帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「最終章Ⅱ 太陽系消滅」

最終章Ⅱ 太陽系消滅 ーグランスフィア ネオガイガレード登場ー
ウルトラマンダイナ』第50話
1998年8月22日放送(第50話)
脚本 長谷川圭一
監督 小中和哉
特技監督 大岡新一

 

暗黒惑星グランスフィア
身長 1万2756km
重量 計測不能
太陽系に突如現れて次々と星を飲み込む巨大な闇。正体は地球と同じ大きさを持つ球形生命体。
強力な重力場であらゆるものを飲み込み、侵攻を続けると太陽系全てを消滅させる事が出来る。
スーパーGUTSのネオマキシマ砲発射を阻止する為にネオガイガレードを送り込む。
「最終章・完全版」ではテラノイド始動と共に行動を開始している。

 

合成獣ネオガイガレード
身長 69m
体重 8万t
スーパーGUTSのネオマキシマ砲発射を阻止する為にグランスフィアが送り込んだスフィア合成獣
光線を撃ち、鎌で襲い掛かる。亜空間バリアーでネオジオモス以上の防御力を持つ。
リョウを人質に取るが……。
運命の光の中で」のガイガレードの着ぐるみを改造している。

 

物語
太陽系全てを消滅させられる巨大な闇が地球に迫り、スーパーGUTSはネオマキシマ砲の使用を決定する。
一方、行方不明になっていたアスカを助けたのはなんと……。

 

感想
新たなる影」の続き。

 

『ティガ』『ダイナ』と2年間続いてきたシリーズの最後の敵はブラックホールにも似た惑星規模の存在であった。宇宙が舞台となった『ダイナ』に相応しいラスボスである。
過去にも『帰マン』の「暗黒怪獣 星を吐け!」にブラックホールみたいな怪獣バキューモンが登場して北斗七星を飲み込んでいるが今回は太陽系の冥王星と言う身近な星が飲み込まれた事でより衝撃が増している。
ところで「ンダモシテX」でハヤテ隊長が「今度は冥王星に行こうかな」と言っていたが無事だったのだろうか?(まぁ、この人が死ぬところは想像できないが)

 

ゴンドウ参謀に「何故お前がウルトラマンなんだ?」と問い掛けられたアスカはどうして自分がウルトラマンになったのか自問する。思い出すのは父親の言葉であった。
アスカ「お父さんはどうして宇宙へ行くの?」、
カズマ「それが人間だからだ。アフリカの深い谷である猿達は道具を使う事を知り、最初の人間と呼ばれるようになったそうだ。彼らは高く聳える山を見てこう思ったに違いない。「あの山の向こうには何があるのか?」。見知らぬ世界を目指し、彼らはその深い谷を登りきった。おそらく何度も何度も失敗し、たくさんの仲間を失いながら……」、
アスカ「何でかな? そのまま谷に住んでいた方が楽だったのに」、
カズマ「それが……人間だからだ。だから今、俺やシンがここにいる」。
道具を手に入れた猿は人間に進化した。
その猿にとって新たな世界へ行くのに理由は要らない。そういう存在なのだ。
そして光を手に入れた人間はウルトラマンに進化した。
その人間にとって新たな世界へ行くのにも理由は要らない。そういう存在なのだ。
アスカがなぜウルトラマンになったのか。それに理由は要らない。そういう存在だったのだ。

 

アスカとリョウの生存を信じているスーパーGUTSを見たサエキ隊長は「かけがいのない仲間だから信じられるのか」と呟く。その後、サエキ隊長は火星を彷徨うリョウを保護するが、「最終章・完全版」では「かけがえのない仲間であるスーパーGUTSから頼まれたから」と語っている。「最終章・完全版」の前回部分でリョウが語った「かけがえのない仲間を怖いわけないじゃない」と言う台詞も含め、「かけがえのない仲間」と言う言葉がサエキ隊長の変化に大きく関わっている。

 

サエキ隊長がF計画に賛同した理由として「かつて大切な人を怪獣に殺されたので、本当に人がウルトラマンの力を自由に使えるのならそれも良いと思った」と語られていて、その大切な人は『THE FINAL ODYSSEY』に登場している。
又、本作のメインライターである長谷川さんが谷崎あきらさんと執筆した『ウルトラマンダイナ 未来へのゼロドライブ』ではサエキ隊長が主要人物の一人として描かれている。

 

火星で彷徨っていたアスカが目を覚ますと目の前にヒカリとレナがいた。
部屋に飾られている写真を見るアスカ。そこには笑顔のGUTSが写っていた。
バイオパークでアスカは自分を助けてくれた男にお礼を述べる。その男はかつてティガと言うウルトラマンに変身していたダイゴであった。『光の星の戦士たち』で「ティガに会いたい」と願っていたアスカは遂にティガだった男と会う事が出来たのだった。
メビウス』以降は変身前のウルトラマンが顔を合わせる事も多くなったがこの頃はまだ少なく、特にダイゴは演じているのがジャニーズ事務所長野博さんだったので、今回の出演はかなり貴重なものであった。

 

バイオパークの植物達に水をあげながらダイゴは語る。
「殆どが地球産だけどこの星で生まれた種子もある。まだ実を結んだのはわずかだけど、いつかこの星を火星生まれの花で一杯に出来たらなと思っている。そこであの子達が、またその子供達が遊べたらって」。
そしてダイゴはアスカの「何故前線を離れたのか?」と言う問いにこう答える。
「守るべき未来は人それぞれにきっとあるはずだから……」。
ウルトラマンとして戦い続けたダイゴが出した答え。それはウルトラマンとして戦う以外にも何かを守る事は出来ると言う事であった。
このようにヒーローが戦い以外の人生を歩むのは他に『T』や『レオ』等があるが、『メビウス』以降はヒーロー達は作品が完結した後も戦い続けるようになって今回のように戦いから離れた人生を歩む事は少なくなった。

 

アスカを迎えにリョウがやって来て、二人はガッツシャドーで衛星ガニメデに向かう。道中でリョウは初めて任務放棄してアスカを見付けたので、もしスーパーGUTSをクビになったら責任を取ってよねと告げる。
「普通に家庭を持って、大切な人に「いってらっしゃい」と送り出すのが実は子供の頃からの夢なの」。
リョウらしいと言えばらしい気がする。
でも、アスカとリョウの関係はどうなっているのかと考えるとちょっと難しいところがある。恋人と言う感じはあまりしないがただの仲間と言うレベルではない。戦友や姉弟と言うには男女の雰囲気が強い気がする。どれでもあってどれでも無い不思議な関係だなと思う。

 

光の星の戦士たち』に登場したネオマキシマ砲とキサラギ博士が再登場。
ネオマキシマ砲は一度は人類を破滅に追いやろうとした危険すぎる武器だが、キサラギ博士は「力よりも強い心があれば、きっとこの宇宙を守る事も出来る。ダイナがそうであったように」と語る。
『ダイナ』を通して見た場合、ゴンドウ参謀のやった事は裏目に出る事が多かったのだが、今回のネオマキシマ砲とリョウが乗るガッツシャドーが無かったら地球は消滅していた恐れがあり、彼がやってきた事は決して無駄ではなかった事が分かる。
最終決戦。スーパーGUTSはそのゴンドウ参謀が遺したネオマキシマ砲と言う力を強い心で使って宇宙を守ろうとする。

 

ネオマキシマ砲の接続スタッフとしてヤズミが登場。
これで『ティガ』のレギュラー陣が全員登場した事になる。(ヨシオカが写真のみだったのがちょっと残念)

 

最終章のテーマの一つに「『ダイナ』における光」と「アスカとカズマの決着」がある。このテーマは「運命の光の中で」でも語られているが、今回の話に同じガイガレードが登場するのはだからなのかな。

 

人工太陽カンパネラがグランスフィアに飲み込まれ、衛星ガニメデが闇に塗り潰されていく中でのダイナとネオガイガレードの戦いが格好良い!
ウルトラシリーズでの宇宙での戦闘シーンはさすがに『ダイナ』が一つ抜けてるところがある。

 

ダイナに追い詰められたネオガイガレードはリョウを人質に取る。ずる賢い知能を手に入れたのはスフィアの影響かな。
リョウを人質に取られた事で攻撃出来なくなったクラーコフはグランスフィアの重力場に捕らえられてどんどん引きずり込まれていく。そんな中、ダイナがリョウを助けに向かう。
リョウ「やめてアスカ! 死ぬ気なの?」、
アスカ「この卑怯者をぶちのめすまでは死にはしねぇ!! それに、俺は! 俺は今、君だけを守りたい」。
と言う事で次回「明日へ…」に続きます。

 

今回のエンディングはスーパーGUTSのこれまでの活躍が流されている。
又、今回の話の内容に合わせて歌が『君だけを守りたい』にされている。
出来れば今回のサブタイトルも「太陽系消滅」ではなく「君だけを守りたい」にしてほしかったなぁと思う。