「ゾフィが死んだ! タロウも死んだ! ーゾフィ 食葉怪獣ケムジラ 火山怪獣バートン登場ー」
『ウルトラマンT』制作第18話
1973年8月3日放送(第18話)
脚本 田口成光
監督 深沢清澄
特殊技術 小林正夫
ゾフィ
身長 45m
体重 4万5千t
ウルトラ兄弟の長男で、子供達の「神様、タロウを助けてください!」の願いを受けてやって来た。
ウルトラフロストでタロウを冷凍保存してウルトラの国に連れて帰った後、タロウがいない地球を守る為にバードンと戦った。Z光線等で善戦したがバードンに炎で火炙りにされると最後はタロウと同じくクチバシで止めを刺された。
ナレーションではフルネームを「ウルトラゾフィ」としている。
食葉怪獣ケムジラ
身長 3.4cm~47m
体重 20g~2万2千t
バードンに恐れをなして逃げ隠れするが見付かって喰われてしまう。
せっかく現代に復活できたが結局は古代と同じようにバードンによって死滅してしまった。
火山怪鳥バードン
身長 62m
体重 3万3千t
普通の鳥と同じ習性を持つ。
クチバシでタロウを倒すとケムジラを喰ってしまった。
ZATのトリモチ作戦も行水をしていたので威力が半減した。
ゾフィとも戦い、炎とクチバシの二段攻撃で返り討ちにした。
オープニングの怪獣紹介では「火山怪獣バートン」となっている。
物語
バードンの猛攻にタロウが敗れる!
ケムジラを喰い、我が物顔のバードンの前にゾフィが現れるが、バードンはゾフィさえも倒してしまう!
感想
「2大怪獣タロウに迫る!」の続き。
今回の話では健一君のイメージシーン以外に光太郎の出番が無い。
タロウが敗れてウルトラの国に戻っているので当然なのだが、主人公が全く登場しないと言うのはウルトラシリーズではなかなか無い展開。
タロウがバードンに敗れる場面は画面の演出もあって、かなりショッキングな仕上がりになっている。
カラータイマーが完全に停止してしまうのも衝撃だったが、やはり血塗れになったタロウの姿が一番の衝撃だった。今までウルトラマン達は敗れても姿が消えて終わりだったのだが、今回はタロウを血塗れにする事でヒーローの敗北(死)をストレートに見せ付けた。
怪獣を食べる怪獣と言えば『帰マン』の「二大怪獣東京を襲撃」と「決戦! 怪獣対マット」に登場したグドンが有名だが、実はこの回ではグドンがツインテールを食べる場面は無かったりする。それに対して今回はバードンがケムジラの目を食べる場面をハッキリと描いている。バードン三部作は全体的に演出がストレートに生々しくなっている。
倒れたタロウに黙祷するZAT、回想されるタロウの戦い、十字架をバックに鳴らされる教会の鐘、自然に集まってきた子供達の祈りがやがて大合唱となってゾフィを呼ぶ。
この展開は緊迫感があり尚且つ神秘的でもあった。
タロウが敗れたのはタケシを庇っていたからなのだが、どうしてタケシはあんな危険な場所に行ったのだろうか? 何かを光太郎に告げたかったようだが、その部分についてはこの後も特に触れられていない。この時点で鳥の習性とバードンとの関係に気付いていたとも思えないし……?
行方不明になった光太郎を「逃げ出してしまったんじゃないでしょうね」と吐き捨てるタケシの母親。健一君が怒るのも無理が無いが、タロウが現れている間、つまり怪獣が現れている間はいつもいなくなり、タロウが去る、つまり怪獣が倒されると現れるのでは、その間は隠れていたり逃げていたりしているのではと疑われるのも仕方が無いと言える。
ゾフィ初のシングル戦であったがバードンに敗れてしまった。
現在も語り草になっているファイヤーヘッドことゾフィの頭部が燃える場面は驚いた。頭部が燃えるのは撮影中のアクシデントと言う説があったが実際は演出だったらしい。血塗れのタロウもだが、『A』にあった十字架やブロンズ像のインパクトを超えるにはここまでしなければいけなかったのかもしれない。
ところでサブタイトルは「ゾフィが死んだ! タロウも死んだ!」だが劇中の展開を見る限り「タロウが死んだ! ゾフィも死んだ!」が正しい。
タロウだけでなくゾフィさえも敗れてしまった。最強バードンを倒すのは一体誰だ!?
と言う事で次回「ウルトラの母 愛の奇跡!」に続きます。
今回の話は2023年12月に『円谷映画祭2023』Part2で『庵野秀明セレクション 『ウルトラマンタロウ』』として劇場公開されている。