帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「五郎とゴロー」

「五郎とゴロー」
ウルトラQ』制作第7話
1966年1月9日放送(第2話)
脚本 金城哲夫
監督 円谷一
特技監督 有川貞昌

 

巨大猿ゴロー
身長 50m
体重 1万t
村人に「エテキチ」と呼ばれる五郎青年に育てられた猿ゴローが旧日本軍が兵士の体力増強を目的に作った青葉くるみを大量に食べた事で甲状腺ホルモンのバランスが崩れて巨大化した。
五郎がゴローの食料を調達しようと盗みを働いて警察に逮捕されると、それを追って伊豆半島の山から街へと下りてきた。
関デスクが用意した眠り薬入りの牛乳を飲んで眠りに就く。この後、イーリヤン島へ移送されたらしい。
キングコング対ゴジラ』のキングコングと『いまに見ておれ』の猿の着ぐるみを改造している。

 

イーリヤン島の大猿
身長 50m
体重 1万t
日本兵が持って来た青葉くるみを食べて巨大化したらしい。
その巨体と力を使って島の土人達を助け、土人達も大猿を島の守り神にして友好的な関係を築いている。 

 

物語
伊豆半島に現れた巨大な猿。
それは五郎と言う青年と一緒に暮らしていた猿のゴローが旧日本軍が残した青葉くるみを食べて巨大化した姿であった。

 

感想
キング・コング』を思い出す大猿の話。ただし、『キング・コング』が「大猿が島から街に連れて来られて悲劇に遭う」のに対し、今回の話は「大猿が街から島に連れて行かれて悲劇を回避する」と言う展開になっている。

 

天城山に棲んでいた猿達が戦時中に天城山を要塞地帯にされたので人の手を逃れて淡島に移り住んでいたり、ゴローやイーリヤン島の大猿が旧日本軍が作った体力増強剤で巨大化したりと今回は戦争の影が色濃く出ている。

 

五郎は唖で人間とはコミュニケーションが取れないが口笛を使って猿とはコミュニケーションが取れていた。五郎は怪獣となったゴローとは最後まで意思疎通が出来ていたのだが人間とは最後まで意思疎通が出来ず、眠り薬の件も一人だけ何も知らされず牛乳を飲んだゴローに異変が起きたと勘違いして絶叫している。

 

「怪獣」とは何か?
様々な答えがあるが今回は「周りと違うが故に社会に迫害された存在」となっている。
遙か昔から人間は同じ人間に対して様々な蔑称を付けて迫害してきた。しかし、イーリヤン島では人間はゴローと同じ大猿と共存していた。ゴローを「怪獣」と呼ぶのは日本と言う地球においてちっぽけな地域のみであった。

 

ウルトラQ』は毎回のオープニングに工夫が凝らされている。今回はゴローのシルエットを使ったもので、この演出は後のシリーズのオープニングに引き継がれていった。

 

今回は由利子がイーリヤン島に取材に行っているので代わりに関デスク自ら取材に赴いている。いつも部下にうるさく言っているだけあって驚くべき記者魂を見せる。最後にゴローを助ける為にイーリヤン島への輸送費を毎日新報社で出すなど、ただ特ダネを追いかけるのではなく取材相手の事情も考えるのが素晴らしい。

 

脚本ではゴローやイーリヤン島の大猿が巨大化した原因は「ヘリプロン結晶G」となっているが武田薬品がスポンサーになったので青葉くるみに変更された。

 

今回の話は1990年4月に「1/8計画」と共に『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』の併映として劇場公開された。

 

今回の話は円谷英二監督の弟子で東宝有川貞昌さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。