帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「帰ってきたひげ船長!」

日本名作民話シリーズ! 帰ってきたひげ船長! 浦島太郎より ー星獣キングパラダイ パラダイ星人登場ー
ウルトラマンレオ』制作第28話
1974年10月18日放送(第28話)
脚本 若槻文三
監督 山本正孝
特撮監督 矢島信男

 

海棲人パラダイ星人
身長 180cm
体重 92kg
亀に似た宇宙船で地球にやって来た。能面越しに話しかける女王によって統制されている。緑色の霧で瞬間移動する事が可能。エコーのかかった声で人間と話す。
本来は大人しい性格だったが、子供が村の住人に殺されそうになったので村への復讐を始める。
普段は戦闘能力を持っていないが、2人のパラダイ星人が合体する事で星獣キングパラダイになれる。
キングパラダイがレオに倒された後、宇宙船がどうなったかは語られていない。

 

星獣キングパラダイ
身長 60m
体重 4万t
2人のパラダイ星人が合体変身した怪獣。
長い尻尾を武器とし、口から濃い緑色のガスを吐き、耳から光線を撃つ。
レオに圧倒され、丸まって逃げようとするがレオクロスビームで倒された。

 

物語
むかしむかし浦島は 助けた亀に連れられて 龍宮城へ来て見れば 絵にもかけない美しさ
ある村で緑色の髪をした少年が襲われていた。
そこに居合わせたひげ船長はお守りにしていたバロック真珠と交換で緑色の髪の少年を助けるが……。

 

感想 
ウルトラシリーズで取り上げられる事が多い『浦島太郎』。こういう既存の話をモデルにした話は意外と難しい。全く同じ話ではウルトラシリーズでする意味が無いし、全く違う話にしたら『浦島太郎』をモデルにする意味が無くなってしまう。

 

今回からオープニングに潜水艦マックシャークが登場するが本編での登場は無し。残念。

 

村の住人が魚が獲れなくなった原因だとしてパラダイ星人の子供を襲う。村の子供は可哀相だと言うが、その言葉も聞き入れずに村の住人はパラダイ星人の子供を殺そうとし、最初は可哀相だと言っていた村の子供もパラダイ星人の子供を棒で叩き始めてしまう。
パラダイ星人が地球に来たのはつい先日なので魚が獲れなくなった事とは無関係。これはパラダイ星人が怒るのも無理は無い。このように短絡的に動くと、本質を見誤って、いらない悲劇を引き起こしてしまう事になる。
何故こういう問題が起きるのか? それは相手を理解する気持ちが足りないからだろう。相手を知らないから相手が何を考えているのか分からず、それが不信を呼んで、恐怖を呼んで、最後は「やられる前にやってしまえ!」と言う暴力に繋がっていく。

 

その後、子供を殺されそうになったパラダイ星人の親が村の住人に復讐を始めると、村の住人は自分の子供が殺されないよう守ってくれとMACに頼む。
親として子供を大切に思う気持ちがありながら、その気持ちをパラダイ星人に向ける事が出来なかった。
因みにパラダイ星人はすぐに殺しにかからず、もう一度様子を見て、それでも村の住人が自分達を殺そうとしているのを知って本格的な復讐を始めている。
こうして見ていると、今回はパラダイ星人の言い分の方が正しい。

 

村の住人はパラダイ星人の子供を殺そうとした以外にもひげ船長から貰ったバロック真珠の事で喧嘩をしている。
このような人間の醜さ身勝手さを見ると、パラダイ星人の女王が言ったように人間の心には悪魔が棲んでいるんだなと感じてしまう。ひげ船長のように人間の心には天使ももちろんいるわけだが……。

 

パラダイ星人の女王は何故か能面越しに声のみとなっている。この能面が実に怖い。
宇宙船の中の貴賓室もファンタジーと見るかホラーと見るか意見が分かれる雰囲気。

 

今回の主役であるひげ船長は遠洋漁業の船長だったが不振を理由に船を降ろされたと言う設定。しかし、「よその国の権利を侵してまで……」と呟いているので、本人も仕事に嫌気が差して辞めるつもりだったかもしれない。
パラダイ星人の子供を助けるが、その後に「しかし、俺がこの辺の漁師だったら助けたかな?」とポツリと洩らすのが深い。

 

最後、決して吸ってはいけないパイプを吸ってしまったひげ船長はおじいさんになってしまう。
本人はつい忘れて吸ってしまったと言っているが、見る限り、全てを分かって、あえて吸ったように思える。
船から降ろされたひげ船長。この時、彼の第一の人生が終わった。それがおじいさんになると言う事なのだろう。(ひげ船長がおじいさんになるのと前後して、彼が乗っていた船は新しい船長と共に出港している)
しかし、公園で子供達に向かって自分の不思議体験を語る元ひげ船長は楽しそうだった。彼は第二の人生を見付ける事が出来たのだ。
年を取って今の仕事を辞める事、おじいさんになる事は別に悪い事ではない。新たな生きがいを見付ければ良いのだ。(パラダイ星では年を取るのは良い事で、老人は敬うべきだと言う考えがあるのかもしれない。しかし、日本では年を取る事、老人になる事は社会に迷惑をかけるようになると言う考えがある)

 

キングパラダイを倒したレオクロスビーム。1回目は外れて2回目に当たるのが細かくて好き。

 

 

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