帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ファースト・ジャグリング」

「ファースト・ジャグリング」
ウルトラマンZ』第5話
2020年7月18日放送(第5話)
脚本 中野貴雄
監督 辻本貴則

 

冷凍怪獣ペギラ
身長 40m
体重 2万t
イヌイットの伝承にその存在が記されていた怪獣。
ゼットランスアローによってアラスカの永久凍土の下で眠っていたが地球温暖化の影響で目覚めた。
黒い積乱雲になって移動する。
口から吐く冷凍光線で周囲をマイナス130度まで冷やしてしまう。
ウインダムを倒すが、蘇ったゼットランスアローのゼットランスファイヤーで倒された。

 

合体魔王獣ゼッパンドン
身長 60m
体重 4万5千t
ジャグラーがウルトラゼットライザーを元に生み出したダークゼットライザーで変身した姿。ペギラを倒したゼットの力を試す感じで戦いを挑み、ゼットランスアローのゼットアイスアローで氷漬けにされて爆発した。変身者のジャグラーはダメージを負ったものの無事であった。

 

物語
アラスカで謎の古代石器が発掘されて日本に運ばれる。
一方、アラスカの永久凍土の下で眠っていたはずのペギラが復活して日本に現れる。
そしてハルキの前に謎の人物が現れる。

 

感想
人気はあるが冷凍光線の表現が大変なのか意外と再登場が少ないペギラが『Q』以来にその回の主役怪獣として登場した。冷凍光線だけでなく無重力状態まで再現されているのが嬉しい。

 

ペギラが封印されていた場所がアラスカになっていたりイヌイットに伝承が残っていたりと昭和のガメラを思い出す設定になっていた。(こじつけだけれど昭和ガメラ1作目の『大怪獣ガメラ』では「Zプラン」と言うのが登場している)

 

ペギラが日本で降り立った場所が「北川町」だったりウインダムが出撃する時に「フォースゲート・オープン」がコールされたりと『セブン』のオマージュがある回。
因みにペギラは『セブン』でカプセル怪獣の候補になっていたので今回のペギラ対ウインダムはある意味因縁の戦いとも言える。

 

「あぁ~、寒ぅ!」と「アッサムティー」をかけたダジャレを嬉しそうに言うヘビクラ隊長。ジャグラーもオジサンになってしまったんだなぁと感じた場面。
そう言えばウルトラシリーズの登場人物が年を重ねて再登場する事が何度かあるが落ち着いた感じになるのが殆どで今回のジャグラーのようにダジャレを言うオジサンになるパターンは意外と無かったなぁ。

 

ハルキの不意を突いてウルトラゼットライザーを奪ったジャグラーは闇の力でウルトラゼットライザーのコピーであるダークゼットライザーを生み出す。
そう言えば『オーブ』で「ダークリングはジャグラーがオーブリングを元に生み出したもの」と言う設定が一時期あったらしいが、今回のダークゼットライザーの誕生を見ると、やはりダークリングはオーブリングに闇の力が加えられて生み出されたもののように思える。ジャグラーが生み出していないのは確かなようなので、ジャグラー以前に闇の力を使ってオーブリングからダークリングを生み出した存在がいたのかもしれない。

 

ウルトラゼットライザーを奪われたハルキはゼットとの交信が出来なくなってしまう。ウルトラマンと一体化していながらウルトラマンと心が繋がっていないと言うのは意外と無いパターンである。
又、ゼットはウルトラゼットライザーがジャグラーに奪われている間は外の状況が全く把握できていなかった。ウルトラマンと言えば何でもお見通し的な事が多い中、これも珍しいパターンである。

 

ゼットとペギラの空中戦は『R/B』の「さよならイカロス」を思わせるものでクオリティが実に高かった。「空を飛ぶ」と言うのはウルトラマンの特徴の一つなので、そこの技術が上がっているのを見られるのは凄く嬉しい。

 

謎の石器の正体はゼットランスアローであった。ゼットはウルトラマンの力を感じて使い方も分かったのだが詳しい事は謎のままであった。「光の国の力」ではなくて「ウルトラマンの力」なので光の国以外のウルトラマンの武器だった可能性もある。(オーブスラッガーランスに似ているし)
話の中心がペギラジャグラーになっていたので劇中ではゼットランスアローについてあまり触れられなかったが、過去の作品でもウルトラマンが古代に現れて何かを残した話が多々あるので『Z』でも古代にああいう感じの話があったのかなぁとイメージする事が出来た。ここは他の作品と話が繋がっているウルトラシリーズの利点と言える。

 

ゼットがペギラを倒したのを見届けたジャグラーはダークゼットライザーを使ってゼッパンドンに変身する。
カメラ目線やら魔法少女のように髪を靡かせたりとか「お待たせしました」と言うメタっぽい決め台詞とか怪獣なのにウルトラマンのポーズを取るとか凄まじい衝撃を残した変身であった。おそらくウルトラシリーズで色々な意味でこれを上回る変身シーンは今後も出てこないと思う。

 

ジャグラーは自分より先に作品に登場しているゼットンパンドンにはさん付けをして、自分と同じく『オーブ』で登場したマガオロチは呼び捨てにしている。この「自分より先に登場したキャラクターにはさん付けをする」のはガイと同じ。あえてそうしたのか偶然そうなってしまったのか。

 

青柳尊哉さんが『Z』に隊長役で出演すると発表された時にジャグラーに関係する役なのかどうかが話題になった。全てが分かってから第1話から見返すとジャグラーである事を視聴者に全く隠していない事が分かるのだが、それでも当時は今回の話が放送されるまでヘビクラ=ジャグラーかどうか確信が持てないところがあった。
と言うのもウルトラシリーズは過去に『セブン』のモロボシ・ダンが『レオ』でダン隊長として再登場した一方で桜井浩子さんが『Q』で由利子を『初代マン』でフジ隊員を演じたように同じ役者が別の役でレギュラー出演する事もあるので、ヘビクラ隊長がジャグラーっぽい言動をしても「黒部さんも別の役でもハヤタ隊員っぽい言動をする事があったしな……」と疑ってしまうのだ。おそらくだが、ウルトラシリーズをよく知っている人ほどヘビクラ=ジャグラーに確信が持てなかったと思う。

 

ウルトラシリーズでは怪獣や宇宙人が作品を超えて再登場する事が多いが、それらは同じ種類の別の個体である事が多い。ウルトラマン以外で別個体ではない作品を超えた再登場キャラクターと言えばヤプールとベリアルくらいであろうか。(ジュダ達はちょっと微妙かな)
ウルトラマンで登場回数の多いセブンは『セブン』『レオ』『平成セブン』『メビウス』『SEVEN X』、そしてゼロシリーズと何度も再登場する事でかなり長い物語が出来上がったが、ジャグラーも『オーブ』『ジード』『Z』と登場を重ねた事でかなり長い物語が出来た。今回のジャグラーのようにウルトラマン以外のキャラクターを作品を超えて再登場させて長い物語を作り出していくのも面白いなと思う。

 

今回のサブタイトルは「ファースト・ジャグリング」。
「ジャグリング」は「道具を巧みに操る芸」と言う意味らしい。今回の話を見ると「ジャグラーストレイジやダークゼットライザーと言った道具を巧みに操っている」と言う事になるのかもしれない。
あと、なんとなくだが「ジャグジャグする」と言う意味で「ジャグリング」だったりするのかなと思った。

 

 

ヨシダさん、このジャグラーの写真はいつどこでどのように撮ったの?

 

 

ウルトラマンと太古の歴史」
ウルトラマンゼット&ウルトラマンゼロ ボイスドラマ』第5回
脚本 足木淳一郎
CG 渋谷怜央加
編集 坂口俊昭

 

自分は『ネクサス』を本放送で見ていたので後にノアのウルトラマンとしての格がメチャクチャ高くなったのに実を言うとちょっと戸惑うところがあったりする。