帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「安息 -キュア-」

Episode22 安息 -キュア-」
ウルトラマンネクサス』第22話
2005年3月5日放送(第22話)
脚本 村井さだゆき
監督 根本実樹
特技監督 菊地雄一

 

フィンディッシュタイプビーストクトゥーラ
身長 55m
体重 4万9千t
特殊位相に隠れていて空間の歪みから触手を伸ばして人間を襲う。
今までのビーストと違って都心近くに現れる。
ムンクの『叫び』をモチーフに様々な海洋生物が交じり合ったデザインになっている。
『ガイア』の「雨がやんだら」のマザーディーンツの着ぐるみを改造している。

 

物語
命の危機から脱した姫矢は佐久田の前に姿を現す。
一方、松永管理官は姫矢から得たデータでウルティメイトバニッシャーを完成させる。
そして遂に溝呂木は黙示録を始める為に動き出すのであった。

 

感想
姫矢が意識不明に陥って流石の松永管理官も取り乱すが、吉良沢はビースト振動波の照射を続けて姫矢が変身に使用する固有の振動波にヒットすれば力を甦らせる可能性があると伝え、姫矢はどうにか一命を取り戻す。
この時に姫矢自身ではなくエボルトラスターから振動波が出ていたように見えたが、ネクサスの光は変身者ではなく変身道具に内蔵されていると言う事なのかな。
オーバーレイ・シュトロームのデータは得られたが、力が甦った姫矢が逃げる事も見越していた吉良沢に対して松永管理官は不信を強めていく。

 

ダメージの蓄積でもう変身には耐えられないと言う吉良沢の忠告に姫矢は命を捨てるつもりはないがやらなければいけない時もあると返す。
そうは言っても本当に姫矢が命を捨てようとしていなかったのかは疑問が付くところ。
ダメージの蓄積で変身が厳しくなっていくのは『セブン』や『コスモス』等でも見られた展開。

 

世界UFO研究会の怪しさ大爆発な雰囲気が好き。こういう一筋縄ではいかない大人が出てくると物語が面白くなる。
まさかここで異生獣スペースビーストが初めて確認されたのは約20年前のアメリコロラド州だと具体的な設定が明かされるとは思わなかった。
この話で新聞記者で真実を追い求める根来の限界と虚実綯い交ぜのネットを駆使する世界UFO研究会の可能性が描かれていてネットが力を持つ時代が始まってきた事を感じる。

 

ところでビーストと世界UFO研究会が見せた世界各地のUMAの違いって何だろうか?
ぶっちゃけ、ビーストがいるのなら首長恐竜や河童がいてもおかしくないと思うのだが……。(『セブン』や『平成セブン』で河童型の宇宙人とか恐竜が出た事があるし)

 

ハイパーストライクチェスター登場!
ハイパーストライクチェスターはオーバーレイ・シュトロームと同等の威力を持つウルティメイトバニッシャーを搭載するなどウルトラシリーズでもトップクラスの戦力を誇る。
こういうメカの全合体はウルトラシリーズよりスーパー戦隊シリーズに近いかな。スーパー戦隊の全合体もだが、こういうこれまでの積み重ねがあってこその展開は最終決戦に向けて盛り上がる。
そう言えばナイトレイダーの新装備はこれで最後だったが、放送期間が短縮されなかったら後半には更なる戦力補強があったのかな?

 

姫矢を捕らえてウルティメイトバニッシャーのデータを得たと言う松永管理官に詰め寄る和倉隊長。
姫矢と言う人間には何度も助けられている事は松永管理官も知っているはずと問う和倉隊長に向かって松永管理官は自分は和倉隊長と同じく職務に忠実なだけだと返す。
和倉隊長も松永管理官も「あなたも自分と同じはずだ」と言っていながら二人の意見が全く異なっているのが面白い。

 

佐久田の部屋は姫矢にとって安息の場所。ビーストを倒す為に部屋を出ようとする姫矢に向かって佐久田は安らぎの場所が必要だと訴える。それに対して姫矢は自分は多くの人を救えなくて中には自分が関わったばかりに犠牲になった人もいると答える。
「もう誰一人、傷付けたくないんです、あなたも……」と言う姫矢の言葉は「迷路 -ラビリンス-」の孤門の言葉を思い出すがちょっと違うところもある。孤門は誰も傷付けない為にもう逃げない事を誓ったが、姫矢は誰も傷付けない為に佐久田や根来と言った親しい人と距離を取った。つまり、佐久田達から逃げたと言える。
行こうとする姫矢を追いかける佐久田の姿はセラを思い出す。セラは戦地まで追いかけて来て命を落としたが佐久田は追いかけるのを止めてその場に留まろうとした。しかし、それを無理矢理に戦地に連れて行く悪魔がいた。

 

姫矢がいつもの公園に瞬間移動したのは、とっさに頭に浮かんだ場所だったから。
佐久田や根来との別れや再会と姫矢はこの公園で人生の転機を迎える事が多かった。

 

今回はラストの変身シーン以外にネクサスの出番が無い。その為かオーバーレイ・シュトロームでゴルゴレムを倒す場面が劇中で3回も挿入されている。
しかし、全く同じ場面を一つの話で3回も流すのはさすがに問題だと思う。ネクサスの出番を過去の映像を使って補うのなら場面の選出はもっと考えてほしかった。
『ネクサス』の問題点として何度も同じ場面が繰り返されるところがある。セラが死ぬ瞬間やリコがファウストに変身する場面を何度見た事か……。