帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラ作戦第一号」

「ウルトラ作戦第一号 ー宇宙怪獣ベムラー登場ー
ウルトラマン』制作第5話
1966年7月17日放送(第1話)
脚本 関沢新一金城哲夫
監督 円谷一
特技監督 高野宏一

 

宇宙怪獣ベムラー
身長 50m
体重 2万5千t
ウルトラマン曰く「宇宙の平和を乱す悪魔のような怪獣」。
青い玉に変身して宇宙空間を高速で移動する。口から青色の光線を吐く。なかなか頭が良い。
宇宙の墓場に護送される途中、地球に逃亡して竜ヶ森湖に潜伏する。さらに逃げようとするがスペシウム光線を受けて爆発した。
名前の由来は『ウルトラマン』の企画段階の名前の一つである『科学特捜隊ベムラー』から。

 

物語
謎の赤い玉と衝突したハヤタ隊員はM78星雲の宇宙人と名乗る存在と遭遇する。
M78星雲の宇宙人は自分の罪を悔い、ハヤタ隊員に自分の命を与える。

 

感想
ウルトラマン』の放送第1話で、ウルトラマンとハヤタ隊員の出会いが描かれている。

 

かつて特撮雑誌『宇宙船』に「ウルトラマンのデザインはハヤタ隊員の小型ビートルをモデルにしている」と言う記事があった。言われてみれば、ウルトラマンも科特隊の各種装備もカラーリングが銀と赤と言う共通点があった。

 

作品によって設定や描写が違っているが自分は『ウルトラマン』の頃のウルトラマンは「意思を持った光」だと考えている。ウルトラマンが小型ビートルと同じカラーリングになっているのも実体を持たない光が小型ビートルをモデルに地球で活動する為の姿を手に入れたと考えられるし、ハヤタ隊員が「ウルトラマンには名前なんか無い」と言ったのもその正体が光である事を示していると考える事が出来る。

 

ハヤタ隊員とウルトラマンの関係はどうなっているのか?
まず一つの命を二人で共有している。
人格はハヤタ隊員の時はハヤタ隊員の、ウルトラマンの時はウルトラマンの人格が出ていると思われる。
問題は記憶で、おそらく最初の頃は記憶が別々だったと思われる。しかし、それではハヤタ隊員はウルトラマンの活躍を知る事が出来ない。一度や二度なら気絶していたと言い訳が出来るがさすがに何回もは出来ない。又、ウルトラマンもハヤタ隊員が集めた怪獣の情報を戦いに活用出来ない。そこで二人はプライバシーには干渉しないと言う条件でお互いの記憶を共有する事になったのではないかと自分は考えている。


ウルトラマンが3分間しか活動出来ないのはあくまで地球上での話。ウルトラマンが地球上で戦ったのは今回が初めてなのだが、ベムラーと戦っている最中にこの星では3分間しか活動出来ないと知った時のウルトラマンは慌てただろうなぁ。
ウルトラシリーズでは主人公がすぐに変身しないとツッコミが入る事があるが、ウルトラマンは3分間しか活動出来ないので、変身する前に怪獣の情報を収集し怪獣にダメージを与えておく必要があるのだろう。
又、スペシウム光線を戦いの最初で使わない事についても威力が大きいだけエネルギー消費も激しいと思われるので確実に倒せると判断するまではあまり使わないようにしていると考えられる。
ウルトラマンに負けは許されないのだ。

 

ウルトラマンの出身地は元々は「M87星雲」であったが誤植で「M78星雲」になったと言う説がある。M87星雲はβ線が強烈に降り注いでいる世界で変身道具のベーターカプセルの由来になっているらしい。
因みに2019年に世界で初めて姿が捉えられたブラックホールはM87銀河(M87星雲)にある。

 

バラージの青い石」ではウルトラマンを「ノアの神」としていたが、今回の話でもムラマツキャップの「ハヤタのような立派な男を神様が見捨てたりはしない」と言う台詞や相手となるベムラーが「悪魔のような怪獣」と説明される等、ウルトラマンを「神」として扱っているところがある。

 

死んだと思われたハヤタ隊員だが生きていた!
ハヤタ隊員は「自分がどうして生きていたかはどうだっていい」と言っていたが自分が科特隊の関係者だったら物凄く気になっていたと思う。

 

フジ隊員とホシノ君の会話から何をするにもキャップの許可が要るらしいがハヤタ隊員は独自に指示を出していた。ハヤタ隊員は科特隊のサブリーダーと言う設定があり、今回のようにムラマツキャップの代わりに指示を出す事がある。

 

ベムラーは背ビレと尻尾があり、手が小さくて二足歩行とゴジラを思わせるデザインとなっている。口から光線も吐くので、ひょっとしたらベムラーは「ゴジラの宇宙怪獣版」なのかもしれない。

 

突然現れた謎の巨人であるウルトラマンを何の迷いも疑いも無く応援する科特隊。当時は普通だったのかもしれないが現在の目で見るとさすがに違和感を覚える。

 

ベムラーが倒されてウルトラマンが去った後、フジ隊員が何か喋っているが聞き取れない。何て言っていたのかな?

 

ウルトラマンが去るとハヤタ隊員が「おーい!」と言って科特隊の皆の所に走ってくる。これはウルトラシリーズを代表するお約束シーンの一つとなった。

 

ハヤタ隊員の説明では青い玉はベムラーの変身で赤い玉はウルトラマンの宇宙船となっているが自分が考えるにはこれは嘘。
ウルトラマンが帰るとハヤタ隊員は死んでしまうが、ウルトラマンベムラー追跡の為にやって来たので本来なら地球に留まる理由が無い。その事を告げたらハヤタ隊員は「僕の事はどうなっても良いから帰るんだ」と言う可能性があるので、ウルトラマンは「宇宙船が爆発して自分の星へは帰れなくなったので仲間が迎えに来るまで地球に留まる」と嘘を吐いたのではないかと考えられる。

 

今回の話は東宝の特撮作品を多く手掛けてきた関沢新一さんの脚本を弟子の金城さんが全面的に書き直したものとなっている。

 

2004年に公開された映画『ULTRAMAN』は今回の話のリメイクとなっている。

 

今回の話は2023年12月に『円谷映画祭2023』Part2で『『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー』「生命のものがたり」』として劇場公開されている。