帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宇宙からの友」

「宇宙からの友 ーイルド登場ー
ウルトラマンティガ』第41話
1997年6月14日放送(第41話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

パラサイト宇宙人イルド
身長 180cm~55m
体重 100kg~4万t
高度な発展を遂げて、悲しみも痛みも不安も存在しない、誰もが等しく一つの同じ幸福を有する、互いに競い合う事も比べられる事も無い安らぎの文明を得た種族。その真実は人間をイルド化する事であった。
宇宙船ロムルス号に侵入して乾飛行士と城崎飛行士を使ってイルド化の実験を行った後、光る塔で地球に飛来して塔から伸びる触手で人間を捕らえていった。塔の先端にある一つの脳を共有していて、イルド化された人間の脳は消えていく。
手から光弾を撃つ。捕らえた人間を人質にしてティガを苦しめるが、シンジョウのGUTSハイパーとガッツウイングEX-Jのハイパーコールドビームとハイパーメルトガンで塔にある脳を破壊され、ティガ・マルチタイプのゼペリオン光線で止めを刺された。
その後、城崎飛行士の分析結果からイルド化を解除する薬が開発された。

 

物語
シンジョウの養成所時代の同期生で宇宙船遠距離記録を更新し続ける乾飛行士と城崎飛行士が地球への帰還中に謎の宇宙生物に襲われてしまった。
救出にやって来たシンジョウが突然現れた宇宙生物に銃の狙いを付けた時、城崎飛行士の声が聞こえてくる。「一発で仕留めろよ……」。

 

感想
登場してすぐに命を落としてしまった城崎飛行士。「一発で仕留めろよ……」の時の心情を思うと重い。
親友をこの手で撃ってしまったと知った時のシンジョウの顔。影丸さんは泣きの表情が良い。
それにしてもシンジョウがメインの話はやたらとゲストが死んだり人ならざる存在になっているような気がする。

 

様々な通信機器を使って自分達が作った安らぎの世界の素晴らしさを語るイルド。
一つの脳を共有する事であらゆる不安を取り除くと言う設定は『ダイナ』のスフィアに通じるものがある。
「脳が消えていく」と言うのは個人は何も考えなくて済む事を表しているのだろう。一人一人が何も考えなくなれば意見の相違が生まれる事も無くなって結果として世界に平和が訪れるかもしれない。だが「友達すらいない世界」、それは生きている世界と言えるだろうか。

 

乾飛行士と城崎飛行士が地球に帰って来る時に『帰マン』の替え歌が歌われている。

 

「メロン」「パン」の合言葉はシンジョウと乾飛行士に城崎飛行士も加わった感じがして良かった。又、いつ乾飛行士が「パン」を言えなくなるのかと言う盛り上げにも役立っていた。

 

GUTSの新装備ガッツウイングEX-J登場。赤と黒のカラーリングは個人的に好き。

 

乾飛行士が「我らはイルドと共に生きる事を望む」と言い出すのはちょっと唐突だったかな。差し伸べられた手を自ら撃つと言う意味かもしれないが。イルドから言い出しても良かったかもしれない。

 

一緒に空を飛ぶティガとレナの場面はティガとGUTSの連帯感を表していて良かった。

 

形見の時計を手に城崎飛行士が死んだ場所に花束を供えるシンジョウと乾飛行士。
乾「一人で……、一人で行くんだな、俺は……」、
シンジョウ「ああ……、一人で行くんだ……」、
乾「一人……」。
こういう話のラストは「俺は一人じゃない。城崎は俺の中にいる」と言う言葉で締められる事が多く、今回のように親友の死を受け入れるのは珍しい。ドライな『ティガ』らしいと言える。