帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「決着の日」

「決着の日 ー巨獣ゾーリム登場ー
ウルトラマンガイア』第26話
1999年3月6日放送(第26話)
脚本 小中千昭
監督・特技監督 村石宏實

 

巨獣ゾーリム
身長 計測不能
体重 計測不能
ガイアとアグルの激突エネルギーで開いたワームゾーンから現れた。
口から炎を吐く。
ガイアV2とXIGを苦しめるが最後はガイア・スプリームヴァージョンのフォトン・ストリームで倒された。
光をつかめ!」に登場したヴィジョンの龍に似ているが関係は不明。

 

物語
遂に決着が付くガイアとアグル!
そして大攻勢を始める根源的破滅招来体!
決戦に挑むXIG!
そんな中、我夢は全ての始まりを知る。その驚愕の真実に藤宮は……。

 

感想
オープニングの映像にXIGの各チームの紹介場面が追加された。
動けないイメージがあったので我夢のバク転に驚く。
それにしてもどうして今回から一部の映像を変更したのだろうか? 次回から新展開なのでオープニングの新映像も次回からで良かった気がするのだが……。

 

ガイアとアグルが戦っている所にやって来た石室コマンダーは「ガイアを援護しますか?」と言う堤チーフの質問に対し「これは巨人同士の戦いで自分達の行動はこの決着が付いた時に決定する」と答える。
石室コマンダーはこの時点でウルトラマンの正体に気付いているので、まずは我夢自身に決着を付けさせたかったのだと思われる。

 

ガイアのフォトンエッジとアグルのフォトンクラッシャーが激突し、その激突エネルギーを宇宙に放出して二人のウルトラマンは倒れてしまう。
藤宮「強くなったんだな、我夢」、
我夢「僕が強いんじゃない。やっと分かったんだ。僕は地球の力を借りている。君だってそうだ」、
藤宮「そうさ。地球は慈悲深い母などではない。こんな破壊的な力を俺に授けてくれた。俺がしようとしているのは地球が願っている事だ。それを我夢、お前は……!」。
基本的にウルトラマンの力は光で正義で皆を守るものであるが、『ダイナ』や『ガイア』ではウルトラマンが何者なのか何の意思があってその力が人間に与えられたのか明確な説明が無いので、ウルトラマンの力は時にとても危険なものになるのではないかと言う話が出てくる。

 

戦いの後、倒れている藤宮に玲子が近付こうとするが瀬沼チーフに「ただの人間が踏み込める場所ではない」と止められる。それに対して玲子は「人間だよ! 人間だからこんな事になっちゃったし、人間だからあんなに傷付いて……!」と反論する。
基本的に玲子はアグル藤宮についてアグルと言う力ではなく藤宮と言う人間に目を向けている。
『ガイア』終盤はアグル藤宮の再起が一つの軸になっているが、アグルの再起に関しては同じウルトラマンである我夢が担い、藤宮の再起に関しては玲子が担ったところがある。

 

全てが終わった後、玲子はリンブンに迎えられる。
ここに田端さんがいないのは残念。どう接するか見たかった。
ところでマスコミは藤宮の写真は撮っていたが何故に玲子には取材しないのだろう? 規制がかかっていたのかな?

 

石室コマンダーワームホールが中々開かない事に疑問を抱き、根源的破滅招来体がガイアとアグルの激突エネルギーを利用してワームホールを開けようとしていた事に気付く。
憎しみや怒りを抱えたままウルトラマンは戦ってはいけない事を知っていながら戦ってしまった事を悔やむ我夢に向かって石室コマンダーは根源的破滅招来体がそれを望んでいた事を告げ、我夢の脱臼を直すとXIGナビを置いて「早く傷を治せ。傷が治ったら……戻って来い」と告げる。
今までのウルトラシリーズではウルトラマンの正体がバレるのは最終回かその間際となっていた。(『レオ』のダン隊長は正体が同じウルトラマンであるセブンなので除外) 『ティガ』ではレナやイルマ隊長が途中から薄々気付いていた感じだったが明確に語られたのは最終章だったので、シリーズの中盤で特別チームの隊長に明確にバレるのは『ガイア』が初めてとなる。
石室コマンダーが我夢の正体に気付いていた事で今まであった色々な部分も納得がいくようになった。

 

さらに400%拡大するワームホール
各国とも地底の怪獣達を封じる地中貫通弾に高エネルギーを集中させてしまっているので高エネルギーミサイルは使用出来ない!
千葉参謀は各国の連携で人工衛星の防衛システムを集中させるが、その衛星防御システムまでもが光粒子コンピューター・クリシスの暴走で使用不能に陥ってしまう!
次々と起こる緊急事態に千葉参謀はパニックに陥り、石室コマンダーは全ては偶然ではないと気付く。そして絶望的な状況下でありながらも堤チーフは「我々は……やれる事をやるまでです」として久々にファイターチーム全員が集められるのだった。

 

ファイターチームの会議を見て今まで色々な作戦を提案してきた我夢がいつの間にかXIGを支える一つの柱になっていた事が分かる。
『ガイア』が始まった頃は主人公をエースパイロットから外して物語が展開できるのか心配だったが、実はアナライザーこそが特別チームにとって最も重要で最も多くの人と接する機会があるポジションだった事が分かった。

 

ワームホールの向こう側が謎なのでどのような作戦を立てれば良いのか皆が悩む中、米田リーダーはチーム・ファルコンを先行させてほしいと訴える。
普段は必要以上に前に出ない米田リーダーの突然の提案に皆は驚き、堤チーフは特攻するつもりなのかと尋ね、慧も何故いつも命と引き換えみたいなミッションばかり選ぶのか理解出来ないと問う。
慧の疑問に米田リーダーは「命を安売りしているつもりはない」と答える。では、何故危険に飛び込むような真似をするのか。その答えは後の「いつか見た未来」で語られる事になる。

 

アルケミー・スターズのネットワークにリンクした我夢はクリシスのパルスパターンがワームゾーンに呼応している事を知る。
ワームゾーンから巨龍ゾーリムが現れる中、ジオ・ベースを脱走した藤宮が決着を付けに来るが、我夢は藤宮にゾーリムがガイアとアグルの激突エネルギーを使って地球に現れた事、クリシスが根源的破滅招来体とシンクロしている事、クリシスのシステムの一番奥深いところに何かが既に紛れ込んでいた事、そして藤宮が得た答えは根源的破滅招来体に書き換えられていた事を伝える。
全てを知った藤宮は絶叫し震える。彼の全てが崩壊した……。

 

真実を知らされた藤宮は「自分がウルトラマンの力を得たのは地球の意思ではなかったのか?」と混乱する。
我夢は今は戦うしかないと言うが、藤宮は今の体では満足に戦えないとしてアグレイターからアグルの光を開放する。
藤宮「アグルの力を一緒にしろ。少しはマシに戦える。信じていたものに……、大事なものに裏切られた気持ちが、お前には分かるか? 俺にはもう……守るものなんて……何も無い……」。
アグルの光を残して去っていく藤宮。そこに注がれるゾーリムの炎。爆炎の中に消えた藤宮を見て我夢はエスプレンダーにアグルの光を込めて叫ぶ。
我夢「大事なものなんて……、いくらでもあるじゃないか!? ガイアァァーーー!!!」。
我夢は赤いガイアと青いアグルの二つの光を得たガイアV2へと変身した。
個人的に変身する時は叫んでくれる方が盛り上がる派なので『ガイア』は好きな変身シーンが多い。特に今回の我夢の「ガイアァァーーー!!!」はこれまでの色々なドラマが詰め込まれた非常に印象に残る叫びであった。

 

ゾーリムに戦いを挑むがダメージを与えられないXIG。そこに加わったガイアV2はゾーリムの攻撃に苦しむも決して諦めない。
「アグルの力を貰ったんだ! このまま……終わるか!!」。
さらに光を開放したガイアは究極の姿ガイア・スプリームヴァージョンへとヴァージョンアップし、XIGと共にゾーリムを倒すのであった。
過去にもジャックやレオがウルトラブレスレットやウルトラマントを得たりタロウがスーパーウルトラマンになったりしたが、ウルトラマンがパワーアップして姿まで変わったのは『ガイア』が初めて。
今までひよわっちい我夢のような細身だったガイアが逞しいボリューム感溢れる姿になった。我夢のイメージとはややギャップが生じているが見て分かりやすいパワーアップであった。
ただ「スプリームヴァージョンは1分間しか活動できない」と言う設定が劇中で語られなかったのは残念。こういう設定はキチンと劇中で語ってほしい。

 

ガイアと敬礼をかわすXIG。
敬礼するウルトラマンは意外といない。

 

我夢の帰還を提案する石室コマンダーとそれを了承する千葉参謀。
大団円の雰囲気に流されそうになるが、元々の追放理由だった藤宮との関係は今も潔白が証明されていないような気が……。(それどころか藤宮と会う為にリザードのデータをハッキングしたりと疑いは深まったはず)

 

「生きているよね? 藤宮。いつか一緒に戦える日が来る。僕は信じている」。