帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「祈り -プレーヤー-」

Episode27 祈り -プレーヤー-」
ウルトラマンネクサス』第27話
2005年4月16日放送(第27話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 小中和哉

 

クラスティシアンタイプビーストグランテラ
身長 53m
体重 4万3千t
尾部の先端の気門から破壊光弾を撃つ。
ネクサスと戦うがアンノウンハンドによって回収された。

 

物語
新しいウルトラマン・ジュネッスブルーの出現!
孤門は新たなデュナミストと知り合い、MPの瑞生は憐と言う少年の監視を命じられる。そして新たなデュナミストがプロメテの子だと気付いた吉良沢の所に憐が姿を現す。

 

感想
姫矢編では姫矢が戦うきっかけがセラだったり孤門にとってリコが正負共に影響が大きかったり、あの溝呂木さえも西条副隊長に執着して計画を狂わせる事になったり、石堀隊員と平木隊員では平木隊員の方が会話の主導権を握っていたりと女性が男性を引っ張る構図が多かった。唯一の例外は姫矢と佐久田くらいであろうか。
逆に憐編では憐と言う男性を中心に様々な人物が動かされている。特に瑞生が憐に色々な意味で振り回されるのは姫矢編では中々見られなかった構図だった。他にも平木隊員が憐編では高槻や石堀隊員と言った男性に振り回されるようになったり、首藤チーフも男性の松永管理官の指揮下となっている。
メイン脚本家が男性の時は女性中心の構図だったのが女性脚本家に代わったら男性中心に変わると言うのは興味深い。

 

ジュネッスブルーの初陣は速さを駆使してグランテラ相手に優勢に戦いを進めるが最終的には苦戦してしまった。
新ヒーローの登場であったが残念ながら初登場補正は無く、初登場なのに敵を倒す事は出来なかった。

 

前は姫矢がビーストを倒そうとしたところを西条副隊長に撃たれて苦戦に陥ると言う展開があったが逆に憐はビーストに苦戦したところをナイトレイダーの援護で救われている。
これもある意味で前デュナミストの姫矢が残した絆の一つと言える。

 

戦いが終わった後、孤門はデュナミストを探して憐を発見するが部屋の中まで追いかけたところであっさりと背後を取られてしまう。いくら入隊して数ヶ月のまだ新人とは言えナイトレイダーの隊員が素人相手にあっさりと羽交い絞めされてしまうのはちょっと情けない。
しかし、その後の傷の手当てでは孤門の元レスキュー隊員と言う設定が活かされた。この場面を見ると姫矢がガルベロス戦で負った左腕の傷を孤門が診る場面があっても良かったと思う。
姫矢編では周りの人間の殆どが自分より年上か経験者だったので孤門は経験不足に加えて立場も低いとかなり大変な立場であったが、憐編では憐を始めとする若者の加入で孤門はこれまでより少し大人な頼れる雰囲気が出てきた。これは孤門の成長と合わさって上手いキャラクター配置であった。

 

ジュネッスブルーが初戦を終えた直後に憐を監視するミッションが下っているので、松永管理官はホワイトスイーパーを使ってネクサスを監視、又は孤門の後を尾行させたと考えられる。
今回の話で松永管理官はレーテに関する情報を握っていると思われるMPを指揮下に収めてTLT内でかなりの力を持てるようになった。さらにこの後、「予兆 -プロフェシー-」では対立していた東郷も懐柔して松永管理官は吉良沢に匹敵する権限をTLT内で構築する事となる。

 

孤門は憐と接触した事実を和倉隊長に報告しなかった。まぁ、姫矢の時にあまりにホイホイ言い過ぎていたし、それが原因で姫矢がTLTに拘束される事にもなったので、ここは学習したと見るべきだろう。
和倉隊長は「遺跡 -レリック-」での西条副隊長の時と同じように孤門がデュナミストとの接触を隠している事に気付いていると思われる。

 

西条副隊長は新たなデュナミストが姫矢のような人間とは限らないと孤門に警告する。姫矢の事を信頼するようになったのだが、ネクサスの力に関してはメフィストの力と同じ人間を超えた化け物の力と認識しているようだ。
ここで西条副隊長は「力を持った為に闇に堕ちる人間」について語るが、その西条副隊長自身がネクサスの光を得ながら憎しみによって闇に囚われる事になるのは皮肉と言えるかもしれない。

 

憐について調べていたら行き当たった「group P.P」の事を吉良沢に尋ねてしまう孤門。
これではgroup P.Pに関係する人物が新たなデュナミストだと教えているようなものでかなりのミス。実際、吉良沢はすぐに憐に辿り着いてしまった。
吉良沢と憐が友人だったから良かったものの下手をすれば姫矢の二の舞になるところだった。

 

ドジっ娘MPとして視聴者に鮮烈な印象を植え付けた瑞生。初々しい感じで見ているこちらが恥ずかしくなってしまう程。
他のウルトラシリーズの主人公達は公的な組織で訓練を受けて適性試験を乗り越えた特別チームの隊員なのでどこか重さや堅さを感じるが、組織に属していない若者である憐にはそう言ったものは無くて軽く爽やかな少年としてウルトラシリーズでも屈指の青春物語を展開する事になる。
今回の話を見ると瑞生に監視のミッションは無理だろうと思わずツッコんでしまうが、後の話を見るに松永管理官はそれを見越してワザと瑞生を指名したように思える。

 

これまでの吉良沢は全てを見知っているかのような発言で事件の黒幕かと思わせる雰囲気すらあった。実際は知らない事がいくつかあったのだが、それらも独特の雰囲気で覆い隠して超然としていた。
しかし、今回は「プロメテの子」と言う自身に関わる話が出て、憐と言う友人が戦いの中心に置かれてしまった。それらを知って戸惑いや驚きが表れた事で吉良沢も一人の人間であった事が示された。
この辺りから吉良沢は謎を秘めた得体の知れない存在から一人の悩める若者となって孤門達と同じ主人公サイドへと降り立つ事となった。