帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あざ笑う眼」

「あざ笑う眼 ー奇獣ガンQ登場ー
ウルトラマンガイア』第6話
1998年10月10日放送(第6話)
脚本 川上英幸
監督 原田昌樹
特技監督 北浦嗣巳

 

奇獣ガンQ(コードNO.01)
身長 55m
体重 5万5千t
ファイターズの演習中に地面に突然現れた巨大な眼。
ミサイルを受けると消失したが、その後、奪ったミサイルの弾薬やロケットモーター推進剤等をエネルギー源とし、金属部分を繋ぎ目にして岩石を融合させる事で肉体を構成した。
概念的には生きているように見えるが熱反応を持たないので生命体ではなく、眼そのものの構成物質は不明。
あらゆるものを眼から体内に取り込むが、最後は取り込んだガイアに体内から破壊された。
名前の由来は「眼球」から。「ガンQ」と言う名前は中央新聞が名付けたもので、XIGは眼の状態を「コードNo.00」、怪獣の状態を「コードNo.01」としている。

 

物語
突如現れた謎の巨大な眼。
いつも通り分析に入る我夢だったが不条理そのものである眼に対してあらゆる科学分析が通用しなかった。

 

感想
「若き天才科学者集団アルケミー・スターズの予測通り地球に破滅をもたらす危機が襲来した。その根源的破滅招来体に対抗すべく地球防衛連合G.U.A.R.Dが極秘裏に設立されていたが、アルケミー・スターズのメンバーの一人、高山我夢はウルトラマンのパワーを掴み取り、特捜チームXIGに自ら入隊を果たした。だが、予想を遥かに超える敵が次々に出現。そして敵か味方か、もう一人のウルトラマンが現れた!」。
序盤の設定紹介編が終了したからか冒頭に今までのあらすじが付けられた。ウルトラシリーズでは珍しい。

 

今回の話から「根源的破滅招来体」と言う設定を使った様々な特徴ある敵が登場するようになる。特に今回登場したガンQは『ガイア』でもトップクラスのインパクトを誇っていて後の作品にも登場して『ガイア』を代表する怪獣となった。
「ヤメテ」「イタイ」と言った言葉や仕草がやたら可愛かったなぁ。

 

冒頭のチーム・ライトニングとチーム・ファルコンの演習はスピード感溢れた素晴らしい出来であった。これが今回のメインではないのが勿体無い。

 

フライング・シミュレーターではライトニングの方が成績が上だったが今回はファルコンの勝利となっている。ここは経験の差が出たのかな。
最後は梶尾リーダーと米田リーダーによるエース同士の対決。アッコとジョジーは梶尾リーダーが勝つと思っていたようだ。その梶尾リーダーはかなり子供っぽくてまるでゲームセンターのよう。
『ガイア』は隊員が多いので今回のように字幕付きで紹介してくれると見ている方は助かる。

 

我夢は全てをロジックにする事で理解し安心を得るタイプのようだが、それが通用しないガンQの出現に混乱してしまう。
混乱から過去の苦い記憶を思い出して自分をさらに追い詰めてしまう我夢。そして出した結論は「攻撃」。ガンQの存在そのものを自分の目の前から消してしまおうと言うものだった。

 

ガンQを分析できなくて失態を犯した我夢に対して梶尾リーダーは「どんな相手であろうが敵が現れたら戦い勝つ事が我々の使命だ」として「怯える者にXIGにいる資格は無い」と突き放す。
一方、我夢の失態が原因で負傷した米田リーダーは負傷は自分の責任だとして我夢にガンQ分析のきっかけを与える。
最前線で共に戦う戦士として厳しく対応する梶尾リーダーと先輩として後輩に道を指し示す米田リーダーが対になっていた場面。『ガイア』はたくさんのチームがいる事で我夢と先輩隊員の関係も色々なパターンが描けるようになった。

 

失態を犯した我夢はダヴ・ライナーでエリアル・ベースから離れる。この辺りは『帰マン』を始めとする第2期ウルトラシリーズを思い出す。
アッコとジョジーは我夢がこのままXIGを辞めるかどうか賭ける事にするが、どちらも「帰って来る」に賭けるので賭けにならなかった。
前回の「口止め料」もだがジョジーは仕事中も色々な事をしていて楽しそう。こうやって上手く気分転換をしているのかな。

 

行く当ての無い我夢は辞めたはずの城南大学へ行く。そこでマコトと生物的にも物理的にも論理性の無い生き物について議論をするが、我夢の話を聞いたマコトはあっさりと「それはお化けだ」と言ってのける。
そこから「お化けは存在は物理学的にも生物学的にも分からないがその存在理由や行動目的は理解できる」と言う話になり、我夢はガンQの存在ではなく行動目的に着目するようになる。
ガンQ攻略のきっかけを掴んだ我夢はマコトの車を借りて出動。横浜でデートする予定だったマコトが哀れ……。ところでマコトの車は色々と塗装がされていて驚く。もっと大人しい感じの車に乗っているイメージがあった。
因みにこの時のマコトとの会話で我夢がリモートフライングシステムを開発中である事が分かる。

 

たとえ全てを理解できなくても発想を変えれば限られた情報から有効な対処方法を見付けられる。
我夢はガンQが奪ったミサイルをもとに居場所を突き止める事に成功する。
一つ成長した我夢にとってガンQはもはや恐れるものではなかった。
ガイアに変身した後、ガンQの体内に取り込まれてたくさんの眼に苛まされても逆に本物の眼を見付けてガンQを倒すのだった。

 

我夢の活躍によって被害を最小限に食い止められたと報告する堤チーフ。それを受けて石室コマンダーはXIGの一員として当然だと答える。
徐々に我夢がXIGの隊員として周りに認められてきた。

 

我夢の失態で米田リーダーが負傷した時に塚守は我夢に向かって「元々自分は……!」と詰め寄っていた。その後の言葉は米田リーダーに遮られたが、おそらく「自分はまだ我夢を信頼できない」と言うつもりだったのだろう。
しかし、我夢の活躍によってガンQが倒された事を知ってファルコンも笑顔で我夢を迎えるのだった。

 

カフェテリアにて。
我夢「ご心配かけました。もう怯えたりしません」、
梶尾「勘違いするな。俺はお前の心配をするほど暇じゃない」。
今時珍しいキャラクターの梶尾リーダーが逆に新鮮で面白い。
我夢と梶尾リーダーが食事をしているとチーム・クロウが夜間演習を行っていた。その実力は我夢が驚いて梶尾リーダーが納得するほどのもの。でもクロウの登場はまだ後。
梶尾「お前も来週から演習に来い」。