帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「再会 -リユニオン-」

Episode28 再会 -リユニオン-」
ウルトラマンネクサス』第28話
2005年4月23日放送(第28話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 小中和哉

 

クラスティシアンタイプビーストグランテラ
身長 53m
体重 4万3千t
尾部の先端に一つ、腹部に六つの気門を持ち、長い尾と鋭い鋏で攻撃し、両腕の間にエネルギー球体を発生させて撃ち出す。
前回の戦いではアンノウンハンドの指示でジュネッスブルーの戦力を計っていた。
クロスレイ・シュトロームを受けて一度は倒されるがダークフィールドGからエネルギーを与えられて復活する。しかし、最後はアローレイ・シュトロームを受けて倒された。

 

物語
憐を監視するミッションに就いた瑞生だが上手く遂行できない。
一方、新たな敵アンノウンハンドを確認したナイトレイダーはダークフィールドGでの戦いから外れてデータの収集に専念する事になるのだが……。

 

感想
憐の監視役に瑞生を指名したのはおそらく松永管理官。それは瑞生の人柄なら友人として憐とより深く接触できるからとの考えから。
後に明らかになるが同じ年頃の娘を持っている親としてはどう思っていたのか気になる。仕事とプライベートは切り離している感じはするが……。

 

人の心を利用する松永管理官に反発する形を取って首藤チーフが部下を思いやる人間味ある人物へと変化している。
姫矢編でも孤門やイレイズ対象者の心情を慮った描写はあったが、やはり記憶消去と言う行為のインパクトが大きくて、その辺りが視聴者には伝わり難かったところがあった。

 

結果的に松永管理官の行為は瑞生の反発を招いてしまい、瑞生は憐から得た情報を松永管理官に報告しなかったが、それでも松永管理官は特に困った様子は無かった。ひょっとしたら瑞生とは別にホワイトスイーパーや他のMPを使って情報収集していたのかもしれない。
松永管理官としては「デュナミストの友人」と言う駒が欲しくて、この駒を上手く使って吉良沢やナイトレーダーに優先してネクサスを自分の思い通りに動かそうとしていたのかもしれない。

 

group P.Pのデータを閲覧する際のパスワードは憐が身に付けていた指輪から判明するのだが、ちょっと強引だったかな。あの状況で孤門はよく指輪に彫られた文字を覚えていられたものだ。

 

「プロメテの子」はギリシア神話で人間に火を齎した神「プロメテウス」が由来となっている。以前の「サイクロプスの哀しみ」など吉良沢関連はギリシア神話から、溝呂木関連は聖書関連から名付けられているのかと思いきや憐の病気を治す特効薬は聖書関連の「ラファエル」だったりする。

 

プロメテウス・プロジェクトのデータに辿り着いた孤門の前に吉良沢が現れる。
ここで吉良沢は憐の正体やプロメテウス・プロジェクトの概要について聞かれてもいない事までベラベラと喋っている。
吉良沢がここまで他人に喋り続けるのは珍しい。やはり自分自身の気持ちの整理がついていないからであろうか。
憐に深入りするといずれ孤門自身が傷付くと言うのは色々と他人の事を背負い込んでしまう孤門の性格を危惧しての忠告であろう。事実、憐の事情を知った孤門はそれに対して自分が無力な事に苦しむ事になる。

 

憐が瑞生に語った子供達を見守る男の話が憐の表向きの戦う理由となっている。
この話を聞いたら憐と子供が絡む話も見てみたかったなと思う。
この子供達を見守る男の話はJ・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』からの引用らしい。

 

憐は孤門には「自分の事は誰にも話さないように」と言っていたのに瑞生には「自分の事を誰に話しても良い」と言っている。そうすれば瑞生がちょくちょく会いに来てくれるかららしいが孤門がちょっと可哀想だw

 

アンノウンハンドがダークフィールドGを全開で展開した時にクロムチェスターにどのような影響が起きるか分からないので次の戦いでは攻撃は控える事を告げる吉良沢。
ネクサスを援護しない作戦に反発する孤門に向かって吉良沢は「君の生命同様、チェスターも大事」と説得している。これは裏を返せば「クロムチェスターと同じく孤門の生命も大事」と言う事になり、これまで戦いをゲームのように扱っていたのと比べると格段に人間味が出ている。
因みに以前の和倉隊長なら上の指示に反発する孤門を制止していたのだが今回は和倉隊長もネクサスを援護しない作戦への不満を声に出している。

 

ネクサスの苦戦が予想されて孤門は心配するが吉良沢はネクサスの光を得たデュナミストの覚悟を述べる。
直接の面識が無い姫矢の場合だったら所詮は他人事だから言える言葉と感じてしまうが、事情を知っている無二の親友について語ったとなると、これは憐の覚悟だけでなく吉良沢自身の覚悟とも取れる言葉となる。実際、グランテラの再登場時に吉良沢と憐の決意の表情が続けて映し出されている。
憐のデータを漏らさず取る事が吉良沢の仕事。自分自身は戦いに参加できず、ただ見守る事しか出来ないと言うのは友人として辛い事であろう。

 

アンノウンハンドが展開する第3のダークフィールドが登場するが以前のダークフィールドとの違いがイマイチ分かり難かった。
アンノウンハンドのダークフィールドGはビーストにエネルギーを与えるとなっているが、ダークフィールドG以前のダークフィールドも展開すれば闇の巨人やビーストに有利になっていたのでネクサスの力を弱まらせてビーストの力を強めていたところはあったと思われる。
個人的にはダークフィールドGを展開したらビーストの肉体の一部が強化されて変形するとか、ダークフィールドの外観をこれまでとはガラリと変えるとか、もっと分かり易い変化が欲しかった。

 

西条副隊長はジュネッスブルーの戦い方を見定める為に孤門に同行する。それでもネクサスの苦戦に迷い無く援護するところに確かな変化が見られる。そしてグランテラの気門一斉砲撃に逃げるどころか立ち向かっていくジュネッスブルーの戦いを西条副隊長は「無茶な戦い方」と見定める。

 

ジュネッスブルーの必殺技アローレイ・シュトローム
殆どのウルトラマンが腕を組んで光線を発する中で「光の矢を飛ばす」と言うオリジナルさが他のウルトラマンとの差別化になっていて良かった。
ウルトラマンの数も増えてきたので個人的には各ウルトラマンの技は被らないようにそれぞれ区別を付けていってほしいなと思う。

 

「ULTRA N PROJECT」の中心スタッフの一人である小中監督は『ULTRAMAN』では現実に即したリアル路線を、『ネクサス』の導入部では陰謀渦巻く謎めいた世界観を、リコ編では全てをぶっ壊す驚愕のホラー演出を、今回の憐編ではこれまでの『ネクサス』に無かった爽やかな青春群像と一人の監督が一つの作品でここまで違う作風を出してきたのに驚かされた。