帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「憐 -ザ・サード-」

Episode26 憐 -ザ・サード-」
ウルトラマンネクサス』第26話
2005年4月2日放送(第26話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 小中和哉

 

クラスティシアンタイプビーストグランテラ
身長 53m
体重 4万3千t
恐ろしく硬い体表でクロムチェスターの攻撃も受け付けない。
両腕の間にエネルギー球体を発生させて撃ち出す。

 

物語
遊園地で住み込みのアルバイトをしている少年・千樹憐。
明るい普通の少年に見える憐であったが、時折、只ならぬ何かを垣間見せる。
そんな憐の前にネクサスの光が……。

 

感想
憐編スタート。
姫矢編では「過去」が一つの鍵となっていたが憐編では逆に「未来」が鍵となっている。そしてこの「過去」と「未来」を経て最終回で孤門は「今・現在」を守る為に変身する。

 

doaの『青い果実』に合わせた新しいオープニング映像は憐のキャラクターを表すかのように明るくて爽やかでスピード感溢れるものとなっている。
自分の技で吹っ飛ぶネクサスや無意味にアクロバティックしているチェスターシリーズ等、姫矢編のオープニングに比べて遊びが見られる。
そして驚きなのがファウストメフィストが登場している事。昭和のウルトラシリーズで怪獣のシルエットが出る事はあったが、この頃のウルトラシリーズのオープニングに敵キャラクターが登場するのは非常に珍しかった。
他にも細かいところに色々な情報が詰められていて何度も見返したくなるものとなっている。
この新しいオープニングはウルトラシリーズと言うよりアニメっぽい感じになっていて新時代のウルトラ作品を思わせるものとなっていた。次作『マックス』からは従来のウルトラシリーズに近いものに戻ったが、『ネクサス』から約10年後に始まるニュージェネレーションシリーズでは『ネクサス』のようなアニメ的な演出を取り入れたオープニングが再び作られるようになった。

 

姫矢編ではおそらく意図的に日常描写を排除して息詰まる緊迫感を出していたが(唯一の日常パートであるリコの場面も「人形 -マリオネット-」でぶっ壊す為の布石だったし)、憐編では日常パートの比重が大きくなっている。
姫矢編では戦いを通じて登場人物の描写をして孤門の成長を描いていったのに対し、憐編では日常描写の積み重ねで登場人物の紹介やそれぞれの繋がりを描いていっている。
姫矢編と憐編ではあえて作風が変えられていてメインライターも長谷川さんから太田さんにバトンタッチされている。テコ入れ等の路線変更ではなく最初から作風を途中でガラッと変える作りはウルトラシリーズでは珍しくて刺激的だった。

 

怪しさ大爆発な監視者。何故にあんな目立つ格好だったんだろう?
演じている北岡久貴さんは『超星神グランセイザー』でマントをバサッバサッと翻しても何故か尾行相手にバレないインパクター・ラディアを演じていたが今回も尾行に向かなさすぎる格好であった。

 

怪物バンニップと一つ目の鳥の噂の真相はビーストの捕食とMPの記憶消去であった。
今回は一般人の日常から物語を始めているのでビースト事件が世間ではどのように扱われているのかが語られた。放送期間が短縮された事で憐編は早い段階でクライマックスに入ってしまったが、こういうビースト事件は一般の人にどのように伝わっているのかと言う話はもう少し色々見てみたかった。

 

地面に触れる事で記憶を読み取る憐。
まだネクサスの光を得ていない状態なので、このサイコメトリーはプロメテの子としての能力だと考えられる。

 

憐が読み取った記憶の中に触手のみのビーストが登場している。
時系列を考えると姫矢が行方不明になっているので、このビーストはナイトレイダーのみで倒している事になるのかな。

 

ネクサスに導かれてビースト事件の現場にやって来た憐がサイコメトリーの能力で瑞生を見て、そんな憐をMPの仕事で現場にやって来ていた瑞生が見ていると言う普通ではありえない出会い方が印象的だった。

 

ネクサスの遺跡にやって来た憐。
姫矢はセラの魂に導かれたが、なんと憐は気合いを入れると一気に走り出してネクサスに会いに行った。
ウルトラマンが人間の所にやって来たり人間を自分の所に招いたりする事が多い中、人間の方からウルトラマンに会いに行くのは斬新だった。
自分の事情を分かって呼んだネクサスに向かって「上等じゃん!」と言い放つなど憐のキャラクターは新世代の誕生を感じた。

 

今回は前回の「予兆 -プロフェシー-」を違う面から追った展開になっていて前回最後のジュネッスブルー登場の謎が解ける作りとなっている。
こういう同じ時間の話を登場人物ごとに分けて描くと言うのは連続モノだから出来るものと言える。

 

前回と今回のナイトレイダーの場面は同じ映像を使い回しているかと思いきや実はコーヒーを淹れる人物が前回は西条副隊長で今回は平木隊員となっている。

 

今回からエンディング曲が愛内里菜さんの『赤く熱い鼓動』に変わっている。
オープニング曲の『青い果実』と合わせて『ネクサス』のタイトル画面に登場する「赤と青」が揃う事となった。

 

冒頭に青い自転車で颯爽と登場した憐が最後はジュネッスブルーで颯爽とキックを決める!
次回予告ではこの二つの場面を続けて流していて憐=ジュネッスブルーの若さと勢いをより強くアピールしている。