帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「襲撃の森」

「襲撃の森 ー自然コントロールマシーンシンリョク登場ー
ウルトラマンガイア』第46話
1999年7月24日放送(第46話)
脚本 長谷川圭一
監督 原田昌樹
特技監督 満留浩昌

 

自然コントロールマシーンシンリョク(深緑)
身長 53m
体重 8万5千t
街を襲った森の中心に存在していた塔でエントと同じ構造を持っている。
栞が言うには未来から送り込まれたもので、内部は大地のエネルギーと未来を捨てた人間達の思念によって守られているらしい。
森のエネルギーを吸収して怪獣形態に変形する。
森を操るがガイアV2のフォトンエッジで倒された。
表面には篆書体によく似た文字で「深き緑」と言う意味の「深緑」と言う文字が施されていた。

 

物語
根源破滅教団に入信したサトウを心配する我夢。
そこに自然コントロールマシーンが出現する。
根源破滅教団の栞は自然コントロールマシーンは未来人が送り込んだものだと語る。

 

感想
当時放送されていた『快進撃TV うたえモン』に出演していた今田耕司さんが根源破滅教団の幹部の一人としてゲスト出演している。ウルトラマンのファンとして有名な京本政樹さんが『うたえモン』に出演していた事がきっかけらしいが、TBS系列の『ガイア』にフジテレビ系列の『うたえモン』の出演者がゲスト出演するとはよく考えたらかなり凄い事だ。

 

数年ごとに大繁殖の帳尻合わせで集団自殺すると言われるレミングを引き合いに出して人間も増えすぎたので美しく死ぬべきだと訴える今田教祖。
レミングは地球に命令されて何の疑いも無くピュアに死んでいくが、本能が壊れてしまった人間は地球の命令を聞く力を失ってしまったので根源的破滅招来体が現れたとの事。
一方で今田教祖は生まれ変わりについて語ったり、シンリョクが出現した時に必死に逃げたりと生に執着する一面も見せている。

 

いつもと違う雰囲気の梶尾リーダーを見付けて「そういう事ですか……」と妙に落ち込む我夢。いや、なぜ落ち込む……?
そう言えば「悪魔のマユ」で梶尾リーダーが我夢から貰ってしまった花束の件は誤解が解けたのだろうか? ひょっとして、梶尾リーダーは今も我夢が自分の事を……と誤解したままだったりして……。

 

律子「梶尾さん、そらってそんなに良いですか?」、
梶尾「えっ……?」、
律子「私には待つ事しか出来なかった。きっと帰って来る。いつもそう信じて待つ事しか……。そしてある日、帰って来なくって……。結局……、最後はそらに取られちゃったんです」。
そう言って律子はドライフラワーの花束をあの人が亡くなった海に流す。
言葉に詰まる梶尾リーダー。そして律子が問う。
律子「梶尾さん……。あなたは必ず帰って来てくれますか?」。
律子覚悟の一言。しかし、前回の「命すむ星」で初めて撃墜された梶尾リーダーはその言葉に答える事が出来なかった。

 

第1話から女性関係で殆ど良い話が無いサトウ。今回はインターネットの「人類救済の会」と言うフォーラムに参加して常連であった栞と仲良くなるが根源破滅教団に入信させられてしまう。
自分から事件に首を突っ込んでくるKCBよりそういうつもりは無いのに何度も事件に巻き込まれてしまうサトウの方が色々な意味で凄い。

 

藤宮「我夢、俺はまだ時々疑う時がある。奴らを呼び寄せるのはやはり人間なのかもしれないってな……」。
実際に確かめる事は出来ないが、もし人間が地球に存在しなかったら根源的破滅招来体は地球に現れただろうか?と考えたら何となくであるが現れない気がする。根拠は無いのだが。

 

樹が増殖していく場面は圧巻。
森が街を襲う展開は『Q』の「マンモスフラワー」をパワーアップさせた感じになっている。

 

我夢がアルケミー・スターズに森の情報を送るとキャスがその答えを持って登場する。
キャスが画面に登場した瞬間に無表情(無意識?)にペンを持つアッコ。そしてキャスが我夢と一緒に行くと分かったら、ベキッ!! 隣で見ていたジョジーがマジで怖がっていそう。
梶尾リーダーの事を吹っ切って我夢を異性として意識し始めたアッコだが、そのタイミングでキャスが出てきてしまう。サトウとは違う意味でアッコは男性関係で良い話があまり無い。

 

キャスはシンリョクの内部構造がエントと同じなので何者かがエントの基本プログラムを利用したのだろうと説明する。
自然コントロールマシーンは未来人が送り込んだものなので、未来でアルケミー・スターズが開発したものを自然コントロールマシーンに転用したのかもしれない。又、エントの設計にも関わっていたクラウスが情報を根源的破滅招来体に送った可能性も考えられる。

 

我夢とキャスはスティンガーで地上からシンリョク内部に直接侵入する事になる。
志摩「どう見てもガムより頼もしい」、
吉田「いっそXIGに入隊するか?」、
桑原「いいねぇ。その時はチーム・ハーキュリーズが面倒見るよ」。
はしゃぐオヤジ3人組。でも、ハーキュリーズにキャスが加わるのはアリかもしれない。思えばXIGの女性隊員はオペレーターズとチーム・クロウのみだったが『超星神グランセイザー』みたいに各チームを男女混合にしても面白かったかもしれない。

 

毎度毎度着陸の度に自転車を倒していたスティンガー。今回の話では遂に「スティンガー被害者の会」と言うものが登場している。代表は「うちだてつや」と言うらしい。

 

植物に覆われたシンリョク内部の様子がちょっとTVゲームっぽかった。

 

心臓部にまで辿り着いた我夢とキャスの前に栞が現れる。
「お前には撃てはしない、キャサリン・ライアン。遠くない未来。人類は地球を死滅の危機に追いやり、それがいかなる科学技術によっても回避できないと知った時、ある決断をした。私達は大気を浄化し、氷を溶かし、大地を洗い流した。そして人類を消去し、新しい種を蒔いた」。
いきなり明かされる自然コントロールマシーンの真実。
滅び去った人類へのレクイエムが流れる中、栞はさらに続ける。
「破滅招来体に私達は未来から導かれたの。もっと早く人類に滅びてもらう為に」。
人類が自ら滅びを選んだ事に我夢は驚きを隠せないが、かつての藤宮や根源破滅教団のように人類の滅亡を願う人達が既にいるので実際に地球の死滅が差し迫ったら滅びを選ぶ人が出てくる可能性は大いにある。
ただ気になるのは栞の発言を裏付けるものが何も無いと言う事。栞の言動はメザードとほぼ同じなので人類の自滅を誘う根源的破滅招来体の策略と考える事も出来る。
栞は目が光り、瞬間移動をし、シンリョク内部を自在に動かせるなど常人を超えた存在であった。未来人は現代の人類には無い特殊な能力を得ているのか、それとも本当はやはり根源的破滅招来体の関係者だったのか……?

 

栞は人類は滅び去る時が来るのを待つしかないとして蔦を操って我夢とキャスを捕らえるが、「自分自身で未来を掴め」と言う我夢の言葉を聞いたキャスは根性を振り絞って心臓部を破壊する。
栞はシンリョクがエントをモデルにしているのでキャスには破壊できないと考えたらしいが、キャスがそんな事で迷いを見せるとは到底思えない。昔の藤宮なら迷ったかもしれないが。

 

シンリョクが倒された後、梶尾リーダーは再び律子と話をする。
梶尾「自分は……帰って来ます。この戦いが終わったら。必ず」。
遂に覚悟を決めた梶尾リーダー。律子に花を渡し、そのまま二人は抱き合うのだった。

 

梶尾リーダーと律子のキスシーンを目撃して何故かうろたえ落ち込む我夢。
一方のアッコは「お姉ちゃん、頑張ってね」と笑顔で見守る。
アッコはちゃんとけじめを付けたと言うのに我夢は……。

 

「花……嫌い?」と花を渡すか迷う少女に「そんな事無い。好きだよ」と笑顔で受け取る藤宮。アグルになる前の明るさが戻ってきたようだ。
ところでこの手の影のあるキャラクターって少女とセットになる事が多いよな。

 

今回の件でさすがに懲りたと落ち込むサトウであったが後姿が素敵なお姉さんに早くもフラフラと付いて行ってしまう。しかし、そのお姉さんは栞そっくりでさすがのサトウもビックリして平謝り。栞のご先祖様かな?
女好きが災いして様々な事件に巻き込まれると言うのは『うる星やつら』の諸星あたるを始め数多くいるがウルトラシリーズでは珍しくサトウくらいしか思い浮かばない。

 

今回の話は原田監督の『ガイア』最終作と言う事でエンディングでは各キャラクター達のドラマがキスで締め括られている。
日本のヒーロー作品でキスシーンは少ない。『ティガ』の『THE FINAL ODYSSEY』のようなキスはさすがに難しいかもしれないが今回のような軽いキスシーンならアリなんじゃないかなと自分は思うのだが。