帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「熱波襲来」

「熱波襲来 ー自然コントロールマシーンエンザン登場ー
ウルトラマンガイア』第28話
1999年3月20日放送(第28話)
脚本 川上英幸
監督 児玉高志
特技監督 佐川和夫

 

自然コントロールマシーンエンザン(炎山)
身長 62m
体重 8万7千t
テンカイと同じく何者かが作り出した自然コントロールマシーン。
我夢の故郷にある油田山から現れて辺り一帯を異常熱波で襲った。
樋口さんの推測によると地球の氷河期を防ぐ為に何者かが太古の昔に作り出したのではないかとの事。
表面が絶縁素材でコーティングされていてレーダーでは感知できないようになっていた。
背部にあるエネルギーゲージが全て点灯したら更にエネルギーを発せられる怪獣形態に変形する。
爆発性のある炎を発する。不意打ちでガイア・スプリームヴァージョンを騙そうとするが失敗し、最後は内部に突入したガイア・スプリームヴァージョンにコアを取り出されて爆発した。
表面には篆書体によく似た文字で「炎そして山」と言う意味の「炎山」と言う文字が施されていた。

 

物語
藤宮のショックからいまだに立ち直れていない玲子。
一方その頃、我夢の故郷では異常気象が観測されていた。

 

感想
玲子のマンションにリンブンが訪ねてくるが玲子の精神状態はあまり良くない。と言うかかなりやばい。
リンブンは全国から局に応援の投書がたくさん来ている事を告げ、部屋に閉じこもっていても何も始まらないと語りかける。

 

我夢の故郷が異常気象に襲われている事を知った樋口さんは我夢を気遣うが、我夢はいつもと変わりないと答える。
エンザンが作り出された目的について語り合っているところ等を見ると、おそらく樋口さんはG.U.A.R.Dの関係者で我夢と最も話が合う人だと思われる。
残念ながら樋口さんが語ったエンザンが作り出された目的は外れであった。ここはアルケミー・スターズではない一般人の限界なのかな。
因みに今回の話が樋口さんの最後の登場となっている。出来れば最後まで出てほしかったなぁ。

 

今まで台詞で語られるのみだった我夢の父親が初登場。
役所のケースワーカーとして昔から日曜も祭日も無くたった一人で頑張っていて、異常熱波で倒れていたところを今回の異常熱波は根源的破滅招来体の仕業だと睨んで取材に来ていた田端さんに助けられる。
因みに主人公の両親がどちらも健在で登場するのは『ガイア』が初めて。

 

我夢の父親は田端さんと一緒に山の中で一人暮らしをしている徳造さんを助けるが、避難する途中で倒れた木によって道が塞がれてしまう。諦めかける田端さんだったがどんな時でも諦めちゃいけないとして木をどかそうとする我夢の父親を見て我夢の本質を改めて知る事になる。

 

テンカイと違ってエンザンは怪獣形態に変形する。
地球環境を改善するだけなら怪獣形態に変形する必要は無い。ひょっとしたら、テンカイがガイアに倒されたので、ガイアに対抗する為にエンザンに新しい機能が付けられたのかもしれない。

 

今回のガイアもやたらとエンザンを投げる!
エンザンを片手で持ち上げて回してしまうのはスプリームヴァージョンの力強さをこれでもか!と見せ付けるものであった。

 

「僕は地球を守る。出て行け!」と一喝するガイア・スプリームヴァージョンだが、エンザンは宇宙から来たわけではなかったりする。

 

エンザンが謝って帰る振りをして不意打ちしてくるのは昭和のウルトラシリーズを思い出して懐かしい。
セブンだとここであっさりと騙されるところだがガイア・スプリームヴァージョンは騙されずに返り討ちにしてしまう。さすがは我夢。ウルトラマンが相手の不意打ちに騙されなかったのって実はかなり珍しい気がする。

 

戦いが終わって我夢は父親が入院した病院へ。
我夢「良かった。大した事無くて……。張り切りすぎるんだよな、いつも……」、
我夢母「でも、そこがお父さんの良いところなんだしね」、
我夢「昔、海で溺れそうになった時、父さんに助けてもらったよね?」、
我夢母「あぁ、そんな事もあったわよね」、
我夢「恩返し……出来たかな?」。
目覚めた徳造さんは「死に損なった」と呟くが我夢の母親は「そんな事言うものではない」と息子の遺影を取り出し、それを見た徳造さんは「バカ息子の分まで長生きしなければいけない」と呟くと我夢に向かって「親より先に死んだりするんじゃないぞ」と語る。既に目覚めていた我夢の父親はそれを静かに微笑みながら聞いていた。
そう言えば今回の話で我夢と父親は一度も言葉を交わしていなかったりする。それでも二人の心が通じているように見せたのが上手かった。
こういう家族の話は『ガイア』では珍しい。このどこか今までのウルトラシリーズに近い話が多いのがバラエティ編の特徴。

 

事件がとっくに終わってもまだ来ないリンブンに苛立つ田端さん。そこにようやくやって来たリンブンは玲子を連れて来ていた。
「ご迷惑おかけしました。今日から復帰します」と謝る玲子に向かって田端さんは「……支度しろ」と静かに声をかける。
こうしていつものKCBが戻って来たのだった。

 

今回の話は児玉監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。