「よみがえった湖の悲しい伝説 ー音波怪獣ガラドラス登場ー」
『ザ☆ウルトラマン』制作第13話
1979年6月27日放送(第13話)
脚本 星山博之
絵コンテ 八尋旭
演出 古川順康
音波怪獣ガラドラス
身長 99m
体重 9万6千t
東北にある龍神湖に棲んでいた。古くから語り継がれている湖の主である龍神と同一の存在かどうかは不明。
音に敏感で騒音を出す者を襲う。口から吐く特殊な音波で皮膚に異常反応を起こして相手を石化させる。尻尾の先から炎を吐く。
湖に詰めかけた人々の騒音で暴れるが、プラニウム光線で倒された。
物語
龍神湖から石化した魚が発見され、大勢の人が詰めかけるようになった。
伝説を聞いたマルメ隊員は龍神の怒りを鎮める儀式を行おうとし、科学警備隊は湖底に怪獣が眠っていると考えて調査を開始する。
感想
昔から伝わっている伝説を扱ったパターンの話。
結果的に伝説と怪獣の関係は謎のままに終わって不思議な余韻が残る事となった。
『ザ☆ウル』の世界では怪獣ブームになっているらしい。
他の作品にも言える事だが、街や人に多大な被害が出ているのに怪獣がブームになるのがイマイチ理解できない。
ユリコ登場。今度は台詞がある。ヒカリの事を聞いてマルメ隊員の機嫌を悪くさせてしまう。
昔、愛し合う二人がいたが、戦で親が敵味方に別れた事で離ればなれになり、青年が戦で死んだ事を嘆き悲しんだ娘が湖に入って後を追い、事情を知った湖の龍が二人を哀れみ、無理解な大人に怒り、湖に通りがかる人々を石にしたと言う龍神湖の伝説。
『コスモス』の「二人山伝説」でも東北を舞台に似たような伝説があったが、東北はそういうイメージがあるのだろうか?
マルメ隊員の友人である防衛軍隊員・木下登場。なかなかの美形。マルメ隊員とヒカリの休暇を調べて話を切り出すなど、なかなかの策士?
木下隊員の家は龍神の怒りを鎮める為に年一回行われていた龍神祭の祭司を務めていたのだが、木下隊員が防衛軍に入隊して田舎を離れた為に祭りが行われなくなり、木下隊員の祖母はそれが原因で湖の龍神が怒ったのだと考え、木下隊員は祭りの頭数を揃える為にマルメ隊員達を連れて家に帰ったのだった。
湖畔で太鼓や笛の音を鳴らすと言う話を聞いたマルメ隊員は自分は音楽センスがあるがヒカリはどうかと嫌味を言うが、ヒカリはギターを弾けるのでマルメ隊員より音楽センスがある可能性は高い。
湖に群がっていた人間が石にされたのを見たヒカリはアキヤマキャップに連絡を入れて湖底を調査する事にしたが、マルメ隊員は祭りを行って龍神の怒りを鎮めなければならないと太鼓を叩き始める。科学警備隊なんだから、ここは科学的に調査しろよと言いたくなる。しかも、祭を真面目に行うかと思いきや木下隊員や祖母の忠告を無視して勝手に叩くし。トベ隊員ではないが、そんな考え方でよく科学警備隊が務まるものだ。
今回は休暇なのに私服ではなく科学警備隊の隊服を着ているのだから、自分が科学警備隊と言う自覚を忘れないでほしかった。
湖畔に詰めかけた大勢の人やマルメ隊員がやたらめったら叩いていた太鼓の音が怪獣の性質に絡んでいたのが上手い。
調査を済ませたヒカリとムツミ隊員は倒すだけが能じゃないと、湖を立ち入り禁止にすれば良いと提案するが、トベ隊員とピグは怪獣を倒さなければ石にされた人間が元に戻らないと反論。
両者の言い分を聞いたアキヤマキャップは、一度眼を覚ました以上、また人間を襲う可能性があるとして怪獣の排除を指示する。
ジョーニアスはディフェンスファープでガラドラスの石化音波を防ぎ、ウルトラスピニングフラッシュで反撃して、最後はプラニウム光線で勝利を収める。
事情を知っていたからか、今回のジョーニアスはガラドラスを倒す事に躊躇いを感じていたようだった。その後、ウルトラメディカルパワーで石化された人々を救うが、さすがにエネルギーを消耗して膝をついている。ジョーニアスに躊躇いや疲労と言った人間的な部分が見えたのが嬉しい。
ガラドラスを倒しても石化された人々は元に戻らず、結局はジョーニアスの能力で元に戻っている。
ガラドラスが湖から出てきたのはマスコミのヘリの轟音が響いたからであったし、石化された人々を元に戻すのにガラドラスの生死が関係無いのなら、無理に倒す必要は無かったかもしれない。せめて人間が立ち入れられない静かな場所に送るとかくらいはしても良かったかなと思う。