帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「星から来た少年」

「星から来た少年」
ウルトラマン80』制作第6話
1980年5月7日放送(第6話)
脚本 広瀬襄
監督 湯浅憲明
特撮監督 高野宏一

 

UFO怪獣アブドラール
身長 53m
体重 3万t
UGMのレーダー能力を遥かに凌ぐ性能を誇るUFOが出現して北ヨーロッパ、オーストラリア、日本を次々に襲う。
UFOの内部から怪獣アブドラールスが現れて目からの怪光線で80を窮地に追い込むが、生徒の声援を受けて最後の力を振り絞った80のサクシウム光線、キック、バックルビームの連続攻撃で倒された。
その後、UFOも80のウルトラスパイラルビームで破壊された。
おそらくアブドラールスは宇宙人が連れて来た怪獣だと思われる。
今までのウルトラシリーズにはあまり見られなかった海外作品に登場するクリーチャーっぽいデザインが良い。

 

物語
矢的先生の生徒である明男は勉強もスポーツも苦手だった。
ある日、UFOを見た明男は自分は本当は宇宙人で、あのUFOは自分を迎えに来てくれたんだと考える。
そして明男の街にUFOが降り立つが……。

 

感想
アブドラールスを乗せたUFOは映画『未知との遭遇』を思い出すもので今までのウルトラシリーズには見られなかったデザインとなっている。
他にも『80』は海外作品から影響を受けたと思われるところがいくつかあり、これまでのウルトラシリーズとは違った雰囲気がある。

 

今回のゲストである明男は自分の幸せはこの地球には無いと考えていた。
何故なら自分は本当は地球以外の星で生まれた。自分は周りの人間とは違う存在。今にUFOが来て自分の生まれた本当の星に連れて行ってくれる。その星でなら自分は幸せになれる。
しかし、UFOは明男の為に来たのではなく目的は地球攻撃だった。
全ては明男の都合の良い自分勝手な思い込みだった。

 

明男は「皆は地球人で自分はヒューマノイド(人間に似た宇宙人)だ」と語る。矢的先生は「地球人だって宇宙人の一種なんだ」と諭すが、明男がここで語っている宇宙人とは「周りの人間とは違う特別な存在」と言う意味合いが強かった。

 

明男は自分が人間ではない根拠として口笛を吹く事で風を自由に呼べると言う。
実際に明男が口笛を吹くと風が吹いたが、矢的先生は生き物には皮膚感覚で物事をある程度予知できる能力があるとして、地震を予知するナマズや洪水を予知するネズミを例に挙げ、明男の能力も風が吹く時に生じる空気の温度差を肌で感じ取っているのだと説明する。この場面は理科の教師らしくて良かった。

 

「君はちょっとばかり皆より勉強が出来なかった。スポーツも苦手だった。おまけに君の兄姉は2人とも秀才だった。親友もいなかった。それで君はそんな自分から逃げ出そうとしていた。君は出来ないなら出来ないなりに努力したか? 歯を食いしばって努力しようとしたか? 何もしない代わりに君は自分を宇宙人だと思い込もうとした。人間でなくなれば何も努力しない事が許されると思った。それは人間として一番……」。
矢的先生の説得、耳が痛いなぁ……。
現実に不満を抱いた時、その現実を変えようとするか、その現実から逃避しようとするか。前者の方が良い結果に辿り着ける事は分かるが、それを実行に移す事はとても大変。

 

ようやくUGM各隊員の区別が付いてきた。
ハラダ隊員は熱血漢でやや攻撃的。猛やタジマ隊員に命令口調で会話しているところを見ると現在の副隊長格なのかもしれない。
UFOに近付こうとする明男を止めようとする矢的先生。隊員服だったのに、いつの間にか私服に。いつ着替えたんだと言う突っ込みは野暮か……。

 

怪我をした明男に輸血の必要が。
明男の血液型はO型で、ハカセ、落語、ファッションが同じO型で、スーパーだけO型ではなかった。個人的にはファッションはO型っぽいが、ハカセはA型、落語はB型と言うイメージがあった。
因みに校長先生はB型で、教頭先生はAB型との事。矢的先生は宇宙人なので地球人とは血液が違っていて、とっさにA型と嘘を吐いてしまう。

 

一緒にいたのに明男に怪我をさせてしまうとはどういう事だと教頭先生に詰め寄られる矢的先生。80に変身してアブドラールスと戦っていたのだが、当然、そんな事は言えない。
ウルトラマンに変身している間は主人公は現場に不在になると言う部分が強調されるのは第3期ウルトラシリーズの特徴。

 

矢的先生は地球人ではないので輸血は出来ないが、代わりに80に変身してエネルギーを分け与える事は出来る。
戦った直後なのでカラータイマーが最初から赤く点滅しているのが細かい。
血は違っていてもエネルギーを与える事は出来る。矢的先生が言った通り、地球人も宇宙人も同じ存在なのだ。

 

明男は自分の弱さを認め、皆の血を輸血してもらって助かった、自分はやっぱり人間だったと語るのだった。

 

今回の話は広瀬襄さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。