「闇を呼ぶ少女たち ービシュメル登場ー」
『ウルトラマンダイナ』第18話
1998年1月10日放送(第18話)
脚本 長谷川圭一
監督 石井てるよし
特技監督 佐川和夫
大魔獣ビシュメル
身長 57m
体重 4万3千t
昔から人間が「悪魔」と言う概念で呼んでいた生物。一種の生命エネルギー体らしい。
聖南女子学園の学園長とすり替わってエリカに黒魔術を授けた。利用していたエリカ達の憎しみを力にして人間達を恐怖と絶望で塗り込めようとする。
口から炎を吐き天変地異を起こす等、魔力でダイナと互角の戦いを繰り広げるが、エリカ達によって心臓に当たる魔方陣の中心に弱点の鏡を置かれて魔力を封じられると最後はダイナ・ミラクルタイプのレボリウムウェーブ・アタックバージョンで異次元に封じ込められた。
エリカ達は「シジルさん」と呼んでいた。
物語
人間失踪事件を調べたスーパーGUTSは事件の被害者が聖南女子学園に集中している事を知る。アスカとリョウが調査に向かうが、シジルさんを信仰するエリカが立ちはだかる。
感想
『ダイナ』冬の怪奇シリーズ第2弾と言える内容で今回のテーマは「悪魔」。
女子学生とオカルトの組み合わせは当時の円谷映像が映画とTVドラマでシリーズ展開していた『エコエコアザラク』を思わせる。
子供の時から他人に優しくしていた為に自分は損ばかりしていたエリカは今度は自分が幸せになりたい我が儘も言いたいと思うようになった。
気持ちは分からなくないが、シジルさんを信仰していた時のエリカはスーパーGUTSと言う敵を作ってしまい、昔から友達だったユウキにも厳しく当たってしまったりとあまり幸せには見えなかった。
嫌いな人間を消して気は紛れたかもしれないが「気が紛れた」と「幸せ」は違うと思う。
そんなエリカに向かってユウキは「人間じゃないものに頼ってまで幸せになりたくない」と訴える。見た目で判断してはいけないが、ウルトラマンみたいなものならともかく、ビシュメルはどう見ても頼ったらヤバそうだもんなぁ……。
最後までシジルさんへの信仰を捨てないエリカをユウキは叩いて正気に戻らせる。こちらも見た目で判断してはいけないのだが、ユウキがこんなに芯の強い子とは思わなかったのでビックリした。
苦戦するダイナを見てエリカ達はビシュメルの魔方陣を封印する事を決める。
いつも誰かを傷付ける為に手を繋いでいたのを今度は誰かを助ける為に手を繋ぐと言う展開が上手かった。
皆の手が暖かかった事に気付く場面は必要なのだが、つい「そんなゆっくりと話している場合じゃ……」とツッコミたくなる。
ビシュメルとの戦いは吹雪に雷と雰囲気が抜群。
超能力対魔力は派手でスピーディーな戦闘で見応えあった。
ビシュメルの顔がニヤッと笑う場面は凶悪さが滲み出ていた。
レボリウムウェーブ・アタックバージョンでビシュメルと一緒に異次元に消えた車がちょっと気になる。
心霊現象やオカルトと言った未知の世界の探求もネオフロンティアの一環らしい。
「ネオフロンティア」と言う言葉がここまで使い勝手の良いものとは思わなかった。
リョウ「私達の世界には宇宙の闇の他にも、まだまだ探求しなきゃならない闇がたくさんあるのね」、
アスカ「でも一番不可解な闇は人の心の中にあるのかもしれないな」。
今回はリョウの主役回と言う事で、相手の先を読み、ガッツブラスターを駆使して被害者を助け出し、ビシュメルの野望を暴くと大活躍。
一方のアスカは次の被害者になるであろう女子高生を保護しようとして逆に誤解されたり、エリカに騙されてプールに落とされたりと今回はリョウの引き立て役になっていた。こういう役回りも出来るのがアスカらしいなと思う。
ビシュメルが封じられ、魔方陣を中心に手を繋いだまま意識を失っているエリカ達。ここからのエンディングへの入り方が実に良かった。