帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「四次元狂騒曲」

「四次元狂騒曲」
ウルトラマンZ』第14話
2020年9月26日放送(第14話)
脚本 吹原幸太
監督 田口清隆

 

四次元怪獣ブルトン
身長 60m
体重 6万t
セレブロが状況を次のステージに進める為に赤と青の隕石を融合させてストレイジの基地に出現させた。
展開される四次元空間ではその場の人間の深層心理が大きな影響を及ぼす事になり、意志が強ければ過去に行く事も可能となる。
ガンマフューチャーと超能力合戦を繰り広げた後、ベータスマッシュの力業で形勢逆転され、最後はアルファエッジのM78流・竜巻閃光斬で真っ二つにされて倒された。

 

物語
ストレイジでグルジオライデン撃破の祝勝会が行われる中、セレブロブルトンを出現させる。
ブルトンの能力で時空間が歪む中、ハルキは……。

 

感想
今回からオープニング曲が2番に変わり、エンディング曲がゼットの声を担当している畠中祐さんの『Promise for the future』に変わっている。
オープニング曲の「最後に立ちはだかる相手は誰だ?」と言う歌詞がセレブロジャグラーヴィランが二人いてどちらが最後の敵になるのか分からない状況とマッチしている。

 

キングジョーストレイジカスタムが導入された代わりにセブンガーは退役して博物館で展示される事になる。
ヒーロー作品では新フォームや新アイテムや新キャラクターが出る代わりにそれまで出ていたフォームやアイテムやキャラクターが使われなくなる事がある。寂しいが状況や時代の変化を感じるので物語が新たな段階に進んだ事を示すのに効果的でもある。

 

キングジョーストレイジカスタムがグルジオライデンを撃破した事で特空機を取り巻く状況が大きく変わり、祝勝会が開かれる事になる。グルジオライデンの事情を悲しむのではなく自分達の戦力が怪獣を撃破した事を喜ぶのが整備班を取り上げた『Z』らしい。
整備班達がワイワイ楽しくやっているのを見ると『機動警察パトレイバー』のアニメ版を思い出す。

 

バコさんの「マグロ、ご賞味ください」は渡哲也さんのドラマ『マグロ』のパロディー。
今回のバコさんはマジックを披露したりと妙にはしゃいでいた。実は特空機の活躍にめちゃくちゃ喜んでいたのかな。

 

マグロが印象に残る回であるが実はコロナ対策で撮影ではマグロは食べられなかったらしい。

 

遂にセレブロジャグラーの魔人態が直接対面する。
ジャグラーにとってセレブロの計画が進むのは自分の計画が進む事でもあるのだが、それよりもストレイジでの打ち上げを優先した事で、ジャグラーが本人も自覚していないところで意識が変わってきている事が分かる。

 

ブルトンの能力で時空間が歪む。今回は人間の意思がブルトンの能力に影響を及ぼすとなっていて、そこから「ハルキの行きたい場所」で「父親が生きていた頃」に繋がるのが見事であった。
ハルキの父親のエピソードがあった「守るべきもの」からハルキの悩みが始まっていて、今回のブルトンの能力で過去に行く事も出来ると何度も描写されていながら、実際にハルキが過去に行くまでこの展開を予想できなかった。

 

ハルキと父親の場面が実に素晴らしかった。
「いきなり未来から大人になった息子がやってくる」と言う唐突すぎるシチュエーションで父親がハルキの正体に気付く論理的な理由が無いのだが、実際に見ると父親がハルキに気付く流れに不自然さが無かった。この難しいシチュエーションを成立させた脚本・演出・演技が本当に見事であった。
今回の話を見た後に「守るべきもの」での父親の場面を見ると初見ではちょっと不思議に思った場面がちゃんと納得がいくようになっている。

 

ガンマフューチャーとブルトンの超能力対決が面白い。
技術の進歩でこういう描写は昔より今の方が色々と出来るようになったと思う。

 

ベータスマッシュがブルトンのアンテナを引き抜いた時の「とったどー!」はTV番組『いきなり! 黄金伝説』のコーナー「よゐこ無人島0円生活」でのよゐこ濱口さんの決め台詞が元ネタ。

 

父親との会話でハルキは「自分の手が届く範囲で守りたい人を全力で守る! それで傷付けてしまったものは絶対に忘れない! この胸に刻み込んでいく!」と言う答えを出した。
守るべきもの」からの話はここで一段落となるが、この辺りの決着が妥当だと思う。もしここで「人間の開発によってゴモラレッドキングは街中に現れて倒される事になってしまった」と言う「怪獣出現の理由」にまで話を広げてしまうと『ティガ』の「うたかたの…」のように「怪獣が出ないように人間の生き方そのものを変えるのか?」と言う話になってウルトラシリーズでは扱いきれなくなってしまう。(実際、『ティガ』でも怪獣が現れる原因については「うたかたの…」以上に掘り下げるのは難しかった)
今回の話はゴモラレッドキングが人間に倒される事になった理由についてはあまり触れないようにして「ヒーローが守れる範囲」に話を絞った。「今のハルキやゼットでは人間は救えるがゴモラレッドキングまでは救えなかった」。この「守れる範囲」は人によって違っていて、例えば「コスモスだとフルムーンレクトや鏑矢諸島があるのでゴルメデやスピットルまで救える」となる。又、上の方で「ウルトラシリーズで「怪獣出現の理由」にまで話を広げると扱いきれなくなる」と書いたが、それも世論を作れる人なら「ガゾートが出現しないように電磁波関係を見直そうと世間を動かしてクリッターまで救う事が出来た」とする事も出来る。ウルトラシリーズでヒーロー以外の人間が主人公になるのは難しいが、こういう事を考えると「政治家から見た怪獣事件」とかも見てみたくなる。

 

 

 

 

「スパークドールズ劇場Z」
ウルトラマンゼット&ウルトラマンゼロ ボイスドラマ』第14回
脚本 足木淳一郎
CG 渋谷怜央加
編集 坂口俊昭

 

ブラックキング「ここは「列伝時空」と言うてなぁ、まぁ、ちょっとしたバラエティ空間だと思ってくれればええわ」、
サンダーダランビア「この時空だとある程度メタな発言とかも許されすんス」、
ゼロ「あぁ! なんか懐かしいと思ったらここ「列伝時空」か」。
まさかの「スパークドールズ劇場」復活!
そして列伝シリーズやクロニクルシリーズは「列伝時空」で展開されていた事が判明する!
いや、まさか令和の時代にスパークドールズ劇場が再び取り上げられるなんて予想外だったし、(ゼットが見た夢なのでどこまで真実かは不明だが)列伝シリーズやクロニクルシリーズの新撮部分が「列伝時空」としてウルトラ世界の中に存在すると説明されるのも予想外であった。
『Z』のボイスドラマは『タイガ』の時に比べてかなり緩く作られているが、そのおかげで普段は取り上げにくいものも取り上げられるところがある。

 

ボケ役のイメージが強いゼットだが喜怒哀楽がハッキリしているからか意外とツッコミ役も合うんだよね。

 

列伝シリーズやクロニクルシリーズの新撮部分をツブイマで配信してほしいなぁと改めて思った話だった。

 


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