帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怒る饗宴」

「怒る饗宴」
ウルトラマントリガー』第17話
2021年11月13日放送(第17話)
脚本 植竹須美男
監督 越知靖

 

新宇宙伝説魔獣メツオロチ
身長 66m
体重 6万6千t
背中の突起物から展開したフィールドであらゆるエネルギーを吸収し、角で増幅させてから頭上に発生されたエネルギーの渦から撃ち返す。
ナースデッセイ号から放たれたガーゴルゴンの石化光線を受けて一時的に活動を停止させる。その後、再び活動を開始するがケンゴが操縦するGUTSファルコンで角を破壊され、最後はグリッタートリガーエタニティのグリッターブレードとサークルアームズの二刀流で倒された。

 

物語
トリガーとトリガーダークを倒したメツオロチに対してGUTS-SELECTはガーゴルゴンの怪獣キーを使用する。
メツオロチの活動を一時停止させた代わりにナースデッセイ号が機能停止に陥ったGUTS-SELECTは旧式の兵器を揃えて決戦に挑む。

 

感想
あらゆるエネルギーを吸収するメツオロチだったが、タツミ隊長はその特性を生かしてガーゴルゴンの怪獣キーの力で発射した石化光線をメツオロチに吸収させて石化させる事に成功する。
結果としてナースデッセイ号の機能が停止してしまうが十数時間に亘ってメツオロチの活動を停止させられたのは大きかった。

 

ナースデッセイ号を使えなくなったGUTS-SELECTとTPUは旧式の兵器を揃えてメツオロチとの決戦に挑む。
この頃のウルトラシリーズはロボットや無人機を使うようになったので地上部隊と怪獣の決戦は珍しくなっていた。そのレア感が今回の決戦を盛り上げる事となっている。

 

ケンゴやユナがアサルトライフルを持っている姿は見慣れていなくて違和感を覚える。逆にタツミ隊長は滅茶苦茶似合っている。さすがは駆除班!

 

人々が逃げる中、その流れとは逆にメツオロチに向かって歩いて行くイグニス。だが、そこにヒーロー的な格好良さは無く、どんよりとした空に過去に苛まれる顔と破滅に向かって突き進んでいる感じがある。だが、その追いつめられている感が他には無い盛り上がりを生み出している。

 

いつもクールでハイテンションなヒマリだが今回は難易度が非常に高いミッションだからか不安と緊張に包まれていた。
言動はいつもと同じだが精神的にはいつもと全く違うヒマリの姿を春川芽生さんが見事に演じている。

 

メツオロチの自分の周囲に爆発を起こして相手を攻撃するのはあまり見ないパターンで思わず「おおっ!?」となった。
攻撃範囲の広さを考えたらかなり厄介な攻撃だ。

 

ヒュドラムへの復讐かリシュリア星人と同じように逃げ惑う地球人を救いたかったのか、どちらにせよ、イグニスにGUTS-SELECTの作戦を邪魔する意思は無かったはずだが結果的に作戦を妨害させてしまったのが辛い。

 

遠隔操縦のリンクが切れたGUTSファルコンが近くに墜落したのを見たケンゴはメンテナンスブースに入ってGUTSファルコンを直接操縦する。
安全面を考えたら無人で遠隔操縦の方が良いのだが、やはり直接乗って怪獣と対峙した方が戦いは盛り上がると言う事が改めて分かった場面であった。

 

本来は遠隔操縦する機体のメンテナンスブースに入って直接操縦すると言う展開は『ゴジラ×メカゴジラ』『ゴジラモスラメカゴジラ 東京SOS』の3式機龍を思い出す。因みにシズマ会長役の宅麻伸さんは『ゴジラ×メカゴジラ』で機龍のプロジェクトに関わる湯原徳光を演じている。

 

地上部隊や有人戦闘機と言ったこれまでの作品では普通にあった事が『トリガー』の初期設定では外されているが、一度外した事で中盤でそれらをやった時に昔は普通にあった事でもレア感が出て非常に盛り上がる事となった。
今回の話に限らず『トリガー』は限られた条件の中で上手くやりくりして盛り上げどころを作っている感じがする。

 

ダメージを回復させたカルミラだが回復でじっとしている間にケンゴに対する怒り憎しみを増大させてしまったらしく、これまであった余裕がすっかり無くなってしまった。

 

トリガーダークはトリガーとカルミラの戦いで吹き飛ばされたサークルアームズを手にすると機動力のホロボロスと攻撃力のザイゴーグの怪獣キーを同時に使ったインパクトソードフィニッシュでカルミラと相打ちになる。
この自分の身体の心配を一切していない特攻気味な攻撃は今のイグニスの精神状態が表れていると言える。もしここで完全に力尽きてしまったらヒュドラムを倒す事が出来なくなってしまうのに今のイグニスはその判断すら出来なくなっていた。

 

カルミラはイグニスが変身するトリガーダークを「偽物」と評する。
イグニスはトリガーダークの力を手に入れたが意思はそこには無かったと言う感じかな。
ひょっとしたらトリガーダークに残っていた闇の意思は「三千万年の奇跡」でケンゴが変身するトリガーによって完全に消滅してしまったのかもしれない。そう考えるとカルミラが精神が不安定になってケンゴに執着するようになったのも理解できる。

 

ナースデッセイ号とGUTSファルコンを失っても銃を構えてカルミラに立ち向かうGUTS-SELECTを見てダーゴンは「これが人の力だ。甘く見たら痛い目を見るのは我々の方だ」として冷静さを失っていたカルミラを説得して一時退却させる。
戦力的にはケンゴもイグニスもすぐに変身は出来ない状態だっただろうからカルミラとダーゴンが力押ししたら勝てる可能性は高かったと思われるが、それでも、ひょっとしたら……と言う可能性を人間には感じる。おそらくダーゴンもそれを警戒したのであろう。

 

「あぁあ~……。上手くいくと思ったんだけどなぁ……」。
序盤から布石を打っていって遂に実現したイグニスの変身であったが結果は散々なものであった。
基本的にヒーロー作品の主人公は失敗してもその話かその次の話辺りで成功するものなのだが、現実はそのように全てがすぐに成功するとは限らない。第3話でケンゴの変身を見てから今回の話まで約1クールかけて準備を整えたイグニスの変身が上手くいかなかったのは主人公では描けない現実の難しさを感じるものであった。

 

 

「新型の全貌」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第17話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

ナースデッセイ号の玩具紹介編ではない……わけないよねw
でも、ワイルド星人のナースとGUTS-SELECTのナースデッセイ号の違いが色々説明されていて本編の補完になっている話。

 

ナースデッセイ号のバトルモードにアキトが求める性能を搭載するにはかなりのエネルギーが必要で、それはこの地球上どこを探しても捻出できなくて宇宙人のマルゥルでも解決方法が見出せないほどであった。
これだから社会を知らない高校生は……と言いたいところだが、この時既にアキトは石版の分析をしていて自分がトリガーに変身する予定だったので、ひょっとしたらトリガーの力を使う予定だったのかな?(ケンゴがトリガーに変身するようになって数ヶ月経ってもバトルモードが使えなかったので実際はトリガーの力は使えなかったようだが)