帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士V.S大怪獣軍団』

ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士V.S大怪獣軍団』
1984年3月17日公開
構成・脚本 藤島浩一郎・安井尚志・金田益美・平野靖士
監督 高野宏一

 

再編集映画の一本であるが、これまでと違って『初代マン』だけでなくウルトラシリーズ全てを取り上げている。

 

本作はゾフィーを主人公兼ナレーターとして話を進めている。
今回のゾフィーは『初代マン』の最終回「さらばウルトラマン」と同じく浦野光さんが声を担当している。
尚、本作から「ゾフィ」の名前が「ゾフィー」に変更されている。

 

オープニングではゾフィーのシルエットが舞い、主題歌『ウルトラマンゾフィー』が掛かる。
ウルトラの星の歴史がチラッと紹介された後にウルトラマン達が登場するのだが、『ウルトラマン 怪獣大決戦』の映像を流用しているので、80とユリアンが不在で代わりに本作には登場していないジョーニアスがいる。

 

宇宙警備隊の隊長であるゾフィーが「あの頃の地球は宇宙の歪みが生み出した怪獣達が暴れ回っていた」と過去を回想して物語が始まる。
劇中でゾフィーが「宇宙警備隊の隊長」と言われるのは本作が初めて。
怪獣達を生み出した「宇宙の歪み」と言う設定は『Q』に登場した「アンバランス・ゾーン」を踏まえたものと言える。尚、「宇宙の歪み」は次の『ウルトラマン物語』にも関わっている。
ここで紹介される怪獣は『初代マン』からはバルタン星人と地球出身の怪獣であるザンボラーゴモラ、『セブン』からは宇宙人が操るロボットであるキングジョーとクレージーゴンとなっている。
又、当時、『ワールドプロレスリング』で実況を務めていた古館伊知郎さんが『初代マン』の「怪彗星ツイフオン」のギガス、ドラコ、レッドキングの戦いを実況している。怪獣の戦いをプロレスのように実況するのは『ファイト』を元にしていると思われる。

 

「邪悪な怪獣や宇宙人達は常に宇宙の平和を乱そうとしている。この宇宙の中で一際美しい地球は、そんな彼らの格好の標的となったのだ」と語るゾフィー。そして「昔、怪獣達が初めて現れた頃、人類は知恵と勇気で彼らと戦っていた」として『Q』のパゴス、ペギラ、ケムール人、ラゴンが紹介される。
ここでラゴンだけ人類に倒されていないが、それは次の話に続いていく。

 

「人間達は戦った。我が物顔で暴れ回る怪獣や宇宙人達に美しい地球が破壊される事を許せなかったのだ。しかし、怪獣達は次第に人間の力では倒せないほど超強力になっていったのだ」。
そしてゾフィーの解説と共に巨大化したラゴンが出現する。
本作では人間大のラゴンがパワーアップして巨大化したと言う設定になっていて、『Q』の「海底原人ラゴン」にあった「子供を捜し求める母親」や『初代マン』の「大爆発五秒前」にあった「放射能の影響で巨大化した」と言う設定は無くなっている。
そして「私は宇宙警備隊の隊長としてウルトラマンを地球に派遣する事にした」と言うゾフィーの説明と共に初代マンが登場して巨大化したラゴンを倒す。なので『初代マン』の「ウルトラ作戦第一号」にあった「初代マンが誤ってハヤタ隊員を死なせてしまった」と言う設定も無くなっている。

 

初代マンはレッドキングゴモラを次々と倒し、続いてバルタン星人と戦う。
『初代マン』の「科特隊宇宙へ」ではバルタン星人が地球とR惑星の2ヶ所で攻撃する展開だったが本作では地球上の2ヶ所を攻撃すると言う展開に変わっている。
バルタン星人を倒した初代マンはさらに連戦でザンボラーと怪獣の酋長ジェロニモンと対決。初代マンは3連戦したのにカラータイマーは青のまま。タフだね。
本作は人間ドラマをカットしているので、ゴモラジェロニモンは止めを刺されずに終わっている。

 

ここで宇宙の平和を乱す連中の円盤がゾフィーを襲撃するが光線を防がれて逆にM87光線を受ける。
ゾフィーは「まだまだ凶悪な怪獣や宇宙人がいる」とした上で「怪獣の中には友人とも言える愉快な怪獣もいる」として『初代マン』のピグモンを紹介する。

 

ここからはデパートに現れたピグモンがお昼寝の夢の中に現れた愉快な『Q』怪獣を紹介していく。
まずはガラモン。ピグモンが「自分が大きくなってしまったのか!?」と驚くお約束がある。
続いてカネゴン。「カネゴンの繭」では鏡を見て自分が怪獣になってしまったと驚く場面が本作ではナルシストのカネゴンが鏡に映った格好良い自分を見ているとなっている。
モングラーは出現シーンが2回あったので、「甘い蜜の恐怖」では1体登場だったのが本作では2体登場となっている。
最後はM1号。「ガッツ石松に似ている」と言われて「あまり褒めないで」と照れている。

 

ここで『初代マン』の「宇宙から来た暴れん坊」の初代マンとギャンゴの戦いが古館さんによるプロレス実況で紹介される。

 

その後、最大の強敵ゼットンが現れて初代マンは倒されてしまう。
倒された初代マンを助けにゾフィーが現れるが、この時、「ゼットンはどうなった?」と言う初代マンの問いにゾフィーは「ゼットンは倒した」と答えている。
「倒された」ではなくて「倒した」?
ひょっとしたら本作ではゼットンを倒したのは科特隊ではなくてゾフィーになっているのかもしれない。(『初代マン』の「さらばウルトラマン」ではゾフィーゼットンを倒すと言う展開が考えられていた)

 

初代マンの「もう私1人では地球を守りきれない」と言う言葉を受けたゾフィーは「いよいよウルトラ兄弟全員の出番が来たようだ。兄弟全員で再び戦うぞ!」とウルトラ6兄弟に集合をかける。

 

ウルトラ6兄弟以外にもウルトラ戦士がいるとして、ウルトラの父ウルトラの母、レオとアストラ、80とユリアンが紹介される。最後にキングが紹介されるが、「キング星と言う小惑星に住んでいる」と言う設定が初めて劇中で語られている。
本作はウルトラマン達の声が新たに吹きかえられていて少し違和感を覚える部分があった。

 

まずゾフィーの指令を受けてセブンが出撃。キングジョーとクレージーゴンを倒す。
人間ドラマがカットされているので、キングジョーはセブンのウルトラバックブリーカーで倒されたとなっている。
最後にセブンはガッツ星人の円盤をウルトラノックで倒す。

 

続いてジャックが出撃。
本作から「帰ってきたウルトラマン」の正式名称が「ウルトラマンジャック」とされている。
ジャックはベムスターを倒すと、今度は初代マンとセブンからの指令を受けてナックル星人とブラックキングと対決。見事勝利を治めるが、ナックル星人は東京は今頃バラバに破壊されていると告げる。

 

ゾフィー、初代マン、セブン、ジャックに見送られてエースが出撃し、バラバを倒す。
本作は怪獣を切断する場面がいくつかカットされていて、ちょっと気になる。

 

「怪獣達はますますパワーを付け強力になってきた。それに立ち向かうには今まで以上の知恵と勇気、そして兄弟の団結が必要だ。兄弟達よ、助けが必要な時は仲間を呼べ。私もいつでも地球に行くぞ!」。
ゾフィーの言葉を受け、ギロン人とアリブンタの前に窮地に陥ったエースは「S・O・S」のウルトラサインを発信。それを受け取ったゾフィーはエースを助けてパワーアップ用の道具ウルトラコンバーターを授ける。
このゾフィーとエース対ギロン人とアリブンタの戦いも古館さんの実況が付けられている。

 

ギロン人とアリブンタを倒したゾフィーとエースはタロウの戦いを見届けようと言い、タロウはそれに応えてバードンに勝つが、続いて現れたムルロアに敗れてしまう。
ウルトラの星に帰ったタロウを先に帰っていたウルトラ兄弟が迎え入れ、ウルトラベルでムルロアのアトミック・フォッグを掻き消すと、タロウはムルロアへのリベンジを果たす。
尚、人間ドラマがカットされているので、ムルロアはタロウに投げ飛ばされて空中で爆発したとなっている。

 

本作はかなりの数の作品を扱った為か、これまでの再編集映画に比べて話ごとの繋ぎがイマイチだった。

 

クライマックスはウルトラ6兄弟を狙ってテンペラー星人が出現。
劇中では語られていないが、本作に登場した怪獣や宇宙人達はテンペラー星人が派遣した怪獣軍団の一員だったとも考えられる構成。
ウルトラ6兄弟は力を合わせてテンペラー星人を撃破し、地球に平和が戻った。

 

「さようなら地球の皆さん。私達兄弟はM78星雲から地球の平和をいつまでも見守っていますよ」。

 

ウルトラマンキッズ M7.8星のゆかいな仲間』が同時上映された。