帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「密やかな終幕」

「密やかな終幕」
ウルトラQ dark fantasy』第20話
2004年8月17日放送(第20話)
脚本 岡野ゆうき
監督 高橋巖

 

ゲノム新人類
30年前にゲノム研究の末に作り出された人工生命体で他の人間と同化する事で生殖行為無しに分裂増殖していく。
最初の6人の研究員との同化では人間のDNAに拒否反応が起きて記憶の混乱が生じたが、やがてそれに対する抗体を作り出した。次に川野耕平と同化するが川野の愛の告白を受けるとアポトーシスを起こして溶解した。
しかし、夜の街には無数の人工生命体の青い光が立ち上った。

 

物語
ある研究所で6人もの研究員が服だけを残して跡形も無く消失した。
ただ一人生き残った主任の山瀬由美子は研究員の川野耕平に助けられるが、山瀬が進めていた研究が恐ろしい終幕を招く事になる。

 

感想
狭い舞台で少ない登場人物が壮大な設定を語ると言う深夜作品らしいお話。
全体的に淡々と話が進み、それが前半は消失事件の首謀者を隠すのに効果的であったが、終盤の愛が世界を救う展開にはちょっとパンチが弱くなってしまったところがある。

 

冒頭の鏡の前で電話をかける涼の場面は後に語られるゲノム新人類の能力を連想させる面白い仕上がりとなっている。

 

剛一は芸能人のスキャンダル狙いの為に今回は事件に直接関わらなかったが的確なアドバイスで涼を導いた。気のせいか、剛一は事件に直接関わらない時の方が活躍しているような……。

 

山瀬は人間が醜い心を持って悪事を犯すようになったのはどこかで間違ったDNAを受け継いでしまったからだと考え、「大いなるもの」と呼ばれる神が与え給うた原初のDNAを使って書き換える事で人間をやり直させようとした。
遥か昔、純真無垢だった人間は蛇に唆されて知恵の樹の実を食べた事で楽園を追放されたと言われているが、山瀬の研究は人間を知恵の樹の実を食べる前に戻すものだったのかもしれない。

 

山瀬は賢くて体も強くて他の生物を同化させた後に全く同じコピー体を作って分裂する事が出来る人工生命体を作り出すが、それに対して川野は人間は優れた遺伝子を親から子へと完全に引き継ぐ事が出来ないコピーミスを犯すが不完全だからこそ無限の可能性を持っていると暗に否定する。

 

川野の愛の告白を受けてアポトーシスを起こした山瀬だったが街中に無数の山瀬のコピー体が出現する。川野がいなくなってしまった今、人間はゲノム新人類に対抗する術を持っていない……。

 

涼に色々な事情を教えてくれた大久保先生はとんでもない事をさらっと語っているので初見時はこの人が首謀者ではないかと疑ってしまうほど怪しかった。

 

脚本の岡野ゆうきさんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。

 

今回の話は高橋巖さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。