボシ・ダンは登場していないが森次晃嗣さんがセブンの声とナレーションを担当している。

 

今回の話は右田昌万さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。

 

それにしても、ここから約8年にも及ぶ壮大な物語が幕を開けるとは当時は誰も思ってはいなかっただろうなぁ。