帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラマンキッズ M7.8星のゆかいな仲間』

ウルトラマンキッズ M7.8星のゆかいな仲間』
1984年3月17日公開
脚本・監督 永樹凡人

 

ZOFFY』と同時上映で公開された作品。

 

『キッズ』ではウルトラシリーズのキャラクターが可愛くデフォルメされていて、「怖い」イメージが強かった怪獣を「カワイイ」イメージに変えて今までとは違った層にもアピール出来るようになった。
当時はリバイバルブームも一段落して新作の制作が難しくなっていた時期だったが、スーパーデフォルメ(SD)されたウルトラマンウルトラ怪獣が登場する作品は本作以外にも漫画、アニメ、ゲーム等で数多く作られ、ウルトラシリーズを一つの特撮作品から様々な商品展開が出来るIPへと発展させる事となった。

 

既にあるキャラクターをSD化して新たな商品展開をする流れはウルトラシリーズだけでなくガンダム仮面ライダーゴジラ等でも行われた。又、「SD化された怪獣」と言うコンセプトは後の『ポケットモンスター』等にも繋がっていて、80年代から90年代にかけての怪獣像の変化を考える上で大事な要素となっている。

 

ここからは映画の話を。
本作の見所の一つとして既存のキャラクターがどのようにデフォルメされたかがある。全体的にウルトラマンや怪獣の特徴を残したまま子供っぽくするのに成功していると思う。
ただ、主要キャラクターの中でミドリ、ルーキィ、ピコのモデルとなったキャラクターが分からない。考えられるとしたらルーキィはエースでピコはユリアンあたりなのだが、初代マンがマーでタロウがターでメフィラス星人がメフィラと言う名前になっているのでエースやユリアンがモデルなら名前もそれに近いものになっているはず。(実際、『ことわざ物語』でエースをモデルにしたエスが登場している) と言う事はミドリ達はオリジナルキャラクターだと考えられる。ルーキィやピコのデザインは好きだが、やはりここは既存のキャラクターをデフォルメして使ってほしかった。

 

M7.8星にやって来たマジャラとガマラは物々交換で様々な商品を人々に与えていくのだが、ただのクリームをパワーアップクリームとして売りつけたりする詐欺師であった。M7.8星での商売を終えたマジャラとガマラは宇宙に旅立つが、二人の宇宙船に乗り遅れてしまったミドリはM7.8星でマーやピグコと出会って友達になると言う内容。

 

マジャラとガマラはいわゆる詐欺師なのだが特に罰を受けずに話を終えている。
ミドリはマジャラ達よりピグコ達と一緒にいる事を望んでいた。マジャラ達が悪人でミドリが二人から逃げてきただったら話は早いのだが、マジャラ達がミドリの気持ちを酌んでピグコ達に託す場面を見るとどうやらそうではなさそう。
このようにマジャラ達は話の冒頭で犯罪をしていながら話の最後では良い人になっていて違和感がある。マジャラ達を詐欺師ではなく普通の商売人にするか、逆に悪人であるマジャラ達からミドリを救出する話にするか、どちらかにした方が話が分かりやすくなったと思う。

 

主題歌は山田恭子さんの『キッズのチャチャチャ』。

 

本作で脚本と監督を務めた永樹凡人さんはウルトラシリーズは今回のみの参加となっている。