帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「決戦 -フェアウェル-」

Episode36 決戦 -フェアウェル-」
ウルトラマンネクサス』第36話
2005年6月18日放送(第36話)
脚本 太田愛
監督 阿部雄一
特技監督 菊地雄一

 

フィンディッシュタイプビーストイズマエル
身長 60m
体重 6万t
ザ・ワンがザ・ネクストに倒された後、その核となる細胞が犬に取り憑いてガルベロスに成長し、分散した他のザ・ワンの細胞は様々なビーストとなって進化してさらなる力を持つようになった。それらがザ・ワンへと戻ろうとアンノウンハンドの闇の中でガルベロスを中心に再び結集して誕生した複合型ビースト。
全ての口から強力熱線を吐く他、ラフレイアの花粉、メガフラシの電撃、ゴルゴレムの口吻、ノスフェルの鉤爪と結集したビーストの能力を駆使してオールレンジ攻撃を展開する。
クロムチェスターを全機撃墜してネクサスを追い詰めるが最後は憐渾身のオーバーアローレイ・シュトロームを受けて倒された。
各部に付いているビーストの頭部はそれぞれの着ぐるみのものを使っている。

 

物語
死を感じた憐はメモレイサーで瑞生の記憶を消去しようとするが失敗する。瑞生の激しい感情を受けた憐は自分が間違っていた事を知る。
そして遂に最強のビースト・イズマエルが誕生した! 千樹憐最後の戦い! 果たして憐の命は……!?

 

感想
憐の事が好きだとストレートに告白する瑞生。しかし、自分の死を感じる憐はそんな瑞生の気持ちを受け止める事は出来ないとしてメモレイサーで瑞生の記憶を処理しようとするが失敗する。
「一緒にいた時間がどれだけ大事か、どうして分からないの!」。
瑞生の心の叫びを聞いて憐は自分が今まで捨てて来たものの大切さを知る。
憐がMPとして働く瑞生の姿を見て、瑞生のMPの仕事として出会った二人。メモレイサーから始まった二人の物語はメモレイサーを否定して一つの決着を迎えるのであった。

 

そんな憐と瑞生の様子を見ていた孤門は「僕には何もしてやれない。見ている事しか出来ないのは……悔しいんです。代わってやれるものなら……」と悔しさを滲ませる。
おそらくそれは姫矢がデュナミストだった時から抱いていた気持ちだったのだろう。
それに対して和倉隊長は「人の人生は肩代わりできない。家族でも、恋人でも、友達でも……。どんなに大切な人間であっても……。だからこそ、人は心を尽くして人と絆を結ぼうとする。見ている事しか出来ないのなら……見ていてやれ。最後まで……」と語る。
最初に孤門を説得しようとして失敗した「M・P -メモリーポリス-」とは大違い。今回は色々な事があったであろう隊長ならではの言葉の重みと確かさがあった。

 

どうしてネクサスの光が自分の所に来たのか考える憐に孤門は前のデュナミストだった姫矢の事を伝える。こうしてデュナミスト達を繋いでいく孤門。これは「最後まで見ていた」孤門だからこそ出来る役目であった。
孤門と憐が並んで座っている場面は「悪夢 -ナイトメア-」に繋がる。かつて姫矢が座っていた位置に今は孤門が座っているのが感慨深い。
「光はもしかしたら人に託された希望なのかもしれない。だから光は人から人へ受け継がれていく……」。それがデュナミスト達の戦いを見続けた孤門が出した一つの答えであった。

 

「光は受け継がれていく希望」と言う孤門の話を聞いた憐。親も無く、子供も作れるかどうか分からなかった憐は自分が大いなる流れから外れてしまった存在だと思っていたが、姫矢から受け継いだ光を次の人へと受け継がせる「光の絆」と言う大いなる流れに加わっていた事を知った。
さらに憐はプロメテの子達がラファエルを完成させた事を聞いて自分一人では無理だった未来を人の絆が繋げてくれた事も知る。
イズマエルの出現に今度戦ったら助からないと吉良沢に警告されるが憐は生きる為に戦う。
「優、孤門。俺は俺の光を走りきる!」。
終わる為に戦うのではなく次に繋ぐ為に戦う。
もう歩く事もままならないが、それでも憐は止まらず前へと向かって変身する。
その姿に吉良沢は「憐。光を信じろ」とかつて憐から貰った未来が変わる象徴である貝殻を握り締める。
そして憐は叫ぶ。「光は……人に受け継がれる希望。俺は……戦う! 俺は生きる! 生きて、この光を繋ぐ!!」。
イズマエルの強力熱線をかわし、憐はオーバーアローレイ・シュトロームで最強ビーストを倒すのだった。

 

既に憐にはメタフィールドを張る力が残されていなかったのでイズマエル戦は街の大破壊が繰り広げられる迫力の戦いとなった。
歴代特別チームの中でも戦績の良かったナイトレイダーだったが今回はイズマエルによってまさかの全機墜落。ナイトレイダーがビーストに全機撃墜されてしまうのは今回のみで、短い時間であるがイズマエルの強さが伝わった。
街中を疾走し、最後にイズマエルを倒して着地を決めるネクサスの姿は前期と後期のオープニングを連想させるもので思わずニヤリとなった。

 

戦いが終わって、ネクサスに別れと感謝の言葉を述べる憐。
一度は消そうとした瑞生との思い出が甦り、瑞生の口づけを受け、憐は再び目を開ける。憐は命と光を繋いだのだった。

 

今回のエンディングは憐編の総集編。憐もスタッフも最後まで走りきった!

 

憐から離れたネクサスの光……。
そして、西条副隊長の前にストーンフリューゲルが……!?
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