「ジャンブル・ロック」
『ウルトラマンデッカー』第13話
2022年10月8日放送(第13話)
脚本 鶴田幸伸
監督 内田直之
物語
ナースデッセイ号のネオマキシマエンジンのオーバーホールの為に初代GUTS-SELECTのマルゥルがやって来る。
異常を起こしたナースデッセイ号の修理に取りかかるマルゥルはカナタと話をする。
感想
恒例のTVシリーズ中盤での総集編。
『トリガー』は本編に組み込まれる総集編はマルゥルが、本編とは別の特別総集編はデバンが担当していたが、『デッカー』では両方ともマルゥルが中心人物となっていて、特別総集編では『GUTS-SELECT交流記』と同じくホッタも登場している。
『Z』や『トリガー』と違って『デッカー』の特別総集編は前後に放送された本編との繋がりが強く第5.5話、第17.5話、第23.5話と言える内容になっている。クロニクル系や特別総集編はアーカイブに残されないが段々と本編との繋がりが強くなっているので本編と同じように見れるようにしてほしい。
ヒーロー作品では変身アイテムを普段はどこに着けておくのかと言う問題があって、『Z』では「地球人には見えない物質で作られている」、『デッカー』では「バンソーコー入れ」と言う設定が追加された。それでも地球人が見付ける展開があるのでゼットホルダー以外は地球人にも見える設定のままだったり、あんな派手なデザインのバンソーコー入れが許される職場なのだろうかとツッコミが入ったりと色々問題は残っているが。
マルゥルが取り出した旧型のパソコンを見たハネジローは「随分レトロなのを使っていますね」と尋ねる。それに対するマルゥルの答えは「ここの共同開発者のこだわり」であった。この「共同開発者」とはホッタさんの事。マルゥルのホッタさんへのリスペクトが見られて嬉しい。
地球がスフィアのバリアーに包まれたがそれが日常になってしまった事にマルゥルは「俺様達は確実にスフィアの腹の中にいるんだぜ。その普通はもう普通じゃねぇのよ」と釘を刺す。この「普通じゃないのが普通になった」はコロナ禍にも通じる話である。
『トリガー』と『デッカー』は製作された年は一年しか違っていないのにケンゴもユナもホッタもマルゥルもちゃんと数年の経過が感じられるようになっているのが素晴らしい。
『トリガー』の時は子供っぽさが強かったマルゥルも『デッカー』ではスフィアのバリアーに包まれた現状を注意したりカナタの油断を突いて正体を聞き出したりと立派な先輩になっていた。
カナタの「新しい力を手に入れていると言うよりデッカーの意志に導かれている感じがする」はこの後の話の伏線となる。
「ウルトラマンに変身している人間を一度知ったら後は似た行動パターンの人を探したら他の変身者も見付けられる」「一度変身者だと気付くと結構バレバレな行動をしている事が分かる」と言うのは劇中でハッキリと言及される事は無いがこれまでの作品でウルトラマンの変身者を知った人達も同じようなものだったのだろうなぁ。
今回のサブタイトルである「ジャンブル・ロック」だが内田監督によると「ジャンブル(jumble)」が「寄せ集め」で「ロック(rock)」が「音楽」で「寄せ集めの原石達が掻き鳴らすロック」と言う意味らしい。『デッカー』の青春ドラマを音楽と結び付ける発想が上手い。