帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウニトローダの恩返し」

「ウニトローダの恩返し」
ウルトラQ dark fantasy』第8話
2004年5月25日放送(第8話)
脚本 上原正三
監督 北浦嗣巳

 

スシ大好き遊星人ウニトローダ
身長 175cm
体重 100kg
ウニとトロが大好物な宇宙人。怪我をしてもウニとトロを食べると回復する。カレー作りも上手い。宇宙語翻訳機で喋る。
手から出す光線でサビコングを消し去る事が出来る。義理堅く、徳助に助けられた恩返しにサビコングと戦う決心をする。
下町の町工場で直された宇宙船に乗ってサビコングを倒した後、宇宙船が壊れて宇宙に帰れなくなったので下町で暮らす事になった。
名前の由来は「ウニとトロ」かな。

 

宇宙怪獣サビコング
身長 微粒子大~100m
体重 微粒子大~100万t
カビとサビの特性を持つこわ~い宇宙の厄介者怪獣。ウニトローダによるとサビの集合体でウニトローダの惑星でも甚大な被害を出したらしい。
音楽で踊り狂う性質を持っていて、特に日本とアフリカのドラムに反応するらしく、渡来教授発案の「サビコングそ~れそれそれ大作戦」で下町中のサビコングを集められて一つの巨大怪獣となった。
硬い皮膚を持つが、ウニトローダの宇宙船のワープ用エンジンの逆噴射で内部から爆発させられた。赤い光弾を撃つ。
名前の由来は「サビ」かな。

 

物語
涼の生まれ育った下町は昨今の不況に加えて謎のサビ事件で苦境に立たされていた。
そんな中、町工場を経営している徳助はある宇宙人と出会う。
一命を取り留めた宇宙人ウニトローダの恩返しが今始まる!

 

感想
下町を舞台にした話でなぎら健壱さんのハマりっぷりが楽しい。
寂れた町工場から始まり、サビコング撃退に再び皆が動き出し、最後は下町に活気が戻って来る展開が見事。下町の技術でスペースシャトルの部品が作られていたと言う話題も劇中で腕に覚えのある職人達が総力を結集してウニトローダの宇宙船を直す展開に繋げられていたりと時流も上手く取り入れられていた。

 

渡来教授が妙にハイテンションになっているが今までの抑え気味の演技よりこちらの方が役に合っている感じがする。涼も江戸っ子気質の女の子が似合っていて、常識人として全体から一歩引いている剛一も含めて主人公レギュラー3人の扱いが上手かった。

 

「スシ大好き遊星人」と言う肩書きと「ウニトローダ」と言う脱力系ネーミングが出てくる限りウルトラシリーズはまだまだ可能性がある。
と言いたかったが意外とこの系統は後には続かなかった。
個人的には外国語のもじりはOKで日本語のもじりはNGと言うのが分からないなぁ。

 

今回も実写との合成やCGを使った特撮場面であるが、太鼓の響きに誘われたサビコングから鈴木親子が逃げる場面を見て分かるように、ミニチュアセットでは本編と特撮で場面が区切れてしまうところを実写との合成では一つの場面に融合する事が出来る。今回は古き良き時代を懐かしむ内容であるが映像は新しい技術が活かされた話であった。

 

ラスト、宇宙船が壊れたウニトローダは下町で働く事に。遂に宇宙人が地球で人間と一緒に働く時代が来たのだった。
地球に移住する宇宙人の話と言えばとかく重くなりがちな中、最後まで明るく行けたのは下町独特の雰囲気がもたらしたものなのかな?

 

個人的に今回が『Qdf』で最も『Q』らしかった話だと思う。
『Q』は途中で怪獣作品に路線変更して続く『初代マン』からは巨大ヒーローと怪獣の戦いがメインになっていったので『Q』は「巨大ヒーローが出ない怪獣作品」と言うイメージが強くなった。この「巨大ヒーローが出ない怪獣作品」を最もストレートに再現したのが今回の話であったと思う。
自分としては『怪奇』や『世にも奇妙な物語』テイストの話より今回みたいな話をもっと見たかったかな。

 

今回の話は岩佐まもるさんによってノベライズされている。