帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「星空の声」

「星空の声」
ウルトラマンX』第1話
2015年7月14日放送(『新列伝』第106話)
脚本 小林雄次
監督 田口清隆

 

宇宙怪獣ベムラー
身長 50m
体重 2万5千t
ウルトラフレアの影響でスパークドールズから実体化した。夜の工事現場に出現した。

 

青色発泡怪獣アボラス
身長 60m
体重 2万t
ウルトラフレアの影響でスパークドールズから実体化した。ロシアに出現してバニラと戦った。

 

赤色火焔怪獣バニラ
身長 55m
体重 2万t
ウルトラフレアの影響でスパークドールズから実体化した。ロシアに出現してアボラスと戦った。

 

地底怪獣マグラー
身長 40m
体重 2万5千t
ウルトラフレアの影響でスパークドールズから実体化した。パリの凱旋門に出現した。

 

油獣ペスター
身長 50m
体重 2万5千t
ウルトラフレアの影響でスパークドールズから実体化した。中東の油田地帯に出現した。

 

冷凍怪獣ペギラ
身長 40m
体重 2万t
ウルトラフレアの影響でスパークドールズから実体化した。シンガポールに出現した。

 

熔鉄怪獣デマーガ
身長 50m
体重 5万5千t
山中に出現してそのまま梅沢市を破壊した。
Xio識別カテゴリーではタイプGに分類される。
体の79%が溶けた鉄で出来ている鉄の魔獣で、口から熔鉄熱線を吐き、背中から熔鉄弾を放つ。神経と熱源が集中している頭部の角が弱点らしい。
「日本太平風土記」では地を燃やす荒ぶる神・天目亜牙(でまあが)と呼ばれ、光の巨人に封印されたと記述されている。
エックスのザナディウム光線を受けてスパークドールズになった。
名前の由来は「天目一箇神(あめのまひとつのかみ)」から

 

物語
太陽フレアの異常爆発「ウルトラフレア」によって地球に眠っていたスパークドールズが実体化して世界各地に怪獣が現れるようになる。
それから15年後。サイバー怪獣の実験を行っていたXioの隊員・大空大地はスパークドールズのゴモラが何かを感じ取っているのを知る。

 

感想
『ギンガ』『ギンガS』に続く『新列伝』内での新作ウルトラシリーズ第3弾。
今回は世界観がリセットされて過去にウルトラマンが出現した事が無い地球が舞台になっている。

 

スパークドールズの設定もギンガシリーズとは違っていて「世界各地に眠っていた謎のオーパーツ」と言う扱いになっている。
『X』でも本来の姿はスパークドールズではなくて怪獣のようなので、怪獣達がスパークドールズになる何かが太古に起きたと考えられるが、それについて明かされる事は無かった。「日本太平風土記」には「光の巨人が天目亜牙を封印した」と言う記述があるらしいが……。

 

冒頭で15年前の赤い球と紫の球の戦いが描かれる。おそらくこれは『初代マン』の「ウルトラ作戦第一号」の初代マンの赤い玉とベムラーの青い玉がモデル。
『X』は「特別チームがメイン」「全体にわたって暗躍する人物がいない」「基本的に一話完結」となっているが、これは『初代マン』と同じフォーマットである。この皆がイメージするウルトラシリーズのフォーマットがニュージェネレーションシリーズでは逆に珍しい設定となるのが興味深い。

 

ウルトラフレアによって世界各地に怪獣が現れるのはゴジラシリーズの『怪獣総進撃』を思わせる。マグラーが凱旋門に現れているが、おそらくは『怪獣総進撃』でバラゴンが凱旋門を破壊する予定だった事へのオマージュだと思われる。(『初代マン』の「怪獣無法地帯」に登場したマグラーの着ぐるみは元を辿るとバラゴンだった)

 

スパークドールズを解析し、そのデータから作り出したサイバー怪獣をエレクトロ粒子として定着させて実体化させる実験。実体化させた怪獣は人間の脳波でコントロールする仕組みで、これが成功したらXioの新たな戦力となる。
ウルトラシリーズの歴史で考えると、最初に『Q』で怪獣が出て、次に人類の味方になって他の怪獣と戦ってくれる怪獣が考えられ、そのアイデアが最終的に『初代マン』の初代マンへと至っている。『X』の劇中もそれと同じで、最初にスパークドールズから怪獣が実体化して、それに対抗する為に人類の味方となるサイバー怪獣が計画され、そこにエックスが現れる事となった。

 

「可愛いから」と言う理由でエレキングをサイバー怪獣の候補に挙げるルイルイ。
ピット星人に使われたり、コノミやルイルイに可愛がられたり、CMで篠崎愛さんと共演したりとエレキングは女の子と関わる事が多い気がする。

 

デマーガの口から吐かれる熱線や背中から発せられる熱弾による爆発と炎は「これぞ怪獣!」と言う感じ。ミニチュアの街の破壊シーンもふんだんにあって、ここ数年あまり見られなかった王道の怪獣作品が帰って来たようでとても嬉しい。

 

『ギンガS』のUPGに続いて本作にも特別チームとしてXioが登場している。
XioはUPGには無かった航空戦力を持っていて、さっそく戦闘機スカイマスケッティが光線銃ジオブラスター以上の攻撃力と人間以上の機動力を見せてくれた。

 

本作の主人公である大地はラボチームの一員でヒロインであるアスナは対怪獣戦の担当で格闘が得意と言う設定になっているので、従来のヒーロー作品と違ってヒロインのアスナが主人公の大地を守る形になっている。この辺りは昔懐かしい王道さを持つ一方で2010年代の新しさも持っている『X』らしい。

 

その大地だがエックスに変身するとアスナを守る形が多くなる。大地でいる時とエックスでいる時とではヒロインとの関係が変わるのは「変身」と言う設定を持つヒーロー作品ならでは。古くは『スーパーマン』から見られる構図。

 

エックスに変身して巨大化した大地は高所恐怖症だった為にその場に座り込んでしまいそうになる。
『ガイア』の「光をつかめ!」でもガイアになった我夢の視点が高くなっていく場面があったが、これは変身しても人間大のままである仮面ライダースーパー戦隊には無い巨大化するウルトラマンだからこその描写。

 

エックスに初めて変身した大地はデマーガに苦戦してしまう。
元々戦闘担当ではなかった事と突然の展開に理解が追いついていない事を考えたら仕方が無いかなと思うが、そう考えると『ギンガ』の「星の降る町」で一般の高校生でありながら説明らしい説明も無い中でいきなり戦う事になったのにサンダーダランビアに圧勝したヒカルの凄さに驚く。

 

宇宙から来たウルトラマンと地球人が一心同体になると言うのは『初代マン』からのパターンであるが、『初代マン』で初代マンとハヤタ隊員の会話が殆ど無かったからか、その後の作品でも合体したウルトラマンと地球人の会話が少ない事が多い。アニメの『ザ☆ウル』や海外作品の『G』等は会話が多かったが、日本の実写ウルトラシリーズでは21世紀に入った『コスモス』からようやく増えてきた感じで、そこからゼロシリーズの『サーガ』を経て本作でようやく日常的に会話するウルトラマンと地球人が描かれるようになった。

 

上で「ウルトラマンと地球人が一心同体になった」と書いたが、正確にはエックスは大地ではなく彼が持っているジオデバイザーに宿っていて、エックスが宿っている間はジオデバイザーはエクスデバイザーに変化している。
エックスと大地が合体しているのはユナイトしている時だけで、これはギンガシリーズでギンガやビクトリーが普段はスパークドールズの状態でギンガスパークやビクトリーランサーの中で眠っていて、ウルトライブの時だけヒカルやショウと合体するのと似ている。

 

巨人が人々を守って怪獣と戦っているのを見た神木隊長はXioに巨人を援護するよう命じる。Xioの識別カテゴリータイプには「タイプA…(エイリアン)宇宙人」があるので過去に宇宙人の侵略者も地球に現れていた事が分かる。そんな中で未知の巨人の援護を命じた神木隊長の判断はかなり大きなものであったと思われる。

 

『X』の地球はスパークドールズがウルトラフレアの影響で実体化したと言う設定。現在の地球人には怪獣を再びスパークドールズにする技術が無いので、逆にスパークドールズからサイバー怪獣を作って怪獣と戦わせようとしている。しかし、エックスのザナディウム光線を使えば怪獣を再びスパークドールズにする事が出来る。エックスの登場によって地球の怪獣問題は大きく変わる事となる。

 

エックスのザナディウム光線で怪獣をスパークドールズに出来る事から『X』の地球にあるスパークドールズは過去にエックスが怪獣達を封印した結果と考える事が出来る。(「日本太平風土記」には「光の巨人が天目亜牙を封印した」と言う記述がある)
エックスによるとザナディウム光線は「エックスと大地の力」らしいが、これは「エックスと大地だから出来た事」なのか「エックスと地球人が合体したから出来た事」なのか。もし前者なら過去のエックスはザナディウム光線を使う事が出来なかったとなるが……。

 

『X』はサイバー感溢れる演出や効果が多い。個人的には『封神演義』の藤崎竜さんの漫画を思い出す感じで好き。

 

大地は未知の巨人の名前を「ウルトラマンX」と名付ける。
この「X」は「未知」と言う意味だが、エックスの本来の名前は何なのだろう?
M78星雲のような出身地もウルトラ兄弟のような仲間も語られていないので、ひょっとしたらエックスは自分と他人を区別する為の名前と言うものを持っていなかったのかもしれない。

 

今回登場したデマーガのデザインは三ノ輪さりとさんが担当している。

 

 

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