「ヘンテコリンな魚を釣ったぞ!」
『ウルトラマン80』制作第34話
1980年11月19日放送(第34話)
脚本 石堂淑朗
監督 湯浅憲明
特撮監督 佐川和夫
巨大怪魚アンゴーラス
身長 60m親子
体重 1万t
釣り好きの治が三浦半島で手に入れた魚はアンゴーラスの子供だった。
アンゴーラスの子供はドンドン大きくなっていき、シグマ電波で親と連絡を取る。
そして親のアンゴーラスが三浦半島に出現して治を執拗に狙う。
汐を吹き、津波を起こし、水面から大ジャンプをする。
最後は子供のアンゴーラスを返されて沖へ帰って行った。
名前の由来は「アンコウ」かな。
物語
釣り好きな治だが今日の収穫は0。
帰り道でヘンテコリンな魚を見付けた治は漁師に譲ってもらうと自分が釣った事にする。
しかし、その魚はドンドン大きくなっていき……。
感想
ヘタすりゃオオヤマキャップより台詞が多いナレーションの暴走にも慣れてきたところで今度はサブタイトルが暴走を始めてしまう。
その最たるものはもちろん最終回の「あっ! キリンも象も氷になった!!」であろう。何とかならなかったのか?
普通、ナレーションは視聴者が疑問に思った事や分かりづらい事を分かりやすく説明してくれるものであるが、今回のナレーションは「この少年が持って帰った魚は果たして怪獣だろうか? まさか!? そんな……」である。説明どころか疑問を投げかけまくっている。まぁ、これが『80』らしいと言えばらしく、慣れると逆に「お約束」として楽しめるようになるが。
今回はゲストの治とその友達、そして地元の釣り好きなおじさんが面白い。
特に友達の女の子は治がアンゴーラスの親に狙われている事に気付くと「治君、私達と一緒に逃げないで!」と言ってしまい、おじさんが「君達! ここまで来たら皆一緒だ!」と言っても「だって、私、死ぬのは嫌よ」と答える。確かにそりゃそうだけど……。さらに責任を感じた治が自暴自棄になって親のアンゴーラスに向かっていくと「五味君、ちょっと言い過ぎなんじゃない?」とすぐさま友達に責任転嫁。アンタ、長生きするよ……。
子供が遊びに行った三浦半島に怪獣が出現した事を知って気が気でない治の母親とあまりにもノンビリとしたイケダ隊員のやり取りも面白い。イケダ隊員、緊張感無さすぎ!
「よし! 怪獣を釣り上げるんだ!」、
「え?」、
「釣り上げるんだ!!」
避難警報発令の遅さにイライラしたり、いきなり怪獣を釣れととんでもない命令を出したり(釣った後、どうする気だった?)、今日のオオヤマキャップは少し変。
怪獣を釣り上げると言うオオヤマキャップの無茶な指示にイトウチーフとフジモリ隊員は驚くが、何故か巨大な釣り針(餌まで巨大!)は用意されていた。このノリは完璧に『T』のZAT。
映像では合成で親のアンゴーラスの巨大感を出す事に成功している。
その他、海上を飛行するシルバーガルを海中に潜んでいる親のアンゴーラスの視点から見る場面がある。水面越しの戦闘機と言う映像はあまり無くて新鮮。
親のアンゴーラスは体のあちこちに釣り針や糸が絡まっていた。
劇中に「遠くから来る釣り人のせいで魚が減ってしまった」と言う地元の台詞もあり、マナーを守らない釣り人への批判が込められた話となっている。
最後にちょっとツッコミを。
治が子供のアンゴーラスを手に入れたのは日曜日。
その翌日に治の友達は三浦半島に行って治と同じ魚を釣ろうとするのだが、学校はどうした?