帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宇宙海賊登場!」

「宇宙海賊登場!」
ウルトラマンZ』第10話
2020年8月22日放送(第10話)
脚本 中野貴雄
監督 中川和博
特技監督 尾上克郎

 

海賊宇宙人バロッサ星人
身長 2m~53m
体重 110kg~2万5千t
キングジョーに乗っていた宇宙人。
銀河中で破壊と略奪を繰り返し、奪った武器を自分の力として使う。
頭に手を置く事でその人間を自由に操る事が出来る。
地球人の言語を発する事が出来ないので操った人間の口を使って意思を伝える。
掌の渦巻きで相手を困惑させる事が出来る。
怪獣研究センターを襲撃して手に入れたゾフィー、ジャック、ウルトラの父のウルトラメダルをゼットに手に入れられ、最後はM78流・竜巻閃光斬で倒されて花火となった。
一度に卵を1万個生む種族なので兄弟が1万人いる。

 

物語
キングジョーを回収したストレイジであったが、バロッサ星人が侵入してキングジョーを奪い返そうとする。危機に陥ったストレイジの前に現れたのは魔人態のジャグラーであった!

 

感想
回収したキングジョーの技術力を地球の軍事に転用しようと言うこれまでのウルトラシリーズを見ていたら嫌な予感しかしない展開。バコさんも「この技術はまだ我々人類には早すぎるのかもしれない」と懸念を示すが、それに対してユカは「産業革命だって蒸気機関だって人類にはまだ早過ぎたんですよ。でも、文明はずっと豊かになってきたじゃないですか。だから、この技術もきっと未来の役に立ちます」と反論する。
バコさんの懸念は後にセレブロの「文明自滅ゲーム」で当たってしまうが、一方でユカの意見もキングジョーストレイジカスタムをストレイジが使いこなす事によって肯定されている。
『ティガ』のマキシマ・オーバードライブ、『メビウス』のメテオール、そして本作のキングジョーストレイジカスタムと以前なら人類に大きな危険を及ぼしそうなものも人類が上手く制御して使いこなすようになってきて、それぞれの世界は違うがシリーズ全体で見ると確実に人類は進歩している事が感じられる。

 

ヨウコ先輩と腕相撲をするハルキ。
これって単なる力比べ? ヨウコ先輩に勝った時の条件を考えると色々気にしてしまう。
現時点では腕相撲はヨウコ先輩の方が強い。ウルトラマンと一体化した人間は身体能力が上昇するのだがハルキはそういう事はないようだ。

 

盆栽の手入れをしているヘビクラ隊長。
ジャグラーもすっかり落ち着いた趣味を手に入れて……と思ったら『ウルトラマンZ完全超全集』に収録されている小説「ジャグラスジャグラークロニクル ジャの道は蛇」で盆栽に関する驚愕の真実が明かされている。
盆栽は他人に邪魔されないで自分の世界に没頭できる趣味であるが、ヘビクラ隊長の盆栽は周りに人がいた事で自分の思い通りにならなくて失敗する事が多い。ここはジャグラーの人生を暗示している感じがして興味深い。

 

銀河中で略奪を繰り返しているバロッサ星人は様々なアイテムを持っている。
怪獣や宇宙人そのものを再登場させるのではなく、サータンの毛で織った透明マントやシャプレー星人の銃と言ったようにアイテムを使って過去の怪獣や宇宙人の存在を出してくるのは新しい発想で面白かった。このアイデアは次作『トリガー』でもトレジャーハンターのイグニスで使われている。

 

他の宇宙人の武器を略奪して自分の物にするバロッサ星人とキングジョーを回収してストレイジの兵器にしようと言う地球人は実は似た者同士と言えるのかもしれない。

 

サータンの毛で織った透明マントで姿を消すバロッサ星人。
姿を消す怪獣や宇宙人が色々いる中でサータンを選ぶとは中々マニアック。
それにしても毛がかなり少ないサータンからマントを作れるほどの量の毛を取るって中々にエグい事をする……。

 

バロッサ星人に倒されたハルキは状況をメインルームに報告するが、あの状況を見るとゼットとの会話もメインルームのヘビクラ隊長とユカに聞かれていそうなのだが……。

 

バロッサ星人に頭を握り潰されそうになった時のヨウコ先輩の「死にたくない!」はヨウコ先輩じゃなくて操っていたバロッサ星人の言葉なんだろうな。そちらの方が効果的だと分かっているので。

 

前半はホラーな雰囲気で後半はコミカルになった印象がある回だが、見返してみるとバロッサ星人の仕草は最初の時点で結構コミカルだった。
前回の「未確認物質護送指令」から今回の話まで続けて見ていくと話の雰囲気がドンドン明るくコミカルになっていっているのに気付く。ニュージェネレーションシリーズで何度か再登場させるにはバロッサ星人は後半のキャラクターの方が都合が良いのは分かるが、それはそれとして前半のキャラクターのままの話も見てみたかったところがある。

 

ゾフィー、ジャック、ウルトラの父のウルトラメダルで斬撃が強化されてM78流・竜巻閃光斬が撃てるようになる。
斬撃強化ならゾフィーよりエースの方が合っているかなと思った。

 

バロッサ星人は一度に卵を一万個産むらしい。
ひょっとしたら女性が生まれる確率が低いのかもしれないが、それでも数世代経ったらとんでもない数になりそう……。

 

自分を助けてくれた仮面の宇宙人様の映像を食い入るように見るユカ。そこで出てきた言葉が「解剖したい……!」。
そ、それが彼女の愛情表現なのか?
半世紀以上の歴史を誇るウルトラシリーズでもトップクラスにヤベーキャラが誕生した瞬間であった。

 

ウルトラシリーズでは人間ではない存在が正体を隠している理由は色々あるが、今回の話のせいで『Z』でハルキやジャグラーが正体を隠している理由が「正体が判明したらユカに解剖されちゃうから」と言う雰囲気になったのが面白いw

 

 

 

 

「バロッサ星人」
ウルトラマンゼット&ウルトラマンゼロ ボイスドラマ』第10回
脚本 足木淳一郎
CG 渋谷怜央加
編集 坂口俊昭

 

今回の話の前日談。
一方でゼロが段々とゼットの事を受け入れて来ている事が分かる回。