帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「過去よりの調べ」

「過去よりの調べ」
ウルトラマンデッカー』第17話
2022年11月5日放送(第17話)
脚本 継田淳
監督 中川和博

 

古代怪獣ゴメス(S)
身長 40m
体重 4万t
地中からいきなり現れた怪獣。
これまで確認された個体とは大きさが違っていて対怪獣用災害モデル都市であるコミエシティの怪獣迎撃システムを破壊した。
デッカー・ダイナミックタイプの超能力で動きを封じられたところをナースデッセイ号のネオマキシマナースキャノンで倒された。

 

メトロン星人ナイゲル
身長 2m
体重 150kg
感情に流されない判断力を評価されてTPU内部調査局の局長となった人物でムラホシ隊長がアガムスの協力者でないかと疑った。
リュウモンの訴えでムラホシ隊長の疑いが晴れると素直に謝罪した。
ヘビメタが嫌いでクラシック音楽が好みらしい。

 

物語
テラフェイザーとアサカゲ博士の裏切りが本部で問題になってTPU内部調査局からナイゲル局長がやって来る。
アサカゲ博士の協力者ではないかと疑われたムラホシ隊長を救うのは……?

 

感想
マルゥルやペガに見慣れると初代のメトロン星人やペガッサ星人に近いナイゲルやベガが厳つい感じに見えるのが不思議。人間は慣れちゃう生き物なんだなぁと改めて思う。

 

TPUには多くの宇宙人が関わっているのだがイチカはGUTS-SELECTに入隊するまで宇宙人がここまで身近になっていたとは思ってもみなかったらしい。
『トリガー』の「狙われた隊長 ~マルゥル探偵の事件簿~」や『ウルクロD』でマルゥルが特に危険を感じずに外を出歩いていたので『タイガ』のような宇宙人排斥運動は起こっていないようだけれど、それでもTPUがここまで宇宙人を関わらせていた事はまだ公表する段階には至っていないようだ。(公表していたらピット星人のユウコやグレゴール人のグレースとミカはスフィアのバリアーで地球を脱出できなくなった時点でTPUを頼ってきただろうし)

 

宇宙人が身近にいたと言う話を受けてリュウモンが「デッカーも俺達のそばにいるのかもしれない」と言ってカナタの方を見る。驚いたカナタは「デッカーが地球人の姿になっていたら見分けようが無いな」と誤魔化すが、リュウモンはその言葉を受けて「地球人に変身していたら見た目では分からないので怪我の跡とか共通点を見付ければ良い」と言ってカナタの怪我をした腕を見る。
よく考えたらリュウモンはカナタが変身したデッカーと先代デッカーの動きの違いをすぐに見分けたのでカナタとデッカーの動きの共通点を見付ける事は難しくなかったかもしれない。
このカナタを追究する感じのリュウモンはちょっといたずらっぽい雰囲気が出ていて、いつもの真面目で堅物なキャラとのギャップで面白くなっている。

 

地球の防衛組織の局長クラスが正体を明かした宇宙人と言うのはウルトラシリーズでも過去に例が無い。
シズマ会長の上司であったイルマ参謀はかつて地球外生命体交渉計画のリーダーだったのでシズマ会長は宇宙人との交流を積極的に行う考えなのかもしれない。そう考えると『ティガ』『ダイナ』では地球外生命体との交渉はあまり上手くいかなかったが、それをシズマ会長が『トリガー』『デッカー』で果たす事に成功したと言える。

 

宇宙人であるメトロン星人が「地球人のムラホシ隊長は宇宙人に過度に肩入れしている」と疑う構図が面白い。
自分が宇宙人だから宇宙人を積極的に助ける人物を高評価するのではなく、その人物が宇宙人を積極的に助ける理由は何が考えられるのかとあらゆる事態を想定できるからこそ内部調査局の局長と言う地位を任せられたのだろう。

 

今回は『セブン』の「狙われた街」のオマージュはあまり無い回であるが、メトロン星人の話でちゃんと「信頼関係の話」をしている。

 

ゴメスが迫るコミエシティは強い防御力を持つ対怪獣用災害モデル都市で過去のデータを参考にするとゴメス程度の怪獣なら軽く撃破できるとの事。
『デッカー』は『ダイナ』に比べて軍事色が薄い作品かと思いきや怪獣迎撃システムを備えた街を作っていくと言う一般市民の生活を大きく変える構想があった事に驚いた。このまま進めば数年後にはウルトラシリーズに登場した地球の中でも軍事色が強い星になっている可能性がある。

 

『Z』の終盤でストレイジが上層部と衝突したのはセレブロの暗躍があったからだが、今回は上層部が規律や前例と言った組織のルールを重視した事で現場が怪獣事件に対応出来なくなった。
『トリガー』の頃はシズマ会長が現場に顔を出して現場の意見を直接汲み取っていたのだが『デッカー』の頃になると組織が大きくなって融通が利かなくなってきた感じ。
この「大きい組織になると動きや判断が鈍る」と言うのは次作『ブレーザー』でメインテーマの一つに置かれる事となる。

 

リュウモンがGUTS-SELECTに入隊する事を決めたきっかけである10年前の事件の真相が明らかになる。「隊長が前作のあるエピソードの裏側で子供を助けていた」と言うのは『ダイナ』の「あしなが隊長」を思い出す。(因みに今回のゴメスも「あしなが隊長」のゴルザⅡもゴジラをイメージした怪獣となっている)

 

今回の話を見て改めて思ったが、やっぱりヒュドラムはそう簡単に生き返らせてはいけない奴だよなぁ……。

 

エンディングへの入り方がお茶目で良いw

 

今回の話は11月3日の『ゴジラ』公開日に近い放送日だからかゴジラ要素のあるゴメスが登場した。因みに今回の話を担当した中川監督は『ゴジラ・フェス』でのゴジラの新作を手がけている。

 

 

「アスミ カナタの場合」
『GUTS-SELECT交流記 ~帰ってきた特務3課~』第2話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

ホッタさんが尊敬していたアサカゲ博士の裏切りにショックを受けていたり、アサカゲ博士が抜けた事でハネジローを修理できるのが特務3課だけになったり、アサカゲ博士の裏切りが与えた影響が分かる話。

 

ニュージェネレーションシリーズは日常シーンが少なめなのでカナタの実家の煎餅を食べる場面を作るのが難しいところがあったが特務3課だと座布団に座って煎餅を食べる場面が自然に作れた。

 

『ウルトラディメンションナビ』を見るとハネジローのカナタへの当たりが強すぎないかと感じる時があるが今回の話でカナタもハネジローからの当たりの強さを気にしていた事が分かる。