帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怪奇! 悪魔のすむ鏡」

「怪奇! 悪魔のすむ鏡 ーマザラス星人 怪獣スペクター登場ー
ウルトラマンレオ』制作第37話
1974年12月20日放送(第37話)
脚本 田口成光
監督 岡村精
特撮監督 吉村義之

 

鬼女マザラス星人
身長 160cm~60m
体重 48kg~2万1千t
鏡の世界に住み、しばしば人間の子供をさらってしまう。カオルちゃんに死んだ娘の面影を感じて鏡の世界に誘う。カオルちゃんの死んだ母親と瓜二つの顔をしているが、その下には恐ろしい般若の顔がある。
手鏡で光を操り、スペクターに指示を送る。カオルちゃんを連れ帰されないよう長刀を振るってレオと戦う。レオがウルトラマントで作った現実世界に通じる鏡に拒絶されて消滅してしまった。
名前の由来は「マザー(母親)」かな。
因みにマザラス星人=カオルちゃんの母親を演じたのは実相寺監督夫人の原知佐子さん。
「お前にこの幸せを壊されてたまるものですか……!」。

 

異次元獣スペクター
身長 59m
体重 3万9千t
マザラス星人の指示を受けて鏡の世界でゲンを砂の中に生き埋めにしてしまった。それと同時に現実世界でも暴れる。
両手から青い霧を放ち、頭部から光線を撃つ。レオのハンドスライサーで鏡のように粉々に砕け散ってしまった。
名前の由来は光の波長特性を示すフランス語の「スペクター」かな。

 

物語
カオルちゃんは死んだ母親と瓜二つな女性に招かれて鏡の世界に入っていく。
女性の正体はカオルちゃんに死んだ娘の面影を感じていたマザラス星人だった。

 

感想
カオルちゃん最後の主役回。
今回は『大の字のうた』と言う挿入歌も特別に作られている。この歌はカオルちゃん役の富永美子さんが作詞作曲したものを元にしたらしい。

 

現実世界に現れたマザラス星人がカオルちゃんの顔を見て死んだ娘に似ていると驚いているので最初からカオルちゃんを狙っていたわけではなかったようだ。
と言う事は、マザラス星人の顔がカオルちゃんの母親と瓜二つなのも単なる偶然だったのか。
マザラス星人は普段から楽しそうに遊んでいる子供達を眺めていたのかもしれない。

 

マザラス星人はカオルちゃんの死んだ母親と重ねられているので、彼女が住んでいる鏡の世界は死後の世界の意味もあったと考えられる。
それなら星人扱いはしない方が良かったかなと思う。

 

楽しそうに遊ぶカオルちゃんとマザラス星人だが、ゲンが見た鏡の世界はカラスの鳴き声が空しく響く荒涼とした砂漠だった。
マザラス星人が人間の子供を鏡の世界にさらっていったのは死んだ娘の面影を追い求めてだった。しかし、どんなに娘の代わりを手に入れても死んだ娘そのものが帰ってくる事は無い。荒涼とした砂漠はそんなマザラス星人の深層心理を表していたのだろう。

 

マザラス星人の所に行こうとするカオルちゃんを止めようとするゲン。そんなゲンに向かってカオルちゃんは「また邪魔をするのね。ゲン兄ちゃんなんか嫌いよ!」と怒る。
そんなにゲンってカオルちゃんの邪魔をしていたっけ?

 

カオルちゃんがいなくなり、バスケットボールが転がる無人の体育館で1人座り込むトオル。これは精神的にかなりやばい状態。この後の話でカオルちゃんを失ったトオルは段々と精神を破綻させていく。

 

今回のダン隊長はかなり諦めムードであったが、ゲンはダン隊長の制止を振り切って鏡の世界に入り見事に帰ってきた。
今まではダン隊長が無理だと言ったら本当に無理な事が多かったが、今のレオにはその無理を覆す力があった。

 

マザラス星人はスペクターを使ってトオルを襲うが、カオルちゃんの母親ならトオルの母親でもあるはず。しかし、マザラス星人にはカオルちゃん似の娘はいてもトオル似の息子はいなかった。ここがマザラス星人とカオルちゃんの別れ道となる。
「おばさんは私のお母さんじゃないわ!」とカオルちゃんに言われて闇の砂漠に座り込むマザラス星人が哀れ。

 

その後、般若の顔になり、長刀を振るってレオと戦うマザラス星人。
歌舞伎調の演出がされていて、『ティガ』の「花」に匹敵する幻想的な戦闘シーンとなった。(と思ったら「花」に登場するマノン星人の人間態を演じていたのも同じ原知佐子さんだった)

 

レオがウルトラマントで作った現実世界に通じる鏡に拒絶されて消滅してしまったマザラス星人。
なぜ鏡を自由に出入りできるマザラス星人が拒絶されてしまったのか?
おそらく、あまりにも死んだ娘の面影を追い求めてしまったので生前の世界を意味する現実世界に帰れなくなってしまったのだろう。
「鏡の中の星人はカオルちゃんを見て胸が締め付けられる思いだったんだろう……。気持ちは分かるが……許してはいけない事だ」。

 

今回の話は鏡はもちろん水面やガラス等も使って凝った映像が作られていた。他にも近くて遠い、遠くて遠いと言った距離感も上手く使われていた。

 

今回の話は岡村監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。