帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「もう一人の巨人」

「もう一人の巨人 ー大海魔ボクラグ登場ー
ウルトラマンガイア』第5話
1998年10月3日放送(第5話)
脚本 小中千昭
監督 原田昌樹
特技監督 北浦嗣巳

 

大海魔ボクラグ
身長 53m
体重 4万4千t
千葉沖海中から上陸した。
質量の殆どが海水で出来ていて体温も低く海中では反応を捉えられない。
両手の鎌で攻撃する。ミサイル程度の火力は海水で消されてしまう。どんな攻撃を受けてもすぐに復元する。強力な熱を与えたら街ごと蒸発する危険がある。
ガイアやアグルのエネルギーを吸収するが最後はアグルのリキデイターで消滅させられた。
出現理由は語られていないが、おそらくコッヴに関係していると思われる。
名前の由来はラヴクラフト作品に登場する「ボクルグ」かな。

 

物語
石室コマンダーに自分の状況を親に報告するよう注意される我夢。
渋々帰って来た実家の近くに怪獣、さらに二人目のウルトラマンが現れる。

 

感想
『ガイア』は他の作品に比べて設定が多いからか序盤は設定紹介編と言う感じになっている。
まず「光をつかめ!」で怪獣出現に合わせてXIGとウルトラマンを登場させて、次の「勇者立つ」でG.U.A.R.DとXIGの説明を、「その名はガイア」でガイアと我夢の紹介をして、その後の「天空の我夢」で我夢の周りの人々と敵の設定を通して『ガイア』の方向性を示し、今回の話で我夢の過去が描かれアグルと藤宮が本格登場する事となった。

 

前回搭乗したファイターEXを勝手にいじくる我夢。既に自分の所有物扱いだが一応は堤チーフの専用機である。
我夢がファイターEXを勝手にいじくっているところを見たジョジーは口止め料を要求。口止め料=アイスを無表情で気にするアッコが妙に怖い。それを気にする我夢の態度があまりにもバレバレでほっこりする。それにしても仕事中に職場でアイスを食べられるとは羨ましい環境だ。

 

艦長室に飾られている石室コマンダーの家族の写真と子供が描いたと思われる絵。石室コマンダーの意外な一面を知った我夢はその事を口にするが逆に自分の家族の事を尋ねられてしまう。
石室コマンダーの家族は結局登場しなかった。写真まで出ていながら登場は無かったのは少し意外だった。

 

なんと我夢は自分がXIGに入隊している事を家族に報告していなかった。これは放任で済む問題ではない。
それを知った石室コマンダーは本来居てはならない我夢の命を預かっている身として、我夢にちゃんと親に顔を見せて話をしてこいと告げる。
これが当然。と言うか、ここまで言われても電話で適当に済ませようとした我夢は大問題。我夢は成人なのに子供扱いされたと愚痴っていたが、子供じゃないならこういう問題は自分で片付けなければならない。

 

実家に帰る途中のバスで女子高生に囲まれた我夢は居心地が悪くなって途中下車して海岸を歩く事にする。
脚本では女子高生ではなく地元のおじさん達がバスに乗り込んできて、実家に近付いている事を我夢が気にする場面だったらしい。ここは脚本のままの方が良かったと思う。

 

女子高生達の会話から東京に怪獣が現れたので地方に移住する人が出てきた事が分かる。
ウルトラシリーズは毎週のように東京に怪獣が出現しているので疎開する人が出てくるのは十分あり得る事なのだが意外とそう言う話は無い。

 

海岸を重い足取りで歩く我夢。子供の時に勉強が出来るからと周りにイジメられていたらしい。我夢の両親はいい人なのだがこの記憶が枷となって我夢を実家から遠ざけていた。
ところで、いじめっ子を庇うつもりは無いが、いじめっ子が述べた「勉強が出来るからって威張っている」「僕には何でも分かるって顔をしている」「周りとは違うと鼻にかけている」は今の我夢を見ていると全くの的外れではない感じがする。

 

海中に謎の反応があると言う事で石室コマンダーはチーム・マーリンの出動を考えるが、海中で補足出来ないので水際で阻止するしかないと言う堤チーフの意見で取り下げされる。結果、マーリンの登場はもっとずっとずっと後になってしまう……。

 

実家に帰って来た我夢の姿は大学で実家から離れて暮していた自分には凄くリアルだった。(さすがに自分は親にいつ帰るかは言っていたが)
父は役所と言う事で今日は平日だと分かる。我夢は本来なら今ここに居るはずではない。それでも母親は我夢を受け入れる。
因みに我夢は大学を辞めてXIGに入隊していた事が分かる。

 

「ボクラグは何故現れたのか?」はコッヴを使って説明できるが「ボクラグは何をしにきたのか?」は今回の話だけでは分からない。我夢を狙ってきたのだろうか? 因みに「熱波襲来」では我夢の実家の近くからエンザンが出現している。

 

ボクラグの出現に我夢はXIGナビでエリアル・ベースと連絡を取る。そのやり取りを見た母親は息子は大学を辞めても何かを一生懸命やっている事を知る。
避難すると言う母親に我夢は「母さん。僕さぁ、この街って、あんまし好きじゃなかった。でも、今は帰って来て良かったって思っている」と告げる。
苦い出来事も今は昔の話。そういう部分も含めて一つの思い出として見られるようになった我夢であった。

 

ボクラグが出している水分をサンプリングしてほしいと言う我夢の意見を素直に聞くチーム・ライトニング。これまでの実績から我夢が信用を得てきている事が分かる。

 

ガイアに変身しようとした我夢だったが、そこに謎の男が現れてアグルに変身する。この男こそ藤宮博也であった。
アグルのデザインは青と黒を基調とした今までのウルトラマンとは違ったカラーリングが新鮮で衝撃だった。
アグレイターはエスプレンダーと同じくアグルのライフゲージをイメージしたデザインになっているが藤宮も我夢のように自分で製作したのだろうか?

 

アグルの登場に堤チーフは「砂漠の時の……」と反応するが石室コマンダーは「ウルトラマンは一人じゃないのか!?」と驚く。
あれ? 堤チーフはアグルの事を石室コマンダーに報告していなかったのか?

 

アグルを見て「ガイアだよ!」とはしゃぐジョジー。一体、どこに間違えるような共通点があると言うんだ……。

 

今回の我夢は「ガイアー!!」と初めて叫んで変身している。
叫んでの変身はやはり燃える。叫んだら周りにバレるじゃんと言う突っ込みは野暮だ。

 

戦いでアグルはなんとボクラグをガス貯蔵タンクに投げつけてしまう。街ごと蒸発の危険はあるがボクラグを倒すのには有効な手段でアグルの強さ非情さがよく分かる展開であった。
アグルブレードがかなりカッコイイが、ボクラグの再生能力の高さを紹介する為の噛ませ扱いだったのが残念。
結局はガイアが助けに入って最後はアグルがガイアごとボクラグを倒そうとして決着に至るが、ここはアグルが圧倒的な強さを見せたまま終わってほしかった。
ボクラグに強力な熱を与えたら街ごと蒸発してしまうがアグルはリキデイターでボクラグを倒す。リキデイターは熱光線ではなく衝撃波だったので大丈夫だったらしいが、ここは台詞での分かりやすい説明が欲しかった。

 

戦いを終えて去っていくガイアとアグルを見て梶尾リーダーは「あのどちらかと戦う事になるのか……」と呟く。
アグルはともかくガイアとXIGが戦う事になるとはこの時点でも既に思えない感じなのだが、まだ梶尾リーダーはガイアの事を信用しきっていなかったのかな?

 

戦いが終わってフラフラになる我夢。
頭の中ではもっと動けているのに体が反応できないとの事。ここはトレーニングを続けている藤宮の方が上であった。この事があってか我夢は頭だけでなく体も鍛えるようになる。

 

我夢の前に藤宮が現れて自分のスタンスを宣言する。
藤宮「我夢。君が二番目だったんだ」、
我夢「藤宮……。藤宮博也君、だろ? どうして君がウルトラマン……」、
藤宮「根源的破滅招来体を阻止できるのはアルケミー・スターズなんて仲良しグループじゃない。それが分かったから俺は辞めた。地球にとって人類とはガン細胞だよ。増殖し続け、地球を汚し続けるだけの存在」、
我夢「そんな……」
藤宮「ウルトラマンは地球を守るものだ。しかし、存在理由を持たない人類まで救う義理は無い。XIGなんて辞めてしまえ! 俺を手伝う事が君の成すべき事だ」、
我夢「違う。絶対に君の考えは間違っているぞ!」。
今でこそ主人公とはスタンスが違うヒーローは数多くいるが当時のウルトラマンでアグル藤宮のような存在は例が無くて衝撃であった。
「地球は守る」が「地球を汚す人類までは守る義理は無い」と言うのはウルトラマンが地球から遣わされた存在である『ガイア』ならではの話であった。言われてみれば確かに人類は怪獣以上に地球を傷付ける存在だよなぁ……。

 

物語序盤の藤宮は我夢の存在理由を脅かす者として描かれている。
その名はガイア」では名前を付けたりして自分だけのウルトラマンを喜んでいる我夢の前にもう一人のウルトラマンとして現れ、今回も自分のウルトラマンとしての能力で事態を解決しようとした我夢を差し置いてウルトラマンに変身し、さらに自分が最初のウルトラマンだと宣言して、ウルトラマンは人類を守るものと言う我夢の考えにも真っ向から反論してきた。

 

子供時代は周りにイジメられていた我夢だが今はそういう影は見られない。
いじめっ子と和解した雰囲気は見られないので、いじめっ子とは別に気の合う仲間と出会えた可能性がある。おそらくそれがアルケミー・スターズだったのだろう。