帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ラストゲーム」

ラストゲーム
ウルトラマントリガー』第22話
2021年12月25日放送(第22話)
脚本 足木淳一郎
監督 辻本貴則

 

ラクリ武者メカムサシン
身長 50m
体重 5万t
イグニスが自分を追うGUTS-SELECTに向けて仕掛けていた罠。ヘンテコな日本語を話す。
巨大和傘ジャノメガッサーの先端から火球を発し、ムサシンソードでフジヤマ斬波を打ち、髪を振り回して放つオボロ突きでグリッタートリガーエタニティを倒し、ヒトダマ大車輪でナースデッセイ号を捕らえる。
最後はウキヨ防壁でマキシマナースキャノンを防いでいる隙にグリッタートリガーエタニティにムサシンソードで腕を切り落とされ、防げなくなったマキシマナースキャノンで倒された。
名前の由来は「メカ」と「宮本武蔵」かな。
『オーブ』の「私の中の鬼」の戀鬼(紅蓮騎)の着ぐるみを改造している。

 

物語
ユナをさらったイグニスはGUTS-SELECTに最後の賭けラストゲームを宣告する。
一方、ヒュドラムは遂にカルミラとダーゴンを捕らえて自分が闇の王になる事を宣言する。

 

感想
エタニティコアの力を使ってリシュリア星を復活させようとするイグニス。
ユナがさらわれた事でアキトはイグニスを敵と認識して強い態度に出るがケンゴの「故郷や大切な人を失う事を自分に置き換えて考えてみたら……」と言う話で両親を失った自分の境遇を思い出す。
序盤からユナを巡ってアキトとイグニスの対立があって、中盤からは同じトリガーの力を得ようとした者同士と言う関係が出来て、最終的にイグニスと同じく大切な人を奪われた経験があるのはGUTS-SELECTではアキトだけだったとしたのが上手い。ダーゴンとの関係が分かりやすいアキトであるがこうして見ると全編を通してイグニスとの関係も色々描かれていた。

 

GUTS-SELECTへの恩もあったのでイグニスはすぐにエタニティコアの力を得るのではなくGUTS-SELECTが自分を止められるかどうか賭けをする。
その後のユナへの態度を見ても分かるが本当はイグニスはユナ達を犠牲にする事は出来なかったと思われる。リシュリアの仲間も大事だがGUTS-SELECTも大事な仲間となってしまっていたのだろう。

 

そのイグニスが自分を追ってくるであろうGUTS-SELECTに向けて用意していたのがカラクリ武者のメカムサシン!
いきなり巨大な和傘が出てくるのに驚き、その後も喋る巨大な日本人形風の怪獣と言うウルトラシリーズでも珍しいタイプの敵に驚き、しかも、あのグリッタートリガーエタニティを真正面から戦って圧倒しマキシマナースキャノンを簡単に防いでしまう強さに驚いた。これ、そのままヒュドラムにぶつけたら勝てたのではと思えるレベルの強さであった。(ただ、ヒュドラムは「一時間の悪魔」でギガデロスを改造して自分の手駒にした事があるのでメカムサシンもヒュドラムの手に落ちてしまう恐れはあるが)

 

今回登場したメカムサシンは「イグニスが仕掛けた罠」以上の説明が無いキャラクターなのだが、あまりにもインパクトが凄すぎて同時進行されていたイグニスとヒュドラムの因縁の対決が最初に見た時はちょっと頭に入らなかったほどだった。
いや、もう、ここまで訳が分からないのに印象に残るウルトラ怪獣もそうはいないと思う。

 

今回のケンゴの変身はポーズが格好良い上に流れもスムーズで数ある変身シーンの中でも上位に入る完成度を誇る。

 

遂にヒュドラムはカルミラとダーゴンを捕らえて自分一人がエタニティコアの力を得て闇の王になると宣言する。
もう関係が修復不可能な感じだったのだがそれでもヒュドラムをまだ仲間として対応してしまったのがカルミラとダーゴンのミスであった。
今回はヒュドラムもイグニスも仲間達と距離を取って、その仲間達は裏切られたとしてヒュドラムとイグニスに対して厳しい発言をするがそれでもまだ仲間として見ていて、それに対してイグニスは何だかんだ言ってもGUTS-SELECTとの絆は切れなかったがヒュドラムは躊躇無くカルミラとダーゴンとの関係を切ってしまった。
その後、ユナを見捨てられなかったイグニスを追いつめてヒュドラムが「人付き合いと言うのも考えものですねぇ! 百年の執念すらも鈍らせてしまう!」と煽るが、最終的にイグニスはアキトやケンゴやGUTS-SELECTが援護に来て、ケンゴとユナから託された光のトリガーの力でヒュドラムを倒したのに対し、ヒュドラムは独りで戦って負けて最後はかつて仲間だったカルミラに吸収されてしまった。ヒュドラムが言っていた「人付き合いを考える」が結局は自分に返って来たのだった。

 

謎だらけの存在であるメカムサシンであるが『マルッとナビ』では「日本かぶれの宇宙人が作ったカラクリ武者」と言う設定が明かされている。
ヒュドラムに殺されたリシュリア星人を復活させる為にエタニティコアの力を使ったら地球がどうなるか分からないと言う状況でイグニスが自分の賭けの勝ち負けを地球の文化にかぶれた宇宙人が作ったカラクリ武者に託してみたとか結局はユナ達地球人を見捨てる事が出来なかったイグニスが地球の文化にかぶれた宇宙人が作ったカラクリ武者の刀を使ってヒュドラムと戦う事になるとか言う展開はよく出来ていたと思う。
まぁ、前振り無しにいきなり今回の話に出てきたメカムサシンがそんな大事な役を担うのは問題あるような気がするが……。『トリガー』って大体の展開に布石や前振りがちゃんとあるのだがメカムサシンだけは布石も前振りも無くいきなり出てきたんだよなぁ……。

 

メカムサシンは肩書きが「カラクリ武者」なので一応はキングジョーやデスフェイサーやギャラクトロンと同じロボット怪獣なのだが並べると違和感が凄い……。だからと言って「物の怪」としてエンマーゴや宿那鬼や戀鬼と言った妖怪系の怪獣と並べても名前の「メカ」で違和感が出てしまう……。う~ん……。

 

アキト達の応援を受けて力を発揮し、敵の攻撃から身を挺して仲間を守るイグニスの姿は完全にヒーローであった。
ヒュドラム「お友達の声援で強くなるぅ!? ざけんじゃねぇよ!!」、
イグニス「リシュリアの時のような気持ちになるのはもうごめんだ。俺はもう二度と仲間を傷付けさせない!!」。
この二人のやりとりは完全ヒールのヒュドラムにそのヒールに負けないヒーローのイグニスと言う構図がバッチリとハマっていて燃える展開となった。「事情を抱えている敵」と言うのも好きだがヒュドラムのような「倒してスッキリする敵」もヒーロー作品には必要だと言う事が改めて分かる。
因みに今回の話が放送されたのは『ウルトラヒーローズEXPO2022 ニューイヤーフェスティバル』のスタート日であった。その日に声援で強くなるイグニスとそれに怒るヒュドラムと言う構図が面白い。

 

100年前にリシュリア星人を喰ってしまったヒュドラムが最後はカルミラに喰われて死ぬと言うのはまさに因果応報だよなぁと感じた。

 

今回の話を見る前はメカムサシンは和風の怪獣と言う事で『ティガ』の「よみがえる鬼神」の宿那鬼みたいなキャラクターを想像したが見終わった後は何かまぁ色々な意味で衝撃過ぎて宿那鬼との共通点とか一切頭に思い浮かんでこなくなってしまった……。
因みにニュージェネレーションシリーズは12月に放送が終了していたのだが『トリガー』は本編の間に特別総集編を挟んで翌年の1月に放送が終了する形になった。その結果、ニュージェネレーションシリーズのその年の最後に登場した怪獣は、
2013年…ルギエル
2014年…ビクトルギエル
2015年…グリーザ
2016年…マガタノオロチ
2017年…ベリアルアトロシアス
2018年…ルーゴサイト
2019年…ウーラー
2020年…デストルドス
2021年…メカムサシン
2022年…マザースフィアザウルス
2023年…ヴァラロン
となった。メカムサシンの場違い感が凄いが実力的には他と遜色が無かったりするのがまた凄い。ホント、こいつは一体何だったんだ?!

 

 

「司令室」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第22話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

『トリガー』は『超全集』が発売されなかったのでここで「THE ART OF ウルトラマントリガー」を……と言うわけではないだろうがナースデッセイ号の司令室のデザインが見られる。

 

今回の話で司令室のレイアウトも決定。
こうして見ると序盤の頃は「これ、完成まで話が進むのか?」とちょっと心配だったのだがちゃんと話が進んでいるなぁ。