帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「呪いの眼」

「呪いの眼 ー奇獣ガンQ登場ー
ウルトラマンガイア』第31話
1999年4月10日放送(第31話)
脚本 川上英幸
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

奇獣ガンQ(コードNo.02)
身長 56m
体重 5万6千t
戦国時代の呪術者・魔頭鬼十郎が根源的破滅招来体の力を利用した姿。呪いの産物なので生命反応が無い。
前回の敗北で潰れ爛れた不完全体で現れるが、子孫である沢村修作に根源的破滅招来体と連動して超能力が使えるよう呪いをかけていて、修作の力と自分の力を合わせて完全体となった。
眼から光線を撃つ。体から複数の眼を放って遠隔攻撃が出来る。瞬間移動を使う。
修作の超能力で眼を破壊されて再び不完全体になったところを最後はガイア・スプリームヴァージョンのフォトン・ストリームで倒された。

 

物語
潰れ爛れた状態で再び現れたガンQ
調査を進める我夢は超能力を使う不思議な少年と出会う。
少年とガンQの関係は一体?

 

感想
ガンQが再登場。潰れ爛れた不完全体がかなり気持ち悪いが、その気持ち悪さがこの怪獣の持ち味でもある。血管が浮き出た完全体はかなり強そうな見た目だった。
ガンQは前回が「笑い」、今回の不完全体が「泣き」で完全体が「怒り」を表しているらしい。
魔頭鬼十郎のせいか今回のガンQは前回に比べてあまり可愛げが無かった気がする。

 

『ガイア』の中でも特にインパクトのあったガンQだが今回登場の魔頭鬼十郎はそれを遥かに上回るインパクトを放った。
元々は人間なのに掌に眼はあるわ、その手は伸びるわ、妙な流し目はするわと下手な怪獣よりよっぽど化け物していた。
因みに今回の脚本を担当した川上さんによって書かれた小説『白狐の森』では魔頭の意外な過去が明かされている。

 

ウルトラシリーズでは意外といない超能力を持ってしまった子供の話。
沢村修作のエピソードは超能力で時計や落ちてきた植木鉢を止めたり、父親は出張で母親は既に死亡と言う両親不在の中で幼馴染の家族と付き合いがあったりと80年代の超能力ラブコメにありそうな雰囲気だった。

 

体が求めると調査中にお店でパフェを食いまくる我夢。さり気に大食い。そこに休暇のジョジーが偶然やって来る。
ジョジーは制服姿の修作と洋美を見て「いいなぁ、制服カップル。私にもあんな時代があったなぁ」と呟くが、それを聞いた我夢は「今でも十分ガキっぽいよ」とグサリ。同い年だからか我夢はジョジーには結構キツイ。

 

戦国時代に書かれていた古文書を入手した瀬沼チーフ。この人の調査範囲は何気に広い。
コッヴが数百年先の何年何日何時に出現するかを予言していた魔頭はクリシス以上だ。
魔頭は呪術を用いて並み居る戦国武将を暗殺して地位を得ようとしたが、その謀略を見抜かれて自害する。しかし、自害する前に根源的破滅招来体の力を利用して世界を乗っ取ろうとする呪術を施していた。
戦国時代の日本にここまで凄まじい人間がいたとは驚きだ。宇宙人などではない人間でここまでの能力を持つ者はウルトラシリーズでも他にいない。

 

我夢を待っている時に暗闇でタバコを吸っている瀬沼チーフがカッコイイ。
ウルトラシリーズではタバコを吸う場面が少ないので余計に印象に残った。

 

魔頭は子孫である修作に超能力が使えるよう呪いをかけていて、自分の力と修作の力を合わせて想像を絶する力を手に入れて制圧による我らが国を作ろうとする。
子孫たる修作には先祖たる自分の野望を叶える使命があると語る魔頭。自分が生まれる前から宿命が定められていたと言うのはウルトラシリーズではあまり見ない気がするが超能力等を取り扱った作品では度々見られる設定である。
今回の話はウルトラシリーズではあまり取り上げられていなかったジャンルの要素を上手くウルトラシリーズの形に当てはめていると思う。

日曜日に休暇を取って修作に付き合う事にした我夢。まるで北斗星司や東光太郎みたいだ。
我夢はサッカーをしようと言うが、超能力を使える修作は結果が決まりきっているとしてやる気が無い。
我夢は超能力を悪用しないで良い事に使っていた修作を信じるとして、強い意思があれば魔頭の呪いを跳ね飛ばせると語る。今まで幼くて子供に見えていた我夢だったが子供と並ぶとやはりお兄さんだった事が分かる。
この場面は我夢がウルトラマンの力を使わないであくまで人間の力で修作の超能力を打ち破るのがポイントなのだが、頭脳派の我夢がスポーツで説得するのはやや違和感があった。アスカだったら違和感が無かったのだろうが。
だけど、超能力でボールが変化する直前にスピードが鈍る事に気付き、そこを狙って靴を投げてボールを落とし、超能力がかかっていないボールを押さえて勝つのは我夢らしくて良かった。アスカだったら超能力で変化したボールを気合いと根性で取る展開だっただろうなぁ。

 

今回のガイアV2は街を疾走しながら登場と言う変わったパターン。
こういういつもと違う登場シーンは特別感があって好き。

 

ガイアV2は魔頭にさらわれた洋美を救出するがガンQの多彩な能力の前に苦戦を強いられる。しかし、修作は目覚めると最後の力を振り絞ってガンQを攻撃し再び不完全体に戻す。
魔頭「この国が欲しくはないのか!? 我らが国を作るのだ!!」、
修作「僕の人生は僕が決める! 誰にも指図はされない!」。
その言葉を聞いたガイア・スプリームヴァージョンは見事ガンQを倒すのだった。
ところで修作はガイアの正体に気付いたかな?

 

魔頭が消えて超能力も消えたが修作はこれで先祖の言いなりにならずスッキリしたと語る。そこにやって来た洋美を見て「いいなぁ、デートか」と言う我夢の発言を否定しないでニヤける修作とお約束のツッコミをする洋美。
去っていく二人を見て我夢が「デートかぁ。僕もそういう相手が欲しいなぁ」と羨ましがっていると「あら、そう? なら相手してあげましょう。特別に」といきなりアッコが登場する。
我夢のおごりとして我夢を上回る大食いを見せるアッコ。逃げようとする我夢だったが当然それを逃がさないアッコ。思わず我夢は「あぁ、これも呪いだぁー!」と嘆くのだった。
ところでジョジーは偶然だったがアッコは我夢がいると分かってこの店に来たっぽい。ただ単に我夢のおごりにあやかろうとしたのか、それとも……。

 

あざ笑う眼」では根源的破滅招来体の一員と思われていたガンQだったが今回の話で根源的破滅招来体の力を利用していた魔頭がその正体だった事が判明した。
このように根源的破滅招来体だと思われていたが実は違っていたと言う存在は他にもありそうだ。